*

サンフランシスコ発の口コミ情報サイト「Yelp」が日本上陸

公開日: : オススメ書籍, ニュース, 研究・論文

米国の口コミ情報サイト「Yelp」(イェルプ)が日本でサービスを開始したというニュース(日経新聞)。

口コミ情報サイト「Yelp」(イェルプ)を運営する米イェルプは2014年4月9日、日本でのサービスを開始すると発表した。同日よりYelp.co.jpが利用可能となっている。イェルプは、2004年7月にサンフランシスコで設立され、現在米国やカナダ、中南米、ヨーロッパ各国を中心にサービスを展開している。レビューの内容は、レストラン、バー、コーヒーショップなどの飲食店はもちろん、ショッピングセンター、病院、自動車整備工場まで多岐にわたる。2013年第4四半期のYelpの月間ユニークビジターは1億2000万以上、同期末までに投稿されたレビューの数は5300万件を越える。日本でのサービス開始は、アジアではシンガポールに続き2番目、世界では26番目となる。アルファベットを使わない言語をサポートするのは日本語が初めてだ。

 

これはなかなかに便利なサービスで、僕も米国留学中には結構使っていた。とくに初めて訪れた街でどのレストランで食事するか決めるときなどに参考にしていた。Tech Crunch でもう少し詳しく解説されているように、実名にこだわったレビューが特徴となっており、それが日本の代表的なサービス「食べログ」と大きく異なる点となっている。

 

「日本には実名文化は馴染まない」と、Facebook 日本上陸の際にも mixi の優位は揺るがないと考えていた人も多かったと記憶しているが、結果は見ての通りだ。そういう経緯を鑑みると、今回のYelp 参入に対し「食べログ」の警戒感は相当強いのではないかと推測する。

 

dinner tablephoto credit: Steve Corey (off-line) via photopin cc

 

ちなみに、Regression discontinuity design を利用して、Yelp で獲得した評価がレストランの経営に与える影響を推定した論文が、 “Learning from the Crowd: Regression Discontinuity Estimates of the Effects of an Online Review Database” (Anderson and Magruder) であり、オンラインでの評価が高まったレストランは予約数が増加すると結論づけている。「食べログ」の日本のレストランデータを使って、同じようなことをやっている人もいるのではないだろうか。

Internet review forums increasingly supplement expert opinion and social networks in informing consumers about product quality. However, limited empirical evidence links digital word-of-mouth to purchasing decisions. We implement a regression discontinuity design to estimate the effect of positive Yelp.com ratings on restaurant reservation availability. An extra half-star rating causes restaurants to sell out 19 percentage points (49%) more frequently, with larger impacts when alternate information is more scarce. These returns suggest that restaurateurs face incentives to leave fake reviews but a rich set of robustness checks confirm that restaurants do not manipulate ratings in a confounding, discontinuous manner.

 

「口コミ」というのは大変に興味深い現象で、その影響はオンラインそしてソーシャルの時代になりますます無視できないものとなっている。「マルコム・グラッドウェルの tipping point」で紹介したように、このテーマの定番書は『急に売れ始めるにはワケがある』。ベストセラー作家マルコム・グラッドウェルが「ティッピング・ポイント」というファンシーな言葉を浸透させたものとしても知られる、とても刺激的な一冊。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

数学者たちの異常な日常|世にも美しき最後の秘境

以前に「あたなの知らない、世にも美しき数学者たちの日常」でも紹介した、二宮敦人著『世にも美しき数学者

記事を読む

ハートマウンテン日系人強制収容所の、貴重なプライベート写真集

7月に出版されたエッセイ写真集『コダクロームフィルムで見る ハートマウンテン日系人強制収容所』を読ん

記事を読む

playground in a rural area

アメリカと日本と国際養子縁組

先日のTBSの番組「女児はなぜアメリカへ行ったのか?国際養子縁組を考える」を観た。 豊かな社会とは

記事を読む

2015年ことしの漢字は「安」|それでは英語や中国語やドイツ語の一文字は何でしょう?

毎年12月に京都・清水寺で発表される「今年の漢字」に、2015年は「安」が選ばれた(2位は「爆」)。

記事を読む

戦略アナリストが支える全日本女子バレー|世界と互角に戦うデータ分析術

女子バレーボールのワールドカップもいよいよ終盤戦。リオデジャネイロ五輪への出場権をかけて瀬戸際のニッ

記事を読む

経済学と歴史学そして自然実験

2010年に出版されていた "Natural Experiments of History" がよう

記事を読む

欧州サッカークラブ収益ランキング|マネーリーグ2023発表

今年もまたこの時期がやってきた。そう、 監査法人Deloitteが毎年発表している、サッカークラブ

記事を読む

2014年、本ブログでのベストセラー:Kindle版および書籍版

今年もいよいよ終わり。ということで、この一年間の本ブログ上でのベストセラーを発表しよう。Kindle

記事を読む

米国大統領選挙2020を前に|憲法でふりかえるアメリカ近現代史

コロナ禍もあって史上もっとも盛り上がらないと言われている今年のアメリカ大統領選挙だが、副大統領候補が

記事を読む

fire department in New York

オープンガバメント:ニューヨーク市消防庁のオープンデータ戦略

ニューヨーク市の消防庁が、データを使って建物検査を効率的に行っているというウォール・ストリート記事。

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑