*

英語論文の書き方:アカデミック・ライティングの決定版テキスト

公開日: : 最終更新日:2017/12/11 研究・論文, 英語

僕が学生の論文を指導するにあたって、まずは徹底的に読み込むようアドバイスしているのが、前回紹介した英語ライティングの基本テキストである。

  1. 英文ライティングここから始める必読テキスト4選
  2. よりモダンでクリアな英作文テキスト3選

 

上記でおすすめするテキストは全て必読だと思うが、一方でこれらは英作文の基本のキを解説するものであるため、論文執筆にあたってはもう一つ上のレベルの、いわゆる英語アカデミック・ライティングを学ぶ必要がある。

 

その際に最も参考になるものとして僕が信頼を置いているのが次の一冊だ。実際の論文を題材に、セクションごとに分けて(Abstract, Introduction, Method, Conclusion等)、各セクションの目的とその達成方法がクリアに解説される。この部分を読むだけでも論文を書くときの視点がぐっと変わってくるはずだが、本書がそこから続けて説明する、効果的なフレーズの使い方等も非常にタメになる。それに加えて、良い例と悪い例の比較分析では、なぜこう書いてしまってはダメなのかがよく分かる。

 

paper editingphoto credit: Unhindered by Talent via photopin cc

 

例えば “Being Concise and Removing Redundancy” の章や、 “Avoiding Ambiguity and Vagueness” の章。これらの各章では、英語ノンネイティブの文章にありがちな、まだるっこさ・もどかしさ・じれったさをどう取り除くかという解説がなされる。ノンネイティブの学生が書く論文を数多く指導してきた著者ならではの、実に生々しい事例が豊富に並べられており、だからこそ実践において役に立つ。

 

また “Clarifying Who Did What” の章や、 “Highlighting Your Findings” の章では、主張が弱くなりがちなノンネイティブの文章に対し、論文の中で最も訴えなくてはならない貢献をどう強く明瞭に伝えるべきか説明されていく。これもまた、英語ノンネイティブの弱点を深く理解していなければ書けない章であろう。

 

このように極めて実践的なアドバイスが続き、現在論文執筆中という人にとっては常に手元で参照したい内容となっている。こうした理由から、僕は学生に本書を真っ先におすすめしているわけだ。

 

 

上記の一冊は経済学およびその他の社会科学を専門とする人にとってはベストテキストとなるだろう。一方で、取り上げている論文が社会科学系のものであるため、自然科学専攻者にとっては若干の読みにくさや違和感があるかも知れない。

 

書いてある内容は、アカデミック・ライティングにおける極めて一般化されたルールであるため、それらは専門に関係なく役立つものだ。しかしながら、読みやすさという点ではやはり読み慣れた論文が取り上げられている方がよいだろう。その意味で、次の一冊はタイトルが示唆しているように、自然科学専攻者にとっての決定版と言えるだろう。内容構成は上記の一冊と同様に、各セクションにおける論文執筆ポイントが詳細に解説されている。

 

 

 

そして、この自然科学者専攻者向けの決定版テキストには、なんと日本語版が発売されているのを最近知った。英語で論文を書くのだから、参照テキストも英語のものを使えばよいのだが、やはり最初は日本語のテキストを探しているという人にとっては、この翻訳書『理系研究者のためのアカデミック・ライティング』が最適の一冊となるだろう。

 

 

その他にもアカデミック・ライティングの洋書テキストには良書が多い。それらのおすすめテキストを含めた詳細解説は、「英文アカデミック・ライティングおすすめ参考書」にまとめた通りだ。参考になれば幸いである。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

「もっとヘンな論文」がついに登場|アカデミック・エンターテインメントの最高峰

NHK Eテレの番組「ろんぶ~ん」をご存知だろうか?ロンブー淳が司会を務める、アカデミック・エンター

記事を読む

restaurant wine glasses

フィナンシャル・タイムズと昼食を

フィナンシャル・タイムズのコラム "Lunch with the FT" を毎週楽しみに読んでいる。

記事を読む

Kindle電子書籍で学ぶ、日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術

ドクター・ヴァンスの『日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術』がセール中。これまで僕も何度か書

記事を読む

Kindle電子書籍で、一生に一度だって使わないジョジョの奇妙な英語を学ぶッ!

いよいよKindle電子書籍で(ごく一部のファンの間で)超話題の(かも知れない)アノ一冊が登場した。

記事を読む

誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点

また今年も科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。今月から来月にかけては、日本にいる数多く

記事を読む

ジョジョの奇妙な英語にまさかの続編ガァァァ|あのクールな台詞はこれで学べ

以前に「ジョジョの奇妙な冒険で英語を勉強するなんて、無駄無駄無駄無駄無駄ですか?」でご紹介した英語テ

記事を読む

世にもおもしろい英語|あなたの知識と感性の領域を広げる英語表現

小泉牧夫の『世にもおもしろい英語』は、サブタイトルにある通り「知識と感性の領域を広げ」、英語という言

記事を読む

日本経済学会@同志社大学に行ってきた

先週末は日本経済学会の春季大会で報告してきた。会場は京都の同志社大学ということで、初めてここを訪れた

記事を読む

科研費およびその他の研究費管理には、クラウド会計がびっくりするほど超便利

さて先日は、今年度下半期の科研費採択プロジェクトが通達された。経済学をはじめとする社会科学系の分野で

記事を読む

論文捏造はなぜ繰り返されるのか?科学者の楽園と、背信の科学者たち

先週は、小保方晴子氏の論文「学位取り消しに当たらず」(NHK)との報道が新たな議論を引き起こしている

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

research proposal
科研費採択された研究者におすすめの2つのサービス|クラウドを利用して研究・事務作業を効率化する

科研費で利用したい研究効率化のための2つのサービス さて先日は、今年

科研費およびその他の研究費管理には、クラウド会計がびっくりするほど超便利

さて先日は、今年度下半期の科研費採択プロジェクトが通達された。経済学を

誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点2018年版

今年も9月になり、科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。自

全米オープンテニス|錦織がフルセットを制して準決勝進出

日本時間早朝の全米オープンテニス生中継を観戦したみなさま、お疲れ様でし

グランドスラム初優勝を目指す錦織と大坂|データで観戦する全米オープンテニス

現在熱戦が繰り広げられている今年の全米オープンテニス、錦織圭と大坂なお

今からでも遅くない「行動経済学がわかるフェア」

「今年のノーベル経済学賞は『行動経済学』のリチャード・セイラーに」でも

辞書編纂者・飯間浩明の仕事の流儀プロフェッショナル

先日NHKで再放送された「プロフェッショナル仕事の流儀」をご覧になった

ジョジョの奇妙な原画展|荒木飛呂彦の冒険

この夏最大の注目とも言えるべきイベント、「荒木飛呂彦原画展JOJO-冒

PAGE TOP ↑