WOWOWドラマ『華麗なる一族』の鮮やかで艶やかなる演技の競演
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最終更新日:2021/06/16
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現在放送中のWOWOW連続ドラマW『華麗なる一族』がものすごく面白い。ご存知のとおり、山崎豊子原作のあの大作をドラマ化したものである。過去にも何度か映像化されているが、今回のWOWOWは開局30周年記念ということもあって実に豪華。まさに華麗なる俳優陣による演技が大きな見どころとなっているのだ。
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。
今回のWOWOWドラマの注目点は、中井貴一演じる万俵大介が主演となっていることだろう。これは以前の地上波で、木村拓哉が主演となり、大介の息子・鉄平を演じたのと比べるとじつに好対照だ。そのため今回のWOWOWドラマでは、万俵大介の嫉妬と野心、敵を陥れ味方さえも欺くドス黒い感情に焦点が当てられる。そんな大介の人となりを顕著にあらわしているのが、愛人・高須相子との同居生活だ。過去の同作でも、この女性の描き方に作品性や時代性がよくよく反映されていたのだが、今回その役を担うのが内田有紀である。
そして、内田有紀の演技がまたずば抜けて素晴らしいのである。歳を重ねて一段と魅力的になったと言われる彼女の、間違いなく代表作となるだろう本作。本人もそのように認識しているのであろうか、各種インタビューでも、今回の作品と演技にかける思いを次のように語っている。
- 内田有紀、華麗なる愛人役は純粋にうれしかった…
- 内田有紀「30代でこの世界に戻ってからお芝居の本当の面白さを知りました」『華麗なる一族』で感じた「本当の豊かさ」
- 中井貴一×内田有紀 『華麗なる一族』再共演の信頼感
これまで何度もおすすめしてきたように、現在最高峰のドラマ制作力があるのは、間違いなくWOWOWである。その実力をいかんなく見せつける今回の特別制作『華麗なる一族』も、素晴らしい作品に仕上がっている。まだ見たことのない方、まだWOWOWをよく知らない方にこそ、ぜひご覧になって頂きたい。そこにあるのは圧倒的なクオリティなのである。
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