WOWOW「連続ドラマW」シリーズ|今月の新作がいよいよスタート
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最終更新日:2015/11/20
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WOWOWが誇る現代最高峰のドラマ、それがこの「連続ドラマW」シリーズだ。「このドラマがすごい」と、これまでの数々の名作を紹介したように、一度このクオリティに触れてしまうと、申し訳ないがもう民放のドラマには戻れなくなる。本当にそれくらいすごいのだ。例えば、現在人気放送中のTBS『下町ロケット』だが、これも2011年に既にWOWOWがドラマ化しており、大変言いにくのだが、はっきり申し上げるならば、WOWOWクオリティがTBSを圧倒、の一言なのである。
そんな高品質ドラマが毎月2本も新作が投入されているのである。WOWOWが今いかにドラマに力を入れているかが分かるだろう。「挑戦するドラマ。」とはまさにその通りであり、CMスポンサーへの配慮等から映像化が難しいと言われている原作であっても、(CMではなく)視聴者の受信料で成り立っているWOWOWならばこそ、思い切った挑戦ができるのだ。
さて、そのWOWOW「連続ドラマW」シリーズ、今月の新作1本目は今週土曜日から始まる『5人のジュンコ』(全5話)。
人間の暗部をえぐり出す作風で定評がある作家・真梨幸子の同名小説をドラマ化。今回が真梨作品初のテレビドラマ化となる。連続不審死事件の容疑者として逮捕された佐竹純子。事件とは無関係の田辺絢子、篠田淳子、福留順子、守川諄子が、同じ「ジュンコ」という名前のもとに翻弄され、やがて悪意の渦へと巻き込まれていく。「勤め人」として固定された社会で生きる男性に対し、近年女性のライフスタイルは多様になった。その分女性の人間関係は複雑化し、複数の社会に身を置くようになったといえる。所属する社会が多いほど、悩みが増え、その悩みは嫉妬や悪意が生まれる温床になる。この物語には5人の「ジュンコ」を含め、仕事や結婚、子どもの有無などさまざまな境遇の女性が登場。まさに、現代社会の縮図が描かれている。
考古学界における研究捏造をテーマとした『地の塩』(これも「連続ドラマW」)で、現場に遭遇した教科書出版社の編集者を儚げに演じたのがまだ記憶に新しい松雪泰子が再び登場し、今回の『5人のジュンコ』で主演を務める。その他4人のジュンコも極めて巧みな配役であり、西田尚美・小池栄子・ミムラ・麻生祐未がそれぞれどんなに黒い女の感情を見せつけるのか、実に見応えのある作品に仕上がっていると期待できる。
そして今月の新作2本めは、今週日曜日から始まる『誤断』(全6話)。
家・堂場瞬一による社会派ヒューマンサスペンス小説をドラマ化する。舞台は薬害事件を抱える大手製薬会社。法の網をかいくぐってでも会社の繁栄と存続を優先する昭和を生きた企業人、巨大企業の利益のために犠牲となった被害者たち、そして、上司の命令に従いながらも会社と被害者とのはざまで揺れる平成を生きる会社員。さまざまな人々の思惑が交錯する群像劇の中で、隠蔽工作を指示された若手社員が企業の闇にのみ込まれていくさまを描く。実社会でも粉飾決算や食品偽装など企業が起こす事件は絶えない。本作は、問題が巣くう企業とその関係者に焦点を当てることで“昭和と平成”、新旧の異なった価値観が同居する「現代」という時代の構造を浮き彫りにする。
こちらも薬害事件を題材にした極めて現代的な設定のドラマであり、まさにWOWOW「連続ドラマW」シリーズの得意とする分野に他ならない。主演はNHK朝ドラ『マッサン』での熱演が印象に残る玉山鉄二。加えて、小市慢太郎や甲本雅裕といったWOWOWお馴染みの名優が脇を固めた布陣。こちらも実に楽しみなドラマなのである。
これまでにも何度か紹介してきたように、(1)現代的・社会的なテーマを、(2)スピーディでスリリングな展開で、(3)実力派・個性派俳優が好演・熱演・ときに怪演するのが、この「連続ドラマW」シリーズの醍醐味であり、それはまさに大人のための本格派ドラマと呼ぶにふさわしいクオリティなのである。今月から始まる新作は2つとも初回放送(だけ)は無料で視聴することができるので、ぜひとも御覧ください。
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