TSUTAYA運営の市立図書館に続き、今度は学習塾ノウハウを公教育に導入:いま話題の佐賀県武雄市に行ってきた
佐賀県武雄市がまた新しい取り組みを始めたようだ。
(NHKニュース)佐賀県武雄市は、来年の春から公立の小学校に民間の学習塾の指導法を取り入れ、官民一体で授業に取り組むと発表しました。文部科学省によりますと、官民一体で公立学校の授業に取り組むのは初めてとみられます。(中略)記者会見で武雄市の樋渡啓祐市長は、「公教育の優れたシステムに民間のノウハウを大胆に取り入れ、子どもたちがワクワクドキドキして楽しく学べる新しい公教育を作りたい」と話していました。
この佐賀県武雄市とはもちろん、TSUTAYAに運営委託した市立図書館のオープンで賛否両論の話題と議論を巻き起こした、あの武雄市のことである。いずれ見に行かねばなるまいと思っていたので、先日ちょっと行ってきた。
近刊『つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み』の中では、武雄市立図書館を始め全国の公立図書館の新しい取り組みが紹介されている。東京都内であればJR武蔵境駅前にある武蔵野プレイスが、その丸っこい建物デザインや併設されたカフェでよく知られているところだ。そんな全国の中にあっても色々な意味でいま最も注目を集めているのが、ここ武雄市の図書館だろう。とりあえず、スタバ入ってます。佐賀県内5店舗目かつ最大の店舗。
2013年4月に全面改装オープンしてちょうど一年の、きれいな外観。すでに各方面で報道されているように、内部にはTSUTAYAが販売する書籍と、図書館で貸し出す本が、その境界をそれほど意識しないように並んでいるものだから、一瞬どれが売り物でどれが借り物なのか分からなくなりそうなくらいだ。
ちなみに図書館内部は撮影禁止となっているため、残念ながら館内風景はお伝え出来ませぬ。入ってすぐの一番目立つ平台には、『図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦』を始めとする関連書が並べられている。全国からの視察も多いようであり、こうした書籍の売上も意外にあるのかも知れない。
外から撮ったスタバ。高校生から子育て主婦そして高齢の方々まで客層は幅広く、結構混んでいた。図書館で借りた本はもちろん、TSUTAYAで買った書籍や買う前の品定めの雑誌なども持ち込み可能であり、それゆえに長居する客が多そうだ。
スタバにはテラス席も併設されており、これからの季節には屋外読書も気持ちいだろう。
図書館内部は代官山蔦屋書店を想起させるが、それもそのはず、何しろ武雄市長がその企画コンセプトと実現した施設(『代官山 オトナTSUTAYA計画』が詳しい)に衝撃を受け、TSUTAYAへの運営委託を決めたのだから。確かに僕も以前に代官山店を訪れた時には、そういう衝撃を受けたと記憶している。しかし、そのTSUTAYAに図書館運営を委託するという形で佐賀県まで誘致するというのは、やはり突き抜けた発想というしかあるまい。
図書館を中心とした街づくりとして、今後何をどう実現していくのか。そして、この市立図書館が出来たことによって市民の読書習慣はどのように変わりつつあるのか。そういう問いに答えが出るのはもう少し先になるのだろうが、この新しい試みはとくに他の地方自治体にとっては特に注目すべきものであるように思う。
ちなみに、武雄市のお隣・伊万里市の市立図書館も、全国有数の先進的図書館として知られており(『つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み』で詳しく紹介されている)、「伊万里市民図書館」というように「市民」の名が冠されているのが特徴である。佐賀に行く機会は決して多くない人が大半だろう。それでもそんな佐賀を訪れるチャンスがあるならば、ぜひ図書館まで足を運んでみてはどうだろうか。いま全国で注目を集める市立図書館がこの地方に二つもあるなんて、驚くこと間違いないだろう。
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