人工知能と人間の未来、囲碁対決のその先へ|今週末のNHKスペシャルを見逃すな
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最終更新日:2016/05/18
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NHKスペシャル「天使か悪魔か|羽生善治 人工知能を探る」
今週日曜日に放送されるNHKスペシャル「天使か悪魔か|羽生善治 人工知能を探る」がもんのすごく面白そうだ。
2016年3月、グーグルの開発した囲碁の人工知能が、世界最強と言われる韓国人の棋士に圧勝し、世界に衝撃が走った。囲碁は、人類が発明した最も複雑なゲームと言われ、人工知能が人間を凌駕するのはまだ10年はかかると言われる中での出来事だった。このまま人工知能が進化していけば、どんな未来が到来するのか。番組のリポーターとして世界各地を取材していくのは、将棋界・最高の頭脳、羽生善治さん。圧倒的な思考のスピードと深さで将棋界に君臨し、日々、「人間にしかできないことは何か」を考え続けている。囲碁の人工知能を開発したイギリスの天才研究者、専門医にも判断できないガンを、画像から精緻に見分ける人工知能を発明したアメリカのベンチャー企業、人工知能に感情を持たせる研究を続ける日本企業など、人工知能開発の最前線を取材。人工知能が人間に何をもたらすのかを探っていく。
上記の番組紹介にもあるように、米グーグルの研究部門であるGoogle DeepMindが開発した「アルファ碁」と、韓国のプロ棋士イ・セドルの対決は、アルファ碁が3連勝して頂上決戦を制し、第4戦でイ・セドルが一矢を報いたものの、最終的には4勝1敗でアルファ碁が圧勝する結果となった。人工知能の前に人類最高の頭脳が敗れたと、世界中でセンセーショナルな話題となったのはまだ記憶に新しい。
- 「アルファ碁は芸術以外の何物でもない」人工知能が天才棋士を3タテ:DeepMindチャレンジを制する
- グーグルのAI「アルファ碁」が人間に勝った理由とその意味とは?
- 人工知能の勝利で「喪失感」 アルファ碁関係者の告白
- 圧勝「囲碁AI」が露呈した人工知能の弱点
プロ棋士・羽生善治の思考力と決断力
今回、その最先端の人工知能に迫るのが、日本が誇る最高の頭脳、プロ棋士・羽生善治なのだから、これはもう今週末のNHKスペシャルは絶対に見る、そして録画して後日また見直すべき、そんな番組になるのではないかと今から興奮しているのである。
もはや言うまでもないが、長い長い将棋の歴史をひとりで尽く塗り替えてきた羽生善治。1996年には空前絶後のタイトル7冠同時制覇を達成し、日本中で大きな話題となった。その後さすがに全タイトルを保有し続けることはできないものの、いまなお最強の棋士であり続け、他を寄せ付けない圧倒的な凄みを有する。
そんな羽生のこれまでの記録を振り返りながら、そして本人へのインタビューを通して、羽生の頭脳とその変容を明らかにしようというのが、こちらの『羽生善治 闘う頭脳』だ。もしも万が一にもまだ読んでないというのなら、今回のNHKスペシャル前に目を通しておきたい内容だ。もちろん、羽生の考え方をもっと奥深く知ろうというのなら、本人がその思考過程についてつづった名著『決断力』がベストだろう。
15歳でプロ棋士になってから30年、将棋界のトップランナーとして走りつづける天才・羽生善治。その卓越した思考力、勝負力、発想力、人間力、持続力はどこから湧き出るのか―。勝負と格闘してきた日常より生まれた彼の言葉は、将棋の枠だけには収まりきらない深い含蓄に溢れている。ビジネスにも通じる発想のヒントが満載です。
人工知能とディープ・ラーニング
そして人工知能が大きな話題となっている昨今、僕自身このテーマについてもっと知りたいと思って読んだのが以下の2冊だ。この分野の関連書は最近も出版が相次いでいるが、素人が基礎的な知識をざっと収集するという目的なら、東大で人工知能研究に取り組む松尾豊の『人工知能は人間を超えるか』、そしてジャーナリスト小林雅一の『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』がそれに応えてくれる内容と言えるだろう。ぜひこの2冊で人工知能・ディープラーニングという技術をしっかり予習して、万全の体制で今週末のNHKスペシャルに備えようではないか。どうぞよい週末を。
ディープラーニングの特徴をひと言で言えば、コンピュータが人間のように「気づき」を得るしくみのこと。これまで「人工知能」と呼ばれていたものは、たとえ同じ計算を10万回やっても、1回目と10万回目のやり方は基本的に同じで、もっと早く計算できる方法」に自ら気づけない。コンピュータの計算能力は飛躍的に上がったが、それは根本解決ではないのだ。しかし、その状況がディープラーニングによって革命的に変わる。
本書では、人工知能学会で編集委員長・倫理委員長なども歴任、日本トップクラスの研究者の著者が、これまで人工知能研究が経てきた歴史的な試行錯誤を丁寧にたどり、その未来像や起きうる問題までを指摘。情報工学・電子工学や脳科学はもちろん、ウェブや哲学などの知見も盛り込み、「いま人工知能ができること、できないこと、これからできるようになること」をわかりやすく解説する。
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