*

英語論文の書き方:スタイルとフォーマットで学ぶアカデミック・ライティング

公開日: : 英語

3回連続で紹介したおすすめ英語ライティングテキスト、の続き。

  1. 英文ライティングここから始める必読テキスト4選
  2. よりモダンでクリアな英作文テキスト3選
  3. アカデミック・ライティングの決定版テキスト

 

以前に「アカデミックライティング: “They Say, I Say”」で書いた、“They Say, I Say: The Moves That Matter in Academic Writing” に、ついに最新第3版が登場したようだ。これは数あるテキストの中でも、大変オススメの一冊なのである。

They Say / I Say: The Moves That Matter in Academic Writing

 *New to the Third Edition

Preface: Demystifying Academic Conversation
Introduction: Entering the Conversation
Part 1. “They Say”
1. “They Say”: Starting with What Others Are Saying
2. “Her Point Is”: The Art of Summarizing
3. “As He Himself Puts It”: The Art of Quoting

Part 2. “I Say”
4. “Yes / No / Okay, But”: Three Ways to Respond
5. “And Yet”: Distinguishing What You Say from What They Say
6. “Skeptics May Object”: Planting a Naysayer in Your Text
7. “So What? Who Cares?”: Saying Why It Matters

Part 3. Tying It All Together
8. “As a Result”: Connecting the Parts
9. “Ain’t So / Is Not”: Academic Writing Doesn’t Always Mean Setting Aside Your Own Voice
10. “But Don’t Get Me Wrong”: The Art of Metacommentary
*11. “He Talks About Deplores”: Using the Templates to Revise

Part 4. In Specific Academic Settings
12. “I Take Your Point”: Entering Class Discussions
13. “What’s Motivating This Writer?”: Reading for the Conversation
*14. “On Closer Examination”: Entering Conversations about Literature
15. “The Data Suggest”: Writing in the Sciences
16. “Analyze This”: Writing in the Social Sciences

Readings
David Zinczenko, Don’t Blame the Eater
Gerald Graff, Hidden Intellectualism
Barbara Ehrenreich, Introduction to Bait and Switch
Flannery O’Connor, Everything That Rises Must Converge

Index of Templates

 

第3版では、”Using the Templates to Revise” ほか複数の章が新たに付け加えられているが、この Template こそが、本書の最大の特徴となっているのである。序章から “The Usefulness of Templates” と題され、テンプレートの効用について説く。

 

一方で、こうしたテンプレート利用に対する反発があることに対しても著者らは重々承知しており、”Okay, but Templates?” と続けて、こうしたテンプレートを何故、そしてどのように授業で用いているのかを解説する。この序章を読むだけでも、著者らのアプローチが明快になるとともに、本書のユニークさが伝わるだろう。歌舞伎の世界には「型のある者が基本を崩すから『型破り』。型のない者が基本を崩すと『型無し』」という格言があるが、アカデミック・ライティングの世界もそれに近いのではないだろうかと思いながら、テンプレートを通してスタイルとフォーマットという「型」を学ぶという修行に励むわけである。

 

writing a research paperphoto credit: Nic’s events via photopin cc

 

さてそんな本書は、上記のような目次構成となっているのだが、より詳細には次のような内容となっている。第1章 “They Say” では、先行研究についてまとめる “The Art of Summarizing” そして “The Art of Quoting” に関して、使える文章テンプレートやアクティブ動詞が紹介されており、大変に実践的である。

 

第2章 “I Say” は本書の中核をなす部分であり、既存論文と比べて「私は」何を新しく伝えようとしているのかという観点から、論文の書き方をアドバイスする。ポイントとなるのが “Distinguishing What Your Say from What They Say” そして “Saying Why It Matters” だ。類似研究に建設的批判を加えながら、自身の論文のどこにオリジナリティがあるのか、そしてなぜそれが重要な貢献となるのかを強調した書き方について指南する。

 

そして第3章 “Tying It All Together” も示唆に富んだ章となっている。ここでは、”Connecting the Parts” と題して、論文全体の書きぶりについて統一感を持たせるすべを、そして “Academic Writing Doesn’t Always Mean Setting Aside Your Own Voice” では、著者の主張を(ときには)読み手に語りかけるように書くことの必要性を、そして “The Art of Metacommentary” では、やはり数多くのテンプレートを紹介しながら、自らの主張が正確に読み手に伝わるよう、どのように主張を読んで欲しいかという Metacommentary の使い方について解説する。

 

これまでに僕自身が使って役立った英語アカデミック・ライティングのテキストは、「英文ライティングおすすめ参考書」にリストアップして紹介したとおりだが、その数あるテキストの中でも、本書 “They Say, I Say: The Moves That Matter in Academic Writing” は、数多の文章テンプレートを用いて、アカデミックライティングのスタイルとフォーマットを学ぶという、極めて実践的な内容の一冊である。ユニークな視点でまとめられており類書が見当たらないという点でも、この最新第3版はぜひ一読をおすすめしたい秀逸なテキストとなっている。

 

They Say / I Say: The Moves That Matter in Academic Writing

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

もう一度聞きたい、アメリカの大学卒業式スピーチ5選

アメリカの卒業式シーズンは5月だが、日本でいえば今がまさに大学卒業のピーク・シーズンである。だからこ

記事を読む

世にもおもしろい英語|あなたの知識と感性の領域を広げる英語表現

小泉牧夫の『世にもおもしろい英語』は、サブタイトルにある通り「知識と感性の領域を広げ」、英語という言

記事を読む

岩波書店がAmazonで電子書籍Kindle版を配信開始:おすすめは『日本人の英語』

岩波書店がいよいよAmazonでも電子書籍を配信開始、というニュース。岩波文庫や岩波現代文庫そして岩

記事を読む

new york times building

ニューヨーク・タイムズと朝食を

前回「フィナンシャル・タイムズと昼食を」で紹介した "Lunch with the FT" のインタ

記事を読む

おすすめ 『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳』がKindleセール中

僕もこれまで何度もおすすめしてきた関谷英里子『カリスマ同時通訳者が教える ビジネスパーソンの英単語帳

記事を読む

Kindle電子書籍で学ぶ、カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳

関谷英里子の『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳+70』が現在Kindleで大幅に

記事を読む

communication robots

リズム・トーン・メロディの強弱と切替で考える英語スピーキング

僕のおすすめの英語テキストの一冊『日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術』。  

記事を読む

ジョジョの奇妙な英語にまさかの続編ガァァァ|あのクールな台詞はこれで学べ

以前に「ジョジョの奇妙な冒険で英語を勉強するなんて、無駄無駄無駄無駄無駄ですか?」でご紹介した英語テ

記事を読む

越前敏弥の『日本人なら必ず誤訳する英文~あなたはこれをどう訳しますか?』は、英語自慢への挑戦状

「越前敏弥の『日本人なら必ず悪訳する英文』は、英語自慢の鼻をへし折る一冊」で紹介したように、このシリ

記事を読む

アカデミックライティングにおすすめの英語辞典|コロケーションとシソーラスも一緒に学ぶ

Oxford Learner's Dictionary of Academic English がお

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

科研費に採択されたら使いたい、研究と事務を効率化するクラウドサービスおすすめ2選

研究者にとって4月は特別な季節。それはもちろん日本のほとんどの大学で新

卒業・進級・入学おめでとう|大人になったら自分にベストの国語辞典を自ら選ぼう

桜満開・春爛漫のこの時期、これほどまでに卒業・入学に相応しいシーズンが

【再掲】今年の3月14日は世紀に一度のパイの日だった

すでにご存知の通り、3月14日といえばホワイトデー、ではなくて「パイの

もう一度聞きたい、アメリカの大学卒業式スピーチ5選

アメリカの卒業式シーズンは5月だが、日本でいえば今がまさに大学卒業のピ

春の卒業・入学シーズンを前に国語辞典をしっかり選ぼう|やはりオススメの定番4冊

さていよいよ3月となり、入試の合格発表から卒業式・入学式の季節となった

確定申告の強い味方|クラウド会計が圧倒的に超便利

さて今年も確定申告の時期がやってきた。大学教員を含めサラリーマンであれ

中央アジアを舞台とした傑作漫画『乙嫁語り』|最新刊の精緻な描写が素晴らしい

待望の『乙嫁語り』の最新第10巻が発売された。さっそく読んだのだが、こ

国民栄誉賞受賞|将棋永世7冠羽生善治と囲碁7冠井山裕太

将棋と囲碁という伝統ある世界において、大きなニュースとなったのが、長い

PAGE TOP ↑