フィナンシャル・タイムズと昼食を
公開日:
:
最終更新日:2015/07/17
英語
フィナンシャル・タイムズのコラム “Lunch with the FT” を毎週楽しみに読んでいる。結構な大物に対するインタビューなのだが、ランチを食べながらという設定なだけに、カジュアルな雰囲気の中で会話が続き、普段のビジネスインタビューからは窺い知れないその人のパーソナリティが伝わってくるのが特色となっている。
最近では投資家ピーター・ティールが登場した。フェイスブックの創業を支援したビリオネアとして名が通る彼はまた、よく知られたリバタリアンでもあり、「チャーターシティーと独立精神と『マイ国家』」で書いたように、野心あふれる国家建設に乗り出した “Big Thinker” でもあるのだ。
photo credit: jenny downing via photopin cc
“I believe things could be a lot better” と optimistic に考える彼は、テロや医療といった現代的な課題にも解決に至る道があるはずであり、big ideas can still flourish と、一見無茶なことにも真剣に取り組む。それが彼の起業家としての、そして投資家としての魅力となっているのだろう。
それ以外にも大勢の著名人がこのランチインタビューに登場した。日本人では楽天の三木谷浩志。楽天が導入した英語公用語化(’Englishisation’)についてざっくばらんに聞いている。また、経済学者では MITの開発経済学者、Esther Duflo もインタビュー対象となった。この回でずいぶんと突っ込んで聞くんだなと思ったのが、彼女の結婚や出産に対する考え方や、いずれフランスに帰りたいと思っているか等。“He is not my husband but he is the father of the child. And he doesn’t speak French, so I don’t think he would like to go to France.” という言葉に見られるように、彼女もまたこうしたプライベートな質問にも一つ一つ真剣に応えている。
1994年にまで遡る過去のインタビュー集は、書籍としてまとめられている。そのときどきの、各界の時の人が常にインタビュー対象となっているだけに、これだけで一つの現代史を表現しているようにも思える。その時の人のなかでも「いま」を体現している人の言葉を聞くという意味では、ぜひ毎週のインタビューを読んでみるのがいいだろう。
From film stars to politicians, tycoons to writers, dissidents to lifestyle gurus, Lunch with the FT gathers fifty-two fascinating interviews conducted at the unforgiving proximity of a restaurant table. The list of people who have participated in this popular feature since 1994 reads like an international Who’s Who of our times. Meet the rich and famous, the weird and the brilliant, the brave and the virtuous, all brought to you by the Financial Times’ global network of columnists and correspondents.
Amazon Campaign
関連記事
-
-
英語論文の書き方:スタイルとフォーマットで学ぶアカデミック・ライティング
3回連続で紹介したおすすめ英語ライティングテキスト、の続き。 英文ライティングここから始め
-
-
Kindle電子書籍で、一生に一度だって使わないジョジョの奇妙な英語を学ぶッ!
いよいよKindle電子書籍で(ごく一部のファンの間で)超話題の(かも知れない)アノ一冊が登場した。
-
-
英語論文の書き方:英文ライティングの新定番テキスト “The Sense of Style”
これまで4回連続で紹介してきた、英語アカデミック・ライティングのおすすめテキスト、の続き。
-
-
今年もアメリカの大学卒業シーズンがやってきた|おすすめ歴代スピーチ10選
さて、今年もアメリカの大学では卒業シーズンとなった。コロナ禍で大きく様変わりしてしまったとはいえ、卒
-
-
待望のシリーズ最新刊|『英熟語図鑑』で学ぶ基本動詞を使った自然で豊かな英語表現
以前に「効果抜群おすすめ英単語超学習法|語源から理解して飛躍的に語彙を広げる」でもおススメした、『英
-
-
【TEDトーク】モニカ・ルインスキーとネットいじめ|彼女が見つけた適切な関係
モニカ・ルインスキーという名前を久しぶりに聞いた。といっても、その名を記憶しているのは、ある程度の年
-
-
越前敏弥の『日本人なら必ず誤訳する英文~あなたはこれをどう訳しますか?』は、英語自慢への挑戦状
「越前敏弥の『日本人なら必ず悪訳する英文』は、英語自慢の鼻をへし折る一冊」で紹介したように、このシリ
-
-
[TEDトーク]教科書になるプレゼン|吃音のミュージシャンが語る私の言葉
NHK Eテレで放送されている「スーパープレゼンテーション」をご覧になっている人も多いことだろう。そ
-
-
アカデミックライティングにおすすめの英語辞典|コロケーションとシソーラスも一緒に学ぶ
Oxford Learner's Dictionary of Academic English がお
-
-
英語アカデミック・ライティング最高の一冊に日本語版が登場
英語のアカデミック・ライティングの書籍は数多くあれど、いやだからこそ、どの一冊を選べばよいか、悩んで

