世にもおもしろい英語|あなたの知識と感性の領域を広げる英語表現
小泉牧夫の『世にもおもしろい英語』は、サブタイトルにある通り「知識と感性の領域を広げ」、英語という言語が持つ奥深さを教えてくれる内容だ。僕もとてもおもしろく読んだ一冊である。
小泉牧夫(こいずみ まきお)
英語表現研究家、英語書籍・雑誌編集者。英語書籍・雑誌を中心に編集を行い、数多くの出版物を世に送り出す。同時に海外版権担当としてブックフェアに参加、世界各国の出版社と商談を行う。35年に及ぶ語学書の編集者としての集大成が本書である。
本書には、著者がこれまで様々な英語テキストの編集に携わってきた経験から知った、とても興味深い英語フレーズが満載。もちろんそれだけでなく、なぜそのような言い回しになっているのかという解説もあり、全編にわたって惹きつけられるようにして読める一冊となっている。例えば、結婚・離婚関連では、”shotgun marriage” という言い方がある。これは日本語の「できちゃった結婚」に該当するものであり、そのフレーズ自体は聞いたことがあったのだが、なぜそのような言い方となっているのかご存知だったろうか?また、それでは “Disneyland daddy” とは? これは知らなかったのだが、離婚しても子供をディズニーランドに遊びに連れて行ってくれる父親、という意味だそうだ。なるほどねえ。
また仕事関係のフレーズでは、自分の本職以外に「副業をする」「アルバイトする」ことをmoonlight というそうだ。夜な夜なこっそり働くというイメージなのだが、これも言われてみればなるほどだが、これまで知らなかった言葉づかいだ。それ以外にも、キャッチコピーでお馴染みの “page-turner” や “eye-opener” は知っていても、さて “nail-biter” とかね。
さらに個人的にもっとも興味深く読んだのが、動物に関する英語表現。例えば、as strong as a lion「ライオンのように強い」、as hungry as a bear「熊のように腹ペコ」、as gentle as a lamb「仔羊のように従順な」、as sick as a dog「犬のように気分が悪い」といったように、動物に特定のイメージが付与されているのが面白い。また、なぜなぜカクテルはcocktail(オンドリの尻尾)と言うのか、という小話も初めて聞いた内容だった。
というように、本書には英語表現に関するユニークな表現が満載。それらを自分で使う機会はそんなに多くないかもしれないが、英語の面白さを知るには最適の内容でもある。リラックスして読みながら、へぇ~を連発するというのが、本書の味わい方ではないだろうか。著書の以下のまえがきも大変共感できるものであり、著者の英語での失敗談や笑い話も含め、一つ一つのエピソードが最後の最後まで楽しめる一冊。おすすめです。
私は、これまで英語関係の雑誌や書籍の編集に携わってきました。日本人としては、英語を学ぶという点では、特殊な恵まれた環境にいたのかもしれませんが、それでも英語に悪戦苦闘する毎日でした。 そんな中で慰めとなり、英語を続けるモチベーションとなったのが、先に紹介したような「おもしろい」英語表現でした。英語そのものの中に、とても魅力的な世界が広がっていたのです。英語表現ひとつ覚えるたびに、知識だけでなく自分の感性の領域が広がっているのが実感できました。そして、その積み重ねは、私の人生観をもダイナミックで柔軟なものに変えてくれたのです。 本書では、私の心の琴線に触れた「世にもおもしろい」英語表現の数々を、人生・仕事・洒落た表現・恐怖表現・動物・人体・植物・色彩・人名・地名・数字といった章に分けて網羅しようと思います。それぞれの表現の語源や成り立ちから実際の使い方も、できるだけ詳しく解説します。そこには英語を話すアメリカ人やイギリス人の普段の生活振りから人生観、感性や知恵、歴史までも垣間見ることができるでしょう。そして、これはおまけですが、私自身の英語表現にまつわる鮮烈な記憶も語っていきたいと思っています。
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