あまりにも残酷なプロテニス選手の実生活|世界ランキングと超格差社会
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今年の全仏オープンテニスは、優位と見られていたナダルが、予想以上に周りを圧倒する強さで12回目の優勝を飾った。素晴らしいの一言しか出ないほど、極めて優れたパフォーマンスを発揮し続けた大会だったと記憶されるだろう。
さて我らが日本のエース錦織圭は、そのナダルに準々決勝で対戦しストレートで敗退。その対決までにフルセットの試合を連続して戦ってきた披露が蓄積していたとはいえ、やはり何とも残念な結果と言わざるを得ない。しかしながら、そんな錦織をグランドスラム万年ベストエイト止まりだと、誰が批判できるというのか。世界ランクのトップ10を維持し続けることがどれだけ大変なことなのかは、日本人選手の中で錦織だけがすば抜けている現状を見れば分かることだろう。
そんなあまりにも厳しいプロテニス選手の日々の暮らしを赤裸々に描いたノンフィクションがこちら、『テニスプロはつらいよ 世界を飛び、超格差社会を闘う』である。幼い頃から天才プレイヤーとして育てるためには相当なお金がかかる。スクール代に、個人コーチ代、そして国内外の遠征費用などなど。そしてそれはプロになったとしても、ランキング下位の選手にとっては引き続き頭も体も悩ませる、極めて厳しいおカネの現状なのである。その詳細については、以前に書いた以下のエントリなどもぜひご覧頂きたい。
華やかで優雅に見えるプロテニスの世界だが、もちろんそれは極々一部のトップエリート選手に限った話なのである。それではそれ以外のその他大勢がどうやって日々食いつないでいるのか、その現実を知るだけで、いまの錦織の立ち位置とそこに到達した才能と努力に、あらためて感服することだろう。グランドスラムのベストエイトであっても、それがどれだけ大変な偉業であるのか、本書を読むことで一段と理解が深まるはずだ。グランドスラム優勝を期待するのはもちろんなのだが、そんなことは口にも出せず、毎日必死に生き抜いている数多くの無名選手たちがその背景にいることを、忘れてはならない。それほどにおすすめしたい本書は、現在 Amazon Kindle なら、【40%OFF以上】新書フェア によって55%オフの大特価となっている。この機会にぜひどうぞ。
34億円。プロテニス選手の錦織圭の年収だ。淡い幻想を抱いてしまうが、「テニスで食べる」のは想像以上に難しい。テニス雑誌元編集長の著者がプロテニス選手の経済事情を赤裸々に明かす。主人公は錦織より2歳年下の関口周一。世界ランキング最高位は259位。中学校から完全にテニスに専念、高校も通信制を選んだ。サラリーマン家庭に育った彼がプロになるまでの家計の負担、そして今の収入。日本ではトップ10に入っており、海外を転戦しているが、年間の獲得賞金は200万円にも満たない。関口はジュニア時代は世界ランク5位にまでのぼりつめ、将来を嘱望された。一つの試合の一つのミスで歯車が狂い始めるのだが、それは一流と二流の差が紙一重であることも物語る。関口の再飛躍に期待したい。
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