*

好きなことだけを仕事にした、新潟県三条市の世界的アウトドアメーカー「スノーピーク」の経営

公開日: : 最終更新日:2016/07/11 オススメ書籍, 南魚沼・新潟

新潟県三条市に、あのアップルも見学に来る企業があるのをご存知だろうか?それがアウトドアブランドの「スノーピーク」である。昨年末にマザーズに上場したとはいえ、従業員200名、売上高50億円の地方中小企業の一つにすぎない。だが、そんな会社がいま、数多くの熱狂的ファン「スノーピーカー」に支えられた優良企業と広く認識されるようになっている。その様はまさに、「マック信者」に囲まれたアップルを連想させるようではないか。

 

テントから調理器具、そして様々なアウトドアギアまでを自社オンラインショップで扱う同社だが、なんといってもそのクオリティの高さを証明したのが、テント用のペグだろう。

 

snowpeak

 

 

 

スノーピーク社の山井社長自身が根っからのアウトドア実践者でもあり、ヘビーユーザとして自分が絶対に満足できる品質を作るという哲学で同社製品は企画されているが、そのなかでもテント用のペグの評価はずば抜けて高い。もちろん他社に比べてお値段も高いのだが、「品質に、情熱を。」という言葉の通り、火傷しそうなほどの熱量でものづくりに取り組んでいるのが、このスノーピークなのである。

 

 

 

そんな熱い会社が同じ県内にあるのだから、これは見学しに行かねばならぬと先日行ってきたところなので、ここで紹介しておきたい。新潟県は三条市のはずれの山の麓にある広大な敷地、それがこのスノーピークの本社「ヘッドクォーターズ」である。全国にいる数多のスノーピーカーにとっての「聖地」でもある場所なのだ。

snowpeak1

 

 

2011年に完成した社屋は一面ガラス張りでじつに綺麗で清々しい。景観を壊さないようにという配慮も伺える設計となっている。ちなみに、ここでは実際に社内見学をすることもでき、開発スタッフが新商品を企画している様子や、商品の製造工程などものぞき見することが出来てしまうのである。ファンにとってはたまらないサービスと言えるだろう。

snowpeak2

 

 

社屋にはショップも併設されており、ウェアから各種器具まで、ひととおりそろえることが出来る。聖地でこそ購入したいという人にとっては外せない場所だ。

snowpeak3

 

 

そして、一番の売りがこの社屋裏手に広がる広大なキャンプ場。そう、ここはつまり本社脇にキャンプ場を作りましたというレベルではなく、広々とした敷地のキャンプ場の中に本社を建てました、という位置づけとなっているのだ。さすが世界のアウトドアメーカーである、その視線ははるかに高く遠くまで見通しているようだ。僕が行った当日も、何組もの家族連れでにぎわっていた。キャンプ場予約はオンラインで可能なので、来年の夏はぜひお越し下さい。

snowpeak4

 

 

というように、僕はこのスノーピークの本社をおとずれてすっかり同社のファンになってしまったのである。アウトドアをやるなら、絶対にスノーピーク製品にしたい、そう思わせるほどの魅力が確かにこの企業に、そしてこの土地にはある。それを実感することができた、非常にステキな時間をここで過ごすことができたのである。そしてその思いは、山井社長が書いた初めての著書を読み、ますます強くなったと言わざるを得ない。ぜひご一読頂き、既にスノーピーカーの方々はますますファンに、これまで知らなかったひとはぜひその名前を覚えて欲しいと思う。

 

熱狂的なファンのいるアウトドア用品メーカー、スノーピークの山井太社長による初の著書です。スノーピークは世界に先駆け、SUVで自然の中に出かける「オートキャンプ」のスタイルを生んだ会社として知られます。「自分たちが本当にほしい製品」だけを作ることで、それまでなかった「自然の中で豊かで贅沢な時間をすごすアウトドアの楽しみ方」を確立してきました。

山井社長は年間30~60泊をキャンプのテントですごし、星空の下で五感を研ぎ澄ませながら、スノーピークのビジネスモデルを磨きます。燕三条発で世界ブランドとなった今も、キャンプ場でユーザーと焚火を囲んで語り合います。本書はスノーピークが培ってきた開発から販売までの具体的な手法とそれを支える考え方、ブランドづくりの歩みまでを一気に公開。「新しい会社の姿やワークスタイル」が浮かび上がります。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

『ゼロ・トゥ・ワン』のティールと米国社会の変容『綻びゆくアメリカ』

米国の著名投資家ピーター・ティールが著した『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』が、「今

記事を読む

アメリカ連邦最高裁、49年前の判断を覆す|今こそ憲法で読むアメリカ史

すでに日本においてもニュースや新聞を始めとする各種メディアで報道・解説されている通り、アメリカ連邦最

記事を読む

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーンも、いよいよ今週末3月19日で

記事を読む

japanese igo

囲碁タイトル7冠同時制覇|井山裕太と師匠・石井邦生が創りだした盤上の宇宙・独創の一手

すごいな、井山裕太。大きなニュースとなったことで、囲碁ファン以外にも伝わったであろう、7冠同時制覇へ

記事を読む

国語辞典ベストセラーランキングに見る人気辞書|中学生以上は新明解、小学生はドラえもんかチャレンジか

国語辞典というのは大変におもしろい。実に個性豊かであるにも関わらず、その特徴は必ずしもきちんと伝わっ

記事を読む

南魚沼は今が桜満開

やっぱり雪国なんだなあと思うのは、今ようやく桜が満開となっているから。山の頂にはまだ白雪が残り、咲き

記事を読む

クリエイター佐藤雅彦が好きだ|最新著『ベンチの足』にみるユニークな視点

佐藤雅彦ほど「クリエイター」という表現が似合う人はいないのでは、と個人的に思っている。アーティストで

記事を読む

チェス界のモーツァルト、天才ボビー・フィッシャーの生涯が待望の文庫化

伝説的なチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯を記録した傑作ノンフィクション『完全なるチェス』

記事を読む

若き天才たちの下北沢青春物語|90年代東京のお笑いがスゴイ

これは、めちゃくちゃ面白い! まだ1月なのに、早くも2022年のベスト・ブック・オブ・ザイヤーに選出

記事を読む

ニューノーマルなバレンタイン|恋と愛とチョコレートの経済学

バレンタインな週末がやってきましたね。諸兄の皆様方に置かれましては、ニューノーマルな暮らしの中におい

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑