申請者必携のハンドブック『科研費獲得の方法とコツ』に最新第4版が登場|採択率を上げる書き方
今年もまた科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。多くの研究者が申請するこの科研費だが、もちろん採択されるのは容易なことではない。種目によって採択率は変わってくるが、新規応募ではおおよそ25%といったところであり、つまり4件のうち3件は不採択となるという厳しい競争なのである。
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そんな科研費申請にあたってのバイブルとなっているが、児島将康著『科研費獲得の方法とコツ』である。本書は昨年も「『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請予定の研究者必携の一冊」で紹介したとおりだが、科研費に関する絶対的なガイドブックとなっている。「実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略」というサブタイトルが付されているように、本書の特徴は何といっても、申請書類がどのような視点で審査されているかという点から解説を始め、審査に通るためのポイントを絞り込んで詳細に説明している点である。
そしてさらには、実例として紹介しているのが成功例だけでなく、なんと失敗例まで含んでいるのである。つまり、「こう書いたら採択された」だけでなく、「こう書いたら不採択だった」という生々しい事例報告の連続なのである。だからものすごく参考になる。これはもう、そんなある意味不名誉な過去を読者に開示してくれた著者とその共同研究者に感謝してもしきれない内容だと分かるだろう。それゆえに、現在の研究者にとっては必要不可欠の一冊となっているのだ。そして当然のごとく多くの読者からの好評を受け、先日は最新第4版が出版されたばかりなのである。旧版も含めまだ読んでいない方、そして特にこの秋の科研費申請を考えている人にとっては、必読の一冊と言えるだろう。また、著者が解説する「最新データで読み解く!科研費申請の傾向と対策」も大いに参考になるので合わせて紹介しておきたい。
研究者必携の大ベストセラー! ! 申請書の書き方を中心に,科研費の応募から採択・不採択後の対応まで,気をつけるべきポイントやノウハウを徹底解説!改訂第4版では,申請書中で特に重要 な「研究目的」の書き方,ご要望の多かった「学振特別研究員」について大きく加筆しました.
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