イェール大学出版局 リトル・ヒストリー|若い読者のための「文学史」のすすめ
以前にも「イェール大学出版局『リトル・ヒストリー』は初学者に優しい各学問分野の歴史解説」で紹介したように、本シリーズは様々な学術分野の、優れた入門解説書となっているのだ。第1期として全5冊、第2期として全2冊、シリーズ合計で現在まで7冊が翻訳出版されている。
そのなかから、最新作でもある『文学史』が、現在のKindle月替わりセールのおかげで現在半額キャンペーンと実にお買い得となっているので、この機会にぜひ読んでみて欲しい。
なぜ私たちはここにいて、どう生きればいいのか。あらゆる文学が、作家が見出した真実を答えとして提示する。ホメロス、チョーサー、シェイクスピア、ディケンズ、オースティン、エリオット、オーウェル、カフカ、村上春樹、J・K・ローリング―。本書では、社会に衝撃を与え、商業的に成功し、後世の書棚に残った魅力的な作品を、たっぷりの情報とともに面白く語り尽くす。
本シリーズは全作いずれもおすすめであり、僕は既にすべて持っているのだけれども、あえて順位をつけておすすめを紹介するなら、経済学史はまずはぜひ。たとえ経済学を勉強していても、経済学史を学ぶ機会というのは実はそれほど多くはない。だからこそ、このようなチャンスに、こうした優れた案内書を用いて歴史を振り返るのは、大変素晴らしいことではないかと思うのだ。
もちろん経済学史以外もおすすめなのだが、とくに哲学史・宗教史というのはふだん馴染みがない分野だからこそ、こうした入門書がとても有難い。くわえて、アメリカの歴史というものも、日本から見たアメリカ史ではなく、アメリカで学ぶアメリカ史を追体験するという意味で、本書はおススメと言えるだろう。というように、このシリーズ、読みどころ満載なので、ぜひとも読んでみて欲しいし、こうしたシリーズが日本の大学出版会からも生まれてくることを期待したい。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
今からでも遅くない「行動経済学がわかるフェア」
「今年のノーベル経済学賞は『行動経済学』のリチャード・セイラーに」でも書いたように、2017年の受賞
-
-
2020年、本ブログで人気だった英語論文ライティングの参考書ベスト5冊
先日のエントリ「いま国語辞典がおもしろい|10年ぶりの大幅改訂による最新版あいつぐ」で紹介したように
-
-
天才・奇才のおうち時間|日本に残る最後の秘境・東京藝術大学生の華麗な日常
NHKで放送中の「金曜日のソロたちへ」という番組をご存知だろうか? これは、「ひとり暮らし拝見バラエ
-
-
統計学と経済学をまる裸にする
ついにあの "Naked Statistics" に、待望の翻訳が登場。そしてあの "Naked E
-
-
プロフェッショナルのコンテナ物語
昨晩ひさしぶりにNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀 』を見た。「港のエース、ガンマンの絆」と題
-
-
この漫画がすごい『数学ゴールデン』が描く数学オリンピックの世界
Amazon では Kindle 電子書籍の大規模セールをしばしば開催しているが、こうしたキャンペー
-
-
イスラムとアラブを知るための入門書
今年に入ってから、「イスラム国」に関する書籍が相次いだ。世界の脅威となっているこの存在を謎や不明のま
-
-
将棋名人の渡辺くんと女流棋士えりりんの平和で非凡な毎日
現役最強の将棋棋士・渡辺明。名人位をはじめ三冠を保持する実力は棋界のなかでも抜きんでている。渡辺三冠
-
-
テニスプロはつらいよ|トッププレイヤー錦織圭とその他大勢の超格差社会
2014年の全米オープンテニスで日本人初のグランドスラム決勝進出を果たした錦織圭。その後の凱旋ツアー
-
-
これは経費で落ちません|経理部が見つめる人間模様
NHKで現在放送中のドラマ「これは経費で落ちません!」が面白い。多部未華子が演じるアラサー独身女子・