ゾクゾクするほどコワい人間のココロ|「怖い絵展」にもう行きましたか?
アートファン待望の「怖い絵展」が、いよいよ上野の森美術館で始まった。既にご覧になった方もいるだろうが、業界大注目の本美術展は、先行して開催された神戸でも大反響となった。ようやくやってきた東京での展覧会は、下記のようなニュースサイトでも大きく取り上げられており、ちょっとでも関心がある人にとっては絶対に見逃せないものになるはずだ。
- 恐怖の絵画たちを集めた展覧会「怖い絵」展がゾクゾクする(excite ニュース)
- 「怖い絵」展で恐怖のあまり絶句した – 最大限に”怖さを楽しむ”方法はこれ(マイナビ ニュース)
世界の名画の中でも、おどろおどろしい絵を集め、その背景を解説するという実にユニークな本企画は、中野京子氏の原作によるものであり、本人が今回の企画展の監修も行っている。その中野氏の記念すべき第一作が下記『怖い絵』だ。Kindle 版の文庫がものすごく安価になっているのだけれども、挿絵を見るならやはり紙の書籍の方がおすすめだ。
「特に伝えたかったのは、これまで恐怖と全く無縁と思われていた作品が、思いもよらない怖さを忍ばせているという驚きと知的興奮である」。絵の背景にある歴史を理解してこそ浮き彫りになる暗部。絵画の新しい楽しみ方を提案して大ヒットした「怖い絵」シリーズの原点が、満を持しての文庫化。ドガの『エトワール』、ラ・トゥールの『いかさま師』など全22作の魅力。
続けて放たれた第二弾がこちらの『死と乙女篇』。このサブタイトルからも予想されるように、怖さはさらに加速する。
全身にみなぎる憤怒と威厳、「皇女ソフィア」―凄絶な姉弟喧嘩の末に、権力を握ったのは?甘やかな香りが漂う、ボッティチェリの最高傑作、「ヴィーナスの誕生」―美の背後に秘められた、血なまぐさい出生の物語とは?自らを死神になぞらえた、「死と乙女」―実際に画家とモデルを襲ったその後の運命は?名画に秘められた人間心理の深層を鋭く読み解く22の物語。文庫書き下ろしも収録したシリーズ第2弾。
そして待望の第3弾がこの『泣く女篇』である。表紙の絵は、今回の「怖い絵展」ポスターと同じであり、今回の企画を象徴する絵とも言えるだろう。人間心理の奥深いところまで覗いてみませんか?
散る直前の匂いたつ美しさ、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」―彼女を死に追いやった陰謀とは?フェルメールの知られざる宗教作品、「エマオの晩餐」―世界の美術市場を震撼させた事件とは?近親結婚くり返しの果て、「カルロス二世」―スペイン・ハプスブルク家断絶の過程は?憎悪、残酷、嫉妬、絶望、狂気、妄想…。名画に秘められた人間心理の深淵を鋭く読み解く22の物語。書き下ろしを加えてついに文庫化。
そんな中野氏の人気シリーズ最新刊がこの『新・怖い絵』だ。ここでは絵画の歴史に燦然と輝くあの有名画家たちを題材に、従来とは異なる絵画鑑賞の視点を伝授する。
絵の背景にある歴史の闇や人間の暗部に注目し『名画に描かれた「怖さ」を読み解く』という新たな絵画の楽しみ方を提唱し大ヒットした、「怖い絵」シリーズの待望の新刊が満を持して登場!今回取り上げるのは、シャガール、ミレー、モネ、ゴヤ、カラヴァッジョといった有名どころからゲイシー、ブグローなどマニア向けまで多種多彩。中野節炸裂、絵画ファンから歴史ファンまで大満足の解説書。
というように、「怖い絵」という新しい見方を提案した中野京子氏の一連のシリーズ作はいずれも大変に興味深い。しかしながら、その著作に通底する洞察は、ずばり「やっぱり人間が一番コワい」である。ワレワレ人間誰しもが持っている、そんな醜悪で薄汚い深層心理にじっくり向き合うためにも、上野の森美術館を訪れてみるのがよいのではないだろうか。中野京子氏の著作を事前に目を通しておくこと、そして出来れば一人で訪れること、が大事だと思う。ワタクシ自身もそんな怖いもの見たさで、近々行ってみる予定です。
名画は語る。人間って、怖い……。名匠ベラスケスの手による、一見かわいらしい王子の肖像画。しかし、その絵が生まれた“時代の眼”で見ていくと、人間心理の奥底に眠る「恐怖」の側面が浮かび上がる。悪意、呪縛、嫉妬、猜疑、傲慢、憤怒、淫欲、そして狂気……。カラー掲載の名画33点から見えてくる人間の本性とは??
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