*

英語論文の書き方:よりモダンでクリアな英作文テキスト3選

公開日: : 最終更新日:2021/01/30 研究・論文, 英語

「英文ライティングここから始める」で書いたように、そこで紹介したテキスト4冊は英文ライティングのためのマストアイテムと言っていい。ただ、ベストセラーでありロングセラーである反面、どうしてもテキストの書きぶりに古臭さは否めない。また、基本的な英文ルールとスタイルを列挙したものであり、あれはNG、これもNGと、読んでいて窮屈さを感じるのも事実である。

 

だからこそ、これら4冊の次に読むテキストとして僕がオススメしているのが、今回紹介するよりモダンな英作文参考書の3冊である。

 

pens for writingphoto credit: Keith Williamson via photopin cc

 

 

1冊目のオススメテキストは、何と言っても、Ben Yagoda の “How to Not Write Bad: The Most Common Writing Problems and the Best Ways to Avoid Them” だ。「Ben Yagoda の英語ライティング新刊 “How to Not Write Bad”」で詳しく書いたが、Yagoda 自身も、実際に Strunk and White の “The Elements of Style” そして William Zinsser “On Writing Well” が、英作文テキストのチャンピオンだと認める。

 

 

 

だけれども、上記のこのクラシックな2冊では現実的には使い勝手が悪いのだよ、というのが、彼が新著 “How to Not Write Bad” を上梓した一番の理由だ。曰く、我々はどうやっても bad に書いてしまうものだ。だったらそれを前提とし、出来るだけそうならないように書くにはどうすればいいのかと問うほうが、実際的に重要な問題である、という指摘だ。writing well という目標はあまりにもハードルが高く、だからこそ、how to not write bad という、一捻りしたアプローチを自著で展開するのである。読みやすくて役に立つイチオシの一冊。Kindle版が安くておすすめ。

 

 

 

2冊目に紹介したいのが、Bell の “Clean, Well-Lighted Sentences: A Guide to Avoiding the Most Common Errors in Grammar and Punctuation” だ。これも以前に「アカデミックライティング: “Clean, Well-Lighted Sentences”」でオススメしたように、とても使える一冊。サブタイトルが示唆しているように、英語ネイティブでも間違えやすい英文法が、豊富な具体例を使って解説されていくので、非常に実践的で自分が書いた文章にすぐに応用することができる。as if と as though 等、”Confusing Pairs” をどのように使い分けるべきなのか、という説明も多いに参考になる。英文を書くならば手元において常に確認したい、そういう一冊である。

 

 

 

3冊目は、経済学専攻に限ってのオススメとなるが、McCloskey の “Economical Writing” だ。「How to write clear English」でも紹介したが、大変にシニカルにコミカルに、経済学者の論文の書き方について綴っている。これを読んだ人はその書きぶりがきっと好きになるだろうね、という一冊。Chris Blattman は本書がベストと評価している。

 

 

以上が、英文ライティングの必読テキスト4選に続く、よりモダンでクリアなお勧めテキスト3選である。その他日本語の英作文テキスト等は、「英文ライティングおすすめ参考書」にて紹介リストアップしている。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

フィナンシャル・タイムズと昼食を:2人の投資家が体現するアメリカ社会の変容

以前に「フィナンシャル・タイムズと昼食を」で紹介したように、フィナンシャル・タイムズ紙の日曜版に掲載

記事を読む

できる研究者の英語プレゼン術|スライド作成からストーリー展開まで

以前に紹介した、ポール・シルヴィア著の『できる研究者の論文生産術』は素晴らしい一冊である。著者は20

記事を読む

writing a research paper

英語論文アカデミック・ライティング絶対おすすめできる18冊

以下のエントリ・シリーズで詳述しているように、これまで僕自身が多種多様の英語ライティングテキストを読

記事を読む

日本語で書かれたおすすめテキスト『発信型英語スーパーレベルライティング』が待望のKindle版で登場

なんと、植田一三の『発信型英語スーパーレベルライティング』が、Kindle版で登場しているではありま

記事を読む

科研費に応募する1|そもそも科研費とは?

さて、夏のお盆休みが終わり通常の日々が戻ってくる頃は、日本の研究者の多くが今年の科学研究費助成事業(

記事を読む

Kindle電子書籍で、一生に一度だって使わないジョジョの奇妙な英語を学ぶッ!

いよいよKindle電子書籍で(ごく一部のファンの間で)超話題の(かも知れない)アノ一冊が登場した。

記事を読む

科研費に応募する2|申請書作成に向けてどんな情報を参考にするか?

申請書作成に向けて 今年の科研費に応募しようと考えたとき、とくに初めて申請書を書くとなった場合、ま

記事を読む

英語論文校正・校閲おすすめサービスの使い方: 世界最大のクラウドソーシング Freelancer.com が早くて安い

クラウドソーシングで英語論文を校正する 過去5回にわたって、英語アカデミック・ライティングのおすす

記事を読む

restaurant wine glasses

フィナンシャル・タイムズと昼食を

フィナンシャル・タイムズのコラム "Lunch with the FT" を毎週楽しみに読んでいる。

記事を読む

科研費およびその他の研究費管理には、クラウド会計がびっくりするほど超便利

さて先日は、今年度下半期の科研費採択プロジェクトが通達された。経済学をはじめとする社会科学系の分野で

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑