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天才・奇才のおうち時間|日本に残る最後の秘境・東京藝術大学生の華麗な日常

NHKで放送中の「金曜日のソロたちへ」という番組をご存知だろうか? これは、「ひとり暮らし拝見バラエティ」であり、このコロナ禍にあっては “おうじ時間応援” 番組でして、ユニークな個性を放っている。

金曜の夜、ひとり暮らしはさみしい?いえいえ、案外ひとり(ソロ)も悪くない!この番組はひとり暮らしの自由さ、豊かさ、トホホさ…を定点カメラで楽しむバラエティーです

 

 

 

そんな番組が先週はなった特別編「東京藝術大学スペシャル!天才・奇才のおうち時間」がめちゃくちゃ面白かったので、ここで改めて紹介しておきたい。見逃してしまった方は、再放送に期待するか、もしくは見逃し配信でぜひご覧ください。

“おうち時間応援バラエティー”金ソロ。今回は東京藝術大学スペシャル!国内最高峰の芸術系大学と言われ、日本を代表する芸術家を多数輩出する藝大。このたびソロ生活をのぞき見する美術学部の3人は、家でも暇さえあれば何かを作る奇想天外な暮らしをしていた。台所を改造してガスバーナーを設置した人、ガスマスクをつけて過ごす人、そして、突如微動だにしなくなる人…いったい何を!?天才・奇才の頭の中までのぞき見る!

 

今回のこの藝大生スペシャル、やっぱさすがだよね、アーティストの卵たちの日常生活は。基本的に毎日の暮らしはそのまま創作活動であるから、われわれのような一般人には衝撃的なほどの家の間取りであり、小道具の数々であり、そして周囲に散乱する不気味な完成(もしくは不完成?)作品だったりするのだ。

 

そんな初めて見るものばかりで驚くことしきりなのだが、一方で、あれこんな暮らしどこかで見聞きしたことあるぞ、と思ったのもまた事実。しかしどこでなぜ、と思ってようやく思い出したのが、以前に書いた「日本に残る最後の秘境へようこそ|東京藝術大学のアートでカオスな毎日」である。著者・二宮敦人は決してノンフィクション作家ではない。そんな彼がなぜ、日本に残る最後にして最大の秘境・東京藝術大学に潜入するはめとなったのか? それはひとえに、藝大出身の彼の奥様の思考や行動があまりにもぶっ飛んでユニークだったからである。だから、そんな奥様のお友だちともども、日本のジャングル・アマゾンに生息する貴重で稀有な天才そして奇才の暮らしぶりに迫った傑作の一冊となっているんのだ。

 

そんな目の付け所がシャープ過ぎる本書だから、その後は漫画化もされますます話題となっている。そのうち映画化されないかなとか、だったら誰に主演やらせるか、なんて考えるだけでも面白い。これほどの抱腹絶倒本はなかなか見当たらず、だからこそ印象に残る一冊であり、今回NHKの番組で藝大生の一人暮らしぶりを見て、改めてその思いを強くしたところなのである。NHKを見逃してしまった人も、この本を読んどけば間違いない。そしてぜひ、再放送を心待ちにしてください。

 

やはり彼らは、只者ではなかった。入試倍率は東大のなんと約 3 倍。しかし卒業後は行方不明者多発との噂も流れる東京藝術大学。楽器のせいで体が歪んで一人前という器楽科のある音楽学部、四十時間ぶっ続けで絵を描いて幸せという日本画科のある美術学部。各学部学科生たちへのインタビューから見えてくるのはカオスか、桃源郷か? 天才たちの日常に迫る、前人未到、抱腹絶倒の藝大探訪記。

 

 

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