WOWOWはスポーツ生中継よりも、オリジナル・ドラマが魅力のコンテンツだと思う
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WOWOWの加入実績が好調という先日の日経新聞記事。加入増の原動力となっているのが、スポーツの生中継だ。昨年から一気にトッププレイヤーの仲間入りを果たした錦織圭のテニス、そして今年5月にはボクシングのマニー・パッキャオ対フロイド・メイウェザー戦という一大イベントがあった。その結果として、加入件数が3年ぶりの純増を達成したとのことだ。
ただ、田中社長の次の一言には若干の違和感がある。
目玉コンテンツで引き入れた視聴者のつなぎ留め策も奏功した。昨年10月からオリジナルドラマ「ドラマW」の放送回数を週1回から週2回に増やし、映画や海外ドラマなどの人気コンテンツの放映権獲得にも注力。加入者のベースは増えたのに、4~6月期の解約件数は前年同期よりも約1万7000件減少した。 田中社長は「ボクシング(というニッチな)目的で加入した視聴者がかなり残ってドラマや映画を楽しんでくれている」と笑顔で語る。
まずもって、世界が注目するボクシングの試合など、そうしばしばあるわけではない。 だからこそ「世紀の一戦」などと言われるわけだ。またテニスにしても、錦織圭の活躍次第というのはいかにもリスキーだ。実際に今回の全米オープンのように、錦織が初戦敗退してしまえば、残念ながら視聴者の関心は一気に薄れるのが現実だろう。今回の敗戦に錦織が大きく落胆したのは想像に難くないが、WOWOW解説を引き受けた松岡修造はもちろんのこと、WOWOW経営陣にとっても涙さえ流れないほどのショックだったのではないだろうか。
だからこそ、もっとドラマに力を入れたらいいのに、と個人的には思わざるをえないのだ。いまやWOWOWの高品質の「連続ドラマW」シリーズは、「視聴者のつなぎ留め」などではなく、むしろそれがキラーコンテンツになっているのだと誇っていいのではないだろうか。実際僕自身は、このドラマが見たくてWOWOWに加入し、いまも加入し続けているのである。

既にご存知の方も多いだろうが、この連続ドラマWシリーズは、「挑戦するドラマ」というフレーズに相応しいほどの挑戦ぶりなのである。民放のドラマではスポンサーに気を使って放送できないようなテーマさえ果敢に扱う。これまで放送された個々の作品については、「WOWOW「連続ドラマW」これまでのおすすめ作品:このドラマがすごい」で紹介したように、自動車リコール、食肉偽装、遺伝子組換食物から、臓器移植、死刑判決、そして学術研究捏造まで、じつに現代的なトピックがずらりと勢揃いする。そんな社会的問題に鋭く斬り込み、そして闇を抉り出す。これこそ大人のための本格的社会派ドラマと呼ぶべきシリーズだ。
WOWOWがスポーツ生中継に力を入れるのはいいだろう。ユーザとしてはもちろん大歓迎である。ただ、スポーツだけではないWOWOWの魅力、そしてもしかすると今やそっちの方がより大きな魅力とさえなっていると言えるのが、この「連続ドラマW」なのである。いまWOWOWのドラマがものすごく面白い。ぜひ一度ご覧頂きたい。
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