統計学と経済学をまる裸にする
ついにあの “Naked Statistics” に、待望の翻訳が登場。そしてあの “Naked Economics” が復刊、というグッドニュースだ。
統計学をまる裸にする─データはもう怖くない
本書は、「今年続けて読みたい統計学オススメ書」で紹介した15冊のなかでも、イチオシの一冊である。(著者と同じように)何らかの不幸なきっかけで数学ギライとなってしまった人達に向けて “Statistics can be really interesting, and most of it isn’t that difficult.” という思いを込め、それこそ昔の自分に優しく解説するような語り口だ。
しかしその内容はいたって本格的。統計学から計量経済学の導入までをカバーする他、「やってしまいがちなミス」にもページを割く。データや統計学の面白さを伝えると同時に、その手法を誤って使用すると極めて危険だと警鐘を鳴らす姿勢は極めて真摯であり、だからこそ信頼が置ける。統計学のブームに流されず、これからきちんと勉強しようと考える人にとっては、最初の一歩としてベストの一冊になると薦めたい。
photo credit: John-Morgan via photopin cc
経済学をまる裸にする─本当はこんなに面白い
本書『経済学をまる裸にする』は、同じ著者 Charles Wheelan の “Naked Economics” の復刊である。大変に素晴らしい内容の経済学読み物であり、「経済学の定番入門書」でもおすすめしていた一冊なのだが、残念ながらその邦訳『裸の経済学』は長いこと絶版となっていた。それがここにきて『統計学をまる裸にする』と同じタイミングで、新訳復刊となった模様だ。Economist 誌の元記者である著者が、統計学とともに経済学のコンセプトと面白さを教えてくれる、格好の入門書と言えるだろう。2冊ともに、山形浩生・守岡桜というコンビでの翻訳となっている。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
ワールドカップ決勝へ|ラグビー名将エディー・ジョーンズの勝負哲学
ラグビー・ワールドカップが面白い。まったくもってニワカなんですが、ルールが分かるとラグビーってこんな
-
-
最年少プロ棋士・藤井聡太とAI将棋の時代|人工知能が切り拓く新たな地平
ついにストップした藤井聡太四段の連勝記録。しかし、史上最年少でプロ棋士となってから、これまで29連勝
-
-
マラソンランナー大迫傑という生き方|東京五輪で引退する「愚か者」
オリンピック最終日に開催され、最も注目されるともいってよい種目が、男子マラソンである。そして今年の東
-
-
あなたの知らない、世にも美しき数学者たちの日常
「日本に残る最後の秘境へようこそ|東京藝術大学のアートでカオスな毎日」でおすすめした、二宮敦人の『最
-
-
サッカー日本代表W杯開幕戦:日本のサッカーを強くする25の視点
あと数時間で、日本対コートジボワール戦のキックオフ。おそらく今回も相当大勢の日本人が、このときばかり
-
-
NHKアニメ『英国一家、日本を食べる』が毎回ハイクオリティで、つい新宿・思い出横丁に飲みに行ってしまった
「大ヒット『英国一家、日本を食べる』がなんとNHKでアニメ化|初回放送が予想以上におもしろかった」で
-
-
博士号だけでは不十分!研究者として生き残るために
先日懐かしく読み返した Economist 誌の記事 "Doctoral degrees: The
-
-
心を打つ名言、心を挫く駄言|絶版を目指した出版「駄言辞典」がおもしろい
今年出版された「駄言辞典」をご存知ですか?こんな本、知らなくてよいのかも知れない。なぜなら、最初から
-
-
今こそ再び学ぶ『英語の読み方』|読めるか読めないかそれが問題だ
英語学習に関する書籍というのは、それこそ書店に溢れていて、玉石混交でどれを選んだらいいのか分からない
-
-
若き水中考古学者の海底探検記|ガラクタから宝物そして遺跡新発見
「水中考古学」なる学問分野をご存知だろうか? もちろん考古学なら知っている。それの水中版? もちろん