*

春になり大人になったら辞書を買おう|これがいま日本で最も売れている国語辞典だ

公開日: : オススメ書籍

さて今年も4月になり、進級・入学・入社とおめでたいイベントが相次いだ。中学生になったら電車も大人運賃だし、大学入学の頃にはもう選挙で投票できるし、そして社会人になったら誰がどこからどう見たって大人である。であるならば、もちろん国語辞典の一冊くらい、いや二冊か三冊は持っていますよね?

 

もしも持っていない、もしくは小中学校に買った子供用のものしかない、なんてことになったら大変に恥ずかしい。財布や定期券入れに鞄に靴、そしてスーツにネクタイといったアイテムは、誰しもが大人の必需品だと考えるだろう。しかし、どれだけの人が国語辞典もまた大人必携だと考えているだろうか。ぜひこの機会に国語辞典を見て触って比べて、そして複数そろえてみてはどうだろうか。言葉遣いというのは間違いなく、すべての大人がもっているべき社会的マナーなのだから。

 

そんな国語辞典の選び方については、これまでにも何回かにわたって解説してきたので、以下のようなエントリを参考にしていただきたい。

 

ここで一番お伝えしたかったメッセージは、数多くの種類がある国語辞典だが、その内容は驚くほど多様で、決して同じではないということだ。だからこそ、一冊一冊の個性を理解した上で、自分にとってもっとも相性がよい辞書を選ぶべきだし、できるならば複数の辞書を用意して、比較しながら使うと言葉の理解がもっと深まる、効果的な使い方となるのだ。それでは一体、それぞれの国語辞典が持つクセとはどのようなものなのだろうか?それを明快に教えてくれるのがこちらの名著『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』である。日本国内で現在出版されている数多の国語辞典を取り上げ、それぞれどんな視点で編纂されているのか、出版の背景にある思想と哲学と視点について、これだけ分かりやすく教えてくれる本はこれ以外にはない。本書はもう、中学校や高校の必読図書として指定してもよいくらいだ。国語辞典を買おうと思い立ったら、まずは本書でどの一冊にしようか考えてみることを強くおすすめしたい。

 

 

それでは各国語辞典の個性とクセを抑えた上で買うべき最初の一冊はなにか?理想をいうならば最初から複数の辞書をそろえたいところなのだが、そういうわけにもいかない事情もあることだろう。であるならば、いま日本で一番売れているというセールストークは非常に効果のあるメッセージとなる。それがこの三省堂『新明解国語辞典』だ。いまなら通常の赤版にくわえ、限定で青色の特装版も用意されている。大人としての新生活を始めるにあたって、間違いなくその素晴らしいパートナーとなってくれる一冊だ。

 

 

 

この新明解がなぜここまで、国民的支持を集める国語辞典となったのか、その経緯は実に興味深いのでぜひこの辞書が誕生した物語にも注目して頂きたい。そもそもこの国語辞典の人気が出始めたきっかけは、赤瀬川原平の『新解さんの謎』でこの辞書が持つユニークな味わいが紹介されたことに遡る。この書籍はもう20年以上も前のものだが、近年になってなぜこのような辞書が誕生したのかを明らかにしたノンフィクション『辞書になった男ケンボー先生と山田先生』が上梓され、いまは国民的辞書となったこの一冊が生まれるまでに、このようなドラマティックな人間物語があったのかと、読んだ者を驚愕させたのである。このような経緯については「赤瀬川原平『新解さんの謎』と『辞書になった男』:いま日本で最も売れている「新明解国語辞典」の誕生秘話」でも紹介したの、ぜひ読んでみて頂きたい。

 

 

そんなノンフィクションも実に興味深いのだが、フィクションの世界で国語辞典に着目した名作が『舟を編む』である。映画化もされ、松田龍平演じる個性的な辞書編纂者が強く印象に残る傑作だ。というように、国語辞典というのは、辞書そのものの面白さだけでなく、その辞書を生み出す編纂者の物語も内包しており、だからこそその言葉と教養と歴史の積み重ねが、大人としての嗜みとなっているのである。ぜひともこうした関連書にも触れながら、自分だけのステキな国語辞典を探してみてください。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

ブラックホールを初めて写真撮影|いまこそ宇宙論がおもしろい

さて先日は、人類史上初めてブラックホールの撮影に成功したという記者会見が世界中で話題となった。「ブラ

記事を読む

チェス界のモーツァルト、天才ボビー・フィッシャーの生涯が待望の文庫化

伝説的なチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯を記録した傑作ノンフィクション『完全なるチェス』

記事を読む

美貌格差:ビジンとイケメンと生まれつき不平等の経済学

労働経済学者 Daniel Hamermesh による一般向け書籍 "Beauty Pays: Wh

記事を読む

スコット・ジュレク『EAT & RUN』は、世界各地を走り尽くし、食べ尽くし、そして語り尽くした名著

ベストセラー『EAT & RUN 100マイルを走る僕の旅』は、とくにランナーにはおすすめ。

記事を読む

『ヤバい統計学』著者による新作『ナンバーセンス』で知る、アメリカ大学ランキングの舞台裏

以前に「テーマパーク優先パスの価格付け」でも紹介したように、カイザー・ファング著『ヤバい統計学』は、

記事を読む

英国一家、最後に日本を食べる&お正月スペシャル

コアな人気を博していたNHK深夜アニメ「英国一家、日本を食べる」。ベストセラーとなった原作も素晴らし

記事を読む

人間はアンドロイドになれるか|ロボット工学者・石黒浩の最後の講義

大学教授が定年退官の前に行う授業、それがこれまでの「最後の講義」だった。しかしそれを文字通り、自分が

記事を読む

スノーピーク初のグランピング施設が三浦半島にオープン

いよいよ夏が近づき、今年はまたキャンプにでも行こうかという話があちこちで聞こえそうなこの時期を狙って

記事を読む

takoyaki

米国人一家と英国一家が美味しい日本を食べ尽くす

ちょっぴり巷で評判の『米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす』を読んでみたら、これが思いの外おもしろか

記事を読む

Kindle電子書籍で手軽に読む高野秀行の探検記シリーズは、フィクションかと思うほどの強烈ノンフィクション

高野秀行という作家はものすごく強烈な個性を放っている。「高野秀行はセンス抜群の海外放浪ノンフィクショ

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

錦織圭と大坂なおみの全米オープンテニス2019

さて、いよいよ始まった今年の全米オープンテニス。錦織圭は、相手選手の途

長岡の花火大会が今年も素晴らしかった|来年はぜひお越しください

日本三大花火のひとつに数えられる新潟県長岡市の大花火大会。僕は今年も、

これは経費で落ちません|経理部が見つめる人間模様

NHKで現在放送中のドラマ「これは経費で落ちません!」が面白い。多部未

歌舞伎町ホストの帝王・ローランドの言葉にみる至極真面目なプロ意識

現代ホスト界における圧倒的カリスマ、歌舞伎町の夜の帝王、そしてこの世に

組織を動かす実行力|結果を出す仕組みの作り方

新刊『実行力』を興味深く読んだ。本書は、ご存知橋下徹が、これまで大阪府

海外で研究者になる|知られざる就職活動その舞台裏

日本人が数多く海外留学していることに比べると、海外で就職する例はまだま

錦織圭のウィンブルドンテニス2019|好調を維持したままベスト8進出

錦織圭が今年もウィンブルドンでベストエイト進出を決めた。しかも、これま

稀代の絵師・伊藤若冲の作品群が日本に里帰り

ここ数年、日本美術がもの凄いブームと言ってよいほどの盛り上がりを見せて

PAGE TOP ↑