*

生誕300年記念の伊藤若冲展に行こう

公開日: : 最終更新日:2016/05/03 アート, オススメ

さて先日から東京都美術館で始まった「若冲展」。生誕300年を記念した大回顧展ということもあって、NHKが地上波・BS合わせて相次いで特集を組むなど、注目度は極めて高く、早くも入場者数が10万人を突破したとのことである。

 

jakuchu-2016-1

 

 

覚えている人も多いだろうが、2000年の京都での展示会で爆発的なブームを巻き起こした天才絵師・伊藤若冲。2006年には東京で、そして2012年には米国ワシントンDCのナショナル・ギャラリーでの展示会が、さらにその人気を加速させた。僕もこれまで何度も若冲展には足を運んできたが、今回のような大規模回顧展ならば、やはり大行列を覚悟しても行くしかあるまい。

 

とくに今回の「若冲展」は一ヶ月間のみの開催ということもあり、今年の大型連休にはさらに多くの人が押し寄せることだろう。それでも、やはりこの目で見ておきたいと大勢に思わせるのが、この伊藤若冲という絵師の色鮮やかな魅力なのだろう。

 

jakuchu-2016-2

 

 

そんな若冲を特集した雑誌は書籍は、今やそれこそ山とあるので、身近な本屋で手にとって好きな一冊を選べばよいと思う。だけどそれと合わせてぜひ読んで欲しいのが、日本の美術史に長い間埋もれたままとなっていたこの伊藤若冲を再発見・再評価した美術史家・辻惟雄の著書である。

 

とくに、最新の『奇想の発見』では、いかにして若冲という絵師に出会ったのか、その作品が当時いかに無造作に扱われていたのかといったエピソードが豊富で大変に興味深い。それと同時に注目すべきは、世界一の若冲コレクターであるジョー・プライスの存在を知り、接点を持ち、そして交流を深めたプロセスであろう。

若冲・蕭白を見出した辻センセイの愉快でトホホなハミ出し人生。ギロリと眼を剝く曾我蕭白の雲龍図、岩佐又兵衛の血みどろ絵巻、そして大ブームを巻き起こした伊藤若冲の白い象――。花鳥風月を優雅に愛でる日本美術史の片隅ですっかりキワモノ扱いされていた「奇特な」画家たちを発掘し、ニッポンの美に禍々しき愉楽を与えた立役者。その自由な精神を育んだ生涯を綴る、初めての自伝。

 

 

この『奇想の発見』は、辻の前著作である『奇想の系譜』そして『奇想の図譜』に連なる一冊であり、そしてキワモノ扱いされていた美術作品に囲まれた辻のシアワセなアート人生を振り返ったものなのだ。ぜひとも今回の若冲展に行く前に、いや行列に並ぶ時間を使ってでも、ご一読頂きたい内容なのである。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

2022年ニューヨークタイムズ紙が選ぶ世界の52ヶ所

毎年恒例、ニューヨークタイムズ紙が選ぶ、今年訪れたい世界の場所52ヶ所。2022年のリストはこちらの

記事を読む

今年買って本当に良かったモノ:暮らしを豊かにするホーム・アイテム5選

先日の「今年買って本当に良かったモノ:仕事の生産性を高めるオフィス・アイテム7選」に続いて、ホーム編

記事を読む

アートで生まれ変わった清津峡渓谷トンネル|越後妻有アート・トリエンナーレ「大地の芸術祭」の舞台へ

9月の連休を皮切りに、これから秋の行楽シーズンがはじまる。もちろん今年はコロナ禍でこれまでと同じよう

記事を読む

ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所:2016年版

さて今年もこのシーズンがやってきましたね。ニューヨーク・タイムズ紙が発表する「今年絶対に行きたい世界

記事を読む

Amazon.com の勢いが止まらない|サイバーマンデーで過去最高売上を記録

株価上昇が続くアメリカ経済の中でも、Amazon.com の勢いはひときわ目を引く。下のグラフを見れ

記事を読む

グランドスラム初優勝を目指す錦織と大坂|データで観戦する全米オープンテニス

現在熱戦が繰り広げられている今年の全米オープンテニス、錦織圭と大坂なおみのそれぞれベスト8進出をかけ

記事を読む

最強のトイレがアメリカに上陸。一方の日本では「トイレとうんち」展が大人気

僕はトイレに並々ならぬ関心を持っている。本当に。だから、国連が「11月19日は世界トイレの日」と定め

記事を読む

ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所:2015年版

昨年「ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所」で書いたように、同紙では毎年1月

記事を読む

錦織圭の全豪オープンテニス準々決勝|対ジョコビッチ戦の敗戦をデータで振り返る

先日「錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKERが面白

記事を読む

もう一度聞きたい、アメリカの大学卒業式スピーチ5選

アメリカの卒業式シーズンは5月だが、日本でいえば今がまさに大学卒業のピーク・シーズンである。だからこ

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑