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将棋名人がAIに負けた日|人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?

公開日: : 最終更新日:2020/11/06 オススメ番組・映画・ドラマ

いま、将棋がめちゃくちゃ面白い。藤井聡太という若き天才プロ棋士が、長い歴史を誇る将棋の記録を次々と塗り替える一方で、今や大ベテランとなったレジェンド羽生善治九段が、タイトル通算100期獲得という大台を目の前に、竜王戦7番勝負では熱戦を繰り広げつつ、王将戦挑戦者決定リーグでも連勝を続けている。先日発売されたスポーツ雑誌ナンバーは、まさかの将棋特集ながら、これが圧倒的な売れ行きを記録し、売切れ店が続出したのはまだ記憶に新しい。いまそれくらい、将棋がアツいんです。

 

 

 

さて、そんな将棋ブームが日本全国を覆う中、11月3日にNHKで放送される番組「アナザーストーリーズ」では、プロ棋士の佐藤天彦名人が人工知能AIポナンザの前に敗北したあの瞬間に焦点を当てる。あの衝撃の一日から、はや3年以上が経とうというのか、それはもう将棋の戦い方だけでなく、観戦のしかたまで激変するわけである。

 

 

将棋界の最高峰・佐藤天彦名人(当時)がコンピューターに敗北!佐藤が当時の心境明かす。AIを研究に取り入れた豊島将之二冠ら新世代棋士も登場!AIと歩む未来とは?

将棋ソフトがついに人類を超えた!2017年5月20日、将棋界の最高峰・佐藤天彦名人が人工知能AIと対決、9時間の激戦の末に敗北を期した。最強AIを生んだのは若きプログラマー。自身の手を離れて強くなる“我が子”におぞましさを感じたと明かす。一方、プライドをかけて向き合った名人やプロ棋士たちは戦いに何を見たのか?胸中を明かしてくれた。さらにAIで力をつけた新世代棋士たちも登場!AI共存時代の未来とは?

 

 

 

上記の名作の著者でもあるチェスの世界チャンピオンであったカスパロフが、IBMのディープ・ブルーに敗れたのが1997年。そのときでさえ、相手から奪った駒を自軍として使用できる将棋は、チェスよりもはるかに複雑であり、人間がコンピュータに敗れるのはまだまだ先のことだ、という風潮が強かった。しかし、そこからちょうど20年が経った2017年、将棋名人もついにAIの前に負けを宣言せざるを得なくなったのだ。敗戦当日の朝日新聞は以下のように報じている。

終局直後、佐藤名人は「勝つのは相当厳しいと思っていた。思いつかない手を指されて、差がついてしまった。ファンの期待に応えられなかったのは残念」と落ち着いた口調で話した。開発者代表の山本一成さん(31)は「コンピューターが名人に勝つのは、一昔前には考えられなかったこと。すごくうれしい」と話した。

 

 

ついに名人を破ったその最強のAI「ポナンザ」を開発した山本一成氏が著したのが、以下の『人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質』が、これまためちゃくちゃ面白いのである。これは開発者としてのこれまでの取り組みや考え方をまとめたものであり、将棋の本ではまったくない。そして、開発者本人でさえ、AIが自動的に学習することによる成長を正確に予測することはできなかった、というのが極めて興味深い。これまでは過去の人間同士の対戦結果を詰め込みで記憶させるというアプローチだったところに対し、近年の開発思想は、AI同士を何度も何度も対戦させ自ら学ばせるという、機械学習・深層学習・強化学習のアプローチが、如実に結果に結びついたのが、この将棋という世界だったのだ。本書は、人間と機械の対戦からわれわれは何を学ぶことができるのか、というより深い問いを真剣に考えるためにも、同分野の必読書である、松尾豊『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』と合わせて熟読して欲しい一冊だ。NHKの放送とあわせ、ぜひこの機会にこの分野に興味を持って頂けたらと思う。

 

2017年4月1日――人工知能「ポナンザ」が現役の将棋名人に公式戦で初めて勝利した日を、その生みの親である著者は次のように振り返ります。

「この日は、コンピュータ将棋の世界にとって記念すべきものになりましたが、同時に改めて、人間と人工知能の違いを認識させられた日ともなりました。本書で紹介してきた人工知能(ポナンザ)の特徴と、世界に意味を見つけ物語を紡いで考えていく人間の思考法の限界が明確に表れたのです。」

本書の魅力は、このフレーズに象徴される「人工知能と人間の本質的な違い」そして「知能と知性の未来」を、
◇プログラマからの卒業
◇科学からの卒業
◇天才からの卒業
◇人間からの卒業
という4つの章で見事に段階的に説明している点にあります。

そしてもう1つの読みどころは、著者が研究の最前線で遭遇した驚くべき事象や、囲碁・将棋のプロ棋士たちの人工知能への反応を鮮やかに記述していること。

◇黒魔術化する人工知能
◇黒魔術の1つ、「怠惰な並列化」とは
◇ディープラーニングは 知能の大統一理論になれるか?
◇サイコロにも知能がある!?
◇囲碁は画像だった!
◇知能の本質も画像なのか?
◇科学が宗教になる瞬間を見た
◇研究者は「人工知能の性能が上がった理由」を説明できない
◇人類はこれから、プロ棋士と同じ経験をする

などなど、目からウロコの解説の連続で、既存のどんな人工知能の解説書よりも面白くてわかりやすい、必読の1冊となっています。

 

 

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