英語論文の書き方:スタイルとフォーマットで学ぶアカデミック・ライティング
公開日:
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最終更新日:2021/01/30
英語
3回連続で紹介したおすすめ英語ライティングテキスト、の続き。
以前に「アカデミックライティング: “They Say, I Say”」で書いた、“They Say, I Say: The Moves That Matter in Academic Writing” に、最新第4版が登場したようだ。これは数あるテキストの中でも、大変オススメの一冊なのである。
*New to the Third Edition
Preface: Demystifying Academic Conversation
Introduction: Entering the Conversation
Part 1. “They Say”
1. “They Say”: Starting with What Others Are Saying
2. “Her Point Is”: The Art of Summarizing
3. “As He Himself Puts It”: The Art of QuotingPart 2. “I Say”
4. “Yes / No / Okay, But”: Three Ways to Respond
5. “And Yet”: Distinguishing What You Say from What They Say
6. “Skeptics May Object”: Planting a Naysayer in Your Text
7. “So What? Who Cares?”: Saying Why It MattersPart 3. Tying It All Together
8. “As a Result”: Connecting the Parts
9. “Ain’t So / Is Not”: Academic Writing Doesn’t Always Mean Setting Aside Your Own Voice
10. “But Don’t Get Me Wrong”: The Art of Metacommentary
*11. “He Talks About Deplores”: Using the Templates to RevisePart 4. In Specific Academic Settings
12. “I Take Your Point”: Entering Class Discussions
13. “What’s Motivating This Writer?”: Reading for the Conversation
*14. “On Closer Examination”: Entering Conversations about Literature
15. “The Data Suggest”: Writing in the Sciences
16. “Analyze This”: Writing in the Social SciencesReadings
David Zinczenko, Don’t Blame the Eater
Gerald Graff, Hidden Intellectualism
Barbara Ehrenreich, Introduction to Bait and Switch
Flannery O’Connor, Everything That Rises Must ConvergeIndex of Templates
第3版では、”Using the Templates to Revise” ほか複数の章が新たに付け加えられているが、この Template こそが、本書の最大の特徴となっているのである。序章から “The Usefulness of Templates” と題され、テンプレートの効用について説く。
一方で、こうしたテンプレート利用に対する反発があることに対しても著者らは重々承知しており、”Okay, but Templates?” と続けて、こうしたテンプレートを何故、そしてどのように授業で用いているのかを解説する。この序章を読むだけでも、著者らのアプローチが明快になるとともに、本書のユニークさが伝わるだろう。歌舞伎の世界には「型のある者が基本を崩すから『型破り』。型のない者が基本を崩すと『型無し』」という格言があるが、アカデミック・ライティングの世界もそれに近いのではないだろうかと思いながら、テンプレートを通してスタイルとフォーマットという「型」を学ぶという修行に励むわけである。
photo credit: Nic’s events via photopin cc
さてそんな本書は、上記のような目次構成となっているのだが、より詳細には次のような内容となっている。第1章 “They Say” では、先行研究についてまとめる “The Art of Summarizing” そして “The Art of Quoting” に関して、使える文章テンプレートやアクティブ動詞が紹介されており、大変に実践的である。
第2章 “I Say” は本書の中核をなす部分であり、既存論文と比べて「私は」何を新しく伝えようとしているのかという観点から、論文の書き方をアドバイスする。ポイントとなるのが “Distinguishing What Your Say from What They Say” そして “Saying Why It Matters” だ。類似研究に建設的批判を加えながら、自身の論文のどこにオリジナリティがあるのか、そしてなぜそれが重要な貢献となるのかを強調した書き方について指南する。
そして第3章 “Tying It All Together” も示唆に富んだ章となっている。ここでは、”Connecting the Parts” と題して、論文全体の書きぶりについて統一感を持たせるすべを、そして “Academic Writing Doesn’t Always Mean Setting Aside Your Own Voice” では、著者の主張を(ときには)読み手に語りかけるように書くことの必要性を、そして “The Art of Metacommentary” では、やはり数多くのテンプレートを紹介しながら、自らの主張が正確に読み手に伝わるよう、どのように主張を読んで欲しいかという Metacommentary の使い方について解説する。
これまでに僕自身が使って役立った英語アカデミック・ライティングのテキストは、「英文ライティングおすすめ参考書」にリストアップして紹介したとおりだが、その数あるテキストの中でも、本書 “They Say, I Say: The Moves That Matter in Academic Writing” は、数多の文章テンプレートを用いて、アカデミックライティングのスタイルとフォーマットを学ぶという、極めて実践的な内容の一冊である。ユニークな視点でまとめられており類書が見当たらないという点でも、この最新第4版はぜひ一読をおすすめしたい秀逸なテキストとなっている。
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