浦沢直樹の漫勉neoと、すぎむらしんいち『最後の遊覧船』
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NHKの人気番組『浦沢直樹の漫勉』シリーズは、昨年neoが放送され、現在はそれらが再放送されているところだ。個人的にも、毎回登場する漫画家のその人となりが垣間見える制作風景に思わず見入ってしまうほど、とても面白い番組だと思う。
そんな漫勉の最新シーズンのなかで、僕が一番面白く観たのが、この「すぎむらしんいち『最後の遊覧船』」の回である。
ふだんは決して立ち入ることができない漫画家たちの仕事場に密着し「マンガ誕生」の瞬間をドキュメントする第3回は浦沢が「日本一面白い」と絶賛する「すぎむらしんいち」 ふだんは決して立ち入ることができない漫画家たちの仕事場にカメラが密着、その貴重な映像を元に浦沢直樹が同じ漫画家の視点から切り込んでいく。▽第3回はすぎむらしんいち▽個性的なキャラクター、予想を裏切る展開…すぎむらワールド全開の「最後の遊覧船」クライマックスの執筆に密着▽完全デジタル作画、便利だけれど実はかえって時間がかかる?▽「耳」を描くこだわりに、面白さの秘密が隠されていた!?
旧知のふたりではあるが、いつも酒の席でご一緒するばかりで、真面目に話すのは今回が初めてだという。お互いの人柄をよく知っているからこそ、創作の秘密に対して突っ込んだ質問もできるのだろう。ストーリーの設定ち意外性のある展開、キャラクターの際立たせ方と「耳」などの細部に対するこだわり、等々、大変おもしろい対談となっていた。
そして、浦沢が「日本一面白い」と評する、このすぎむらの最新作『最後の遊覧船』が、またサイコーに面白いのだ。全2巻で完結するテンポのよさ、それでいて中身は濃厚で濃密。主人公たちの吐く息のクサさまで伝わってくるような描写、現代的な設定でありながらどこかミステリアスでユーモラスでシュールな芸術作品でもある。なるほど、これは確かにおもしろい、と間違いなくうなずけるこの作品が、もっと多くの人に読まれることを願ってやまない。熱狂的愛読者が多そうな、そんな濃ゆい作品と作者なのである。
絶望の果てで回るラブ・ロマンス、出航!!
「どいつもこいつも世界が終わりだって知らないの?」
恋に、仕事に、SNSに追い詰められ故郷のある湖・幻舟湖まできた脚本家・湖尻洋子。全てから逃げる先である実家はもう目と鼻の先。だが、その時彼女は思いもしなかった。まさか自分が、まるでループするようにこの遊覧船に乗り続けることになるとは…!!?
【編集担当からのおすすめ情報】
構想およそ20年!!! 様々なジャンルの才能からリスペクトされる異才・すぎむらしんいちがおよそ2年ぶりに放つ渾身の新境地は、前人未到のループ・ラブ(?)・ロマンス!!恋に、仕事に、SNSに追い詰められ、疲れ果てた1人の女が、逃げてきたはずの地の果て乗り込んだ遊覧船、そこで待っている様々な人々と事件。世界の果てで回り続ける女の運命はどこにたどり着くのか…是非、ご期待ください!!!
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