*

卒業・進級・入学おめでとう|大人になったら自分にベストの国語辞典を自ら選ぼう

公開日: : 最終更新日:2021/01/09 オススメ書籍

桜満開・春爛漫のこの時期、これほどまでに卒業・入学に相応しいシーズンがあるだろうか。日本では今後も秋学期入学の議論が進まない理由の一つとして、ひょっとすると桜の美しさがあげられるかも知れないですね。

 

さて、そんな卒業・入学シーズンを迎え、子供や親戚への贈り物として国語辞典を考えている人も多いと思う。もしくはこの機会に自ら大人の階段を一歩のぼるために、自分で国語辞典を買ってみようと考えている人も多数いることだろう。しかし、自分にベストの国語辞典を能動的に選び取っている人がどれだけいるだろうか?国語辞典なんてどれも一緒なんて、思っていたら大間違いですよ、と僕は声を大にして言いたいのである。

 

そんなときおすすめとなる指針がこの『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』である。国内で入手可能な国語辞典をずらりと揃え、個々の個性と特色を解説するという極めてユニークなこの一冊は、著者サンキュータツオ氏の国語辞典愛にあふれるばかりではなく、じつに実用的なのである。それぞれの辞典のクセを知るためにも、ぜひとも読んでおきたい一冊として強くおすすめしたい。

『新明解』『角川必携』『岩波』など、この世にたくさん存在する国語辞典。いったい何がどう違い、どれを選べばいいの?その悩み、すべて解決します!辞書200冊超をコレクションする、オタクで学者で芸人のサンキュータツオが、辞書の楽しみ方、選び方、つきあい方を徹底ガイド。編者や執筆者の熱い想いと深い哲学が詰まった、ユニークで愛すべき国語辞典たちの、知られざる個性と魅力をわかりやすく紹介。

 

 

そして、本書をきっかけに国語辞典の奥深い世界に関心を持ってもらったならば、この先はぜひともなるべく多くの国語辞典を手に取り、語釈の違いを味わい、なぜそのような差異が生まれてきたのか背景に思いをよせ、そして自らの語彙力・国語力を磨いていこうではないか。国語辞典編纂の裏側にあるあまりにもドラマティックな物語に驚愕するのがこの一冊『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』だ。

一冊の辞書(『明解国語辞典』)をともに作ってきた二人はなぜ決別したのか?なぜ一冊の辞書が二つ(『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』)に分かれたのか?―昭和辞書史最大の謎がいま、解き明かされる。NHKで放映された傑作ノンフィクション(ATP賞最優秀賞)。

 

 

そんなケンボー先生が編纂した「新明解国語辞典」はいまや日本で最も売れている国語辞典となり、そして一方の山田先生が編纂した「三省堂国語辞典」はとくに新語に強いという特色をもつ。こうしたそれぞれの個性を踏まえ、複数の国語辞典を使い分けるのが、大人への第一歩なのかもしれず、だからこそ今、卒業を迎える小中高生や、進級・進学を祝う児童や生徒や学生、そして大学を卒業し社会人としての一歩を歩み始めた人たちにこそ、国語辞典を新たに携えていただきたいのである。

 

具体的におすすめしたい国語辞典は以下のエントリでまとめた通りなので、ぜひご参考にして頂きたい。そしてサンキュータツオ氏がまさにそうであるように、われわれもぜひ豊かな国語辞典ライフをエンジョイしようではないか。Good luck!

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部の挑戦と初受験

さて今年の国公立大学受験でもう一つ大きな話題となっているのが、一橋大学がじつに72年ぶりに新設する

記事を読む

中学生プロ棋士・藤井聡太四段の新たな歴史的偉業

快進撃を続けていた若干14歳のプロ棋士・藤井聡太四段が、ついに、なんと、歴代連勝記録の単独トップとい

記事を読む

ヒマラヤ山脈でイエティの足跡を発見|雪男は向こうからやって来た

ヒマラヤ山中で伝説の雪男「イエティ」の足跡を発見したと、インド軍が公式ツイッターに写真つきで投稿した

記事を読む

英語アカデミック・ライティングの最高傑作シリーズに翻訳が登場|レター・メール執筆ノウハウ

英語アカデミック・ライティングのおすすめ参考書は、これまで以下のようにいくつもの良書とそれぞれの特徴

記事を読む

2020年、本ブログで最も売れたこの1冊

さて、2020年、本ブログ経由でもっとも購入数が多かったのは、なんと、なんと、新明解国語辞典でした!

記事を読む

puma

サッカー・データ革命の時代に読んでおくべきこの5冊

データ革命が加速する世界最先端の現代サッカー 「ワールドカップの閉幕、そしてデータドリブン・サッカ

記事を読む

大学受験間近|なぜ東京藝大は東大よりも難関なのか?

今年も受験シーズンの真っただ中となった。 国公立大入試の2次試験の出願もしめ切れらたところで、全国

記事を読む

永世竜王・渡辺明の『勝負心』と、あきらめたらそこで試合終了だよ

渡辺明の新著『勝負心』を読み終えたところなのだが、これが実に面白かった。「羽生世代」に続く、将棋界の

記事を読む

経済学と歴史学そして自然実験

2010年に出版されていた "Natural Experiments of History" がよう

記事を読む

チェス界のモーツァルト、天才ボビー・フィッシャーの生涯が待望の文庫化

伝説的なチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの生涯を記録した傑作ノンフィクション『完全なるチェス』

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑