*

世にもおもしろい英語|あなたの知識と感性の領域を広げる英語表現

公開日: : 最終更新日:2018/09/19 Kindle, 英語

小泉牧夫の『世にもおもしろい英語』は、サブタイトルにある通り「知識と感性の領域を広げ」、英語という言語が持つ奥深さを教えてくれる内容だ。僕もとてもおもしろく読んだ一冊である。

小泉牧夫(こいずみ まきお)
英語表現研究家、英語書籍・雑誌編集者。英語書籍・雑誌を中心に編集を行い、数多くの出版物を世に送り出す。同時に海外版権担当としてブックフェアに参加、世界各国の出版社と商談を行う。35年に及ぶ語学書の編集者としての集大成が本書である。

 

 

本書には、著者がこれまで様々な英語テキストの編集に携わってきた経験から知った、とても興味深い英語フレーズが満載。もちろんそれだけでなく、なぜそのような言い回しになっているのかという解説もあり、全編にわたって惹きつけられるようにして読める一冊となっている。例えば、結婚・離婚関連では、”shotgun marriage” という言い方がある。これは日本語の「できちゃった結婚」に該当するものであり、そのフレーズ自体は聞いたことがあったのだが、なぜそのような言い方となっているのかご存知だったろうか?また、それでは “Disneyland daddy” とは? これは知らなかったのだが、離婚しても子供をディズニーランドに遊びに連れて行ってくれる父親、という意味だそうだ。なるほどねえ。

 

また仕事関係のフレーズでは、自分の本職以外に「副業をする」「アルバイトする」ことをmoonlight というそうだ。夜な夜なこっそり働くというイメージなのだが、これも言われてみればなるほどだが、これまで知らなかった言葉づかいだ。それ以外にも、キャッチコピーでお馴染みの “page-turner” や “eye-opener” は知っていても、さて “nail-biter” とかね。

 

credit: Leo Reynolds via FindCC

credit: Leo Reynolds via FindCC

 

さらに個人的にもっとも興味深く読んだのが、動物に関する英語表現。例えば、as strong as a lion「ライオンのように強い」、as hungry as a bear「熊のように腹ペコ」、as gentle as a lamb「仔羊のように従順な」、as sick as a dog「犬のように気分が悪い」といったように、動物に特定のイメージが付与されているのが面白い。また、なぜなぜカクテルはcocktail(オンドリの尻尾)と言うのか、という小話も初めて聞いた内容だった。

 

というように、本書には英語表現に関するユニークな表現が満載。それらを自分で使う機会はそんなに多くないかもしれないが、英語の面白さを知るには最適の内容でもある。リラックスして読みながら、へぇ~を連発するというのが、本書の味わい方ではないだろうか。著書の以下のまえがきも大変共感できるものであり、著者の英語での失敗談や笑い話も含め、一つ一つのエピソードが最後の最後まで楽しめる一冊。おすすめです。

 

 

私は、これまで英語関係の雑誌や書籍の編集に携わってきました。日本人としては、英語を学ぶという点では、特殊な恵まれた環境にいたのかもしれませんが、それでも英語に悪戦苦闘する毎日でした。  そんな中で慰めとなり、英語を続けるモチベーションとなったのが、先に紹介したような「おもしろい」英語表現でした。英語そのものの中に、とても魅力的な世界が広がっていたのです。英語表現ひとつ覚えるたびに、知識だけでなく自分の感性の領域が広がっているのが実感できました。そして、その積み重ねは、私の人生観をもダイナミックで柔軟なものに変えてくれたのです。  本書では、私の心の琴線に触れた「世にもおもしろい」英語表現の数々を、人生・仕事・洒落た表現・恐怖表現・動物・人体・植物・色彩・人名・地名・数字といった章に分けて網羅しようと思います。それぞれの表現の語源や成り立ちから実際の使い方も、できるだけ詳しく解説します。そこには英語を話すアメリカ人やイギリス人の普段の生活振りから人生観、感性や知恵、歴史までも垣間見ることができるでしょう。そして、これはおまけですが、私自身の英語表現にまつわる鮮烈な記憶も語っていきたいと思っています。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

米国トランプ次期大統領が決まった今こそ読みたい現代アメリカ社会批評

アメリカ大統領選挙の結果、ヒラリー・クリントンが破れ、ドナルド・トランプが次期大統領に決まった、とい

記事を読む

稲垣栄洋の植物論と生き物の死にざま

稲垣栄洋の植物論は大変におもしろい。例えば、『雑草はなぜそこに生えているのか』であれば、そもそも書名

記事を読む

【おすすめ英語テキスト】重要単語を因数分解|語源から根こそぎ完璧に理解する

現在開催中のKindle本ストア 9周年キャンペーン。本日はこの中から最大級におすすめしたい、この英

記事を読む

Kindle電子書籍で学ぶ、日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術

ドクター・ヴァンスの『日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術』がセール中。これまで僕も何度か書

記事を読む

グラデーションマップで類似英単語を効果的に使い分ける

評判のよい英単語帳を新たに買って読んでみた。そしたらこれが期待以上によかったので紹介しておきたい。そ

記事を読む

新書『英語独習法』が売れている|認知科学者がおしえる思考と学習

岩波新書の今井むつみ『英語独習法』が売れている。僕自身も大変興味深く読んでおり、これは英語学習者にと

記事を読む

できる研究者の論文執筆術:Write It Up

前回「できる研究者の論文生産術:How to Write a Lot」で紹介したように、英語ライティ

記事を読む

英文法再入門|高校の先生がこの本を読んでいれば

中公新書の『英文法再入門』は、直接的なタイトルに見られるように、英語学習者向けに文法を学ぶポイントを

記事を読む

効果抜群おすすめ英単語超学習法|語源から理解して飛躍的に語彙を広げる

今年5月に出版された『英単語の語源図鑑』が、すでに20万部も売れているようだ。英語関連書としてベスト

記事を読む

「ない仕事」の作り方|みうらじゅんとノーベル賞級の研究

みうらじゅんの最新刊「『ない仕事』の作り方」、これがめちゃくちゃ面白かったものだから、ここで力強くお

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑