スノーピーク初のグランピング施設が三浦半島にオープン
いよいよ夏が近づき、今年はまたキャンプにでも行こうかという話があちこちで聞こえそうなこの時期を狙って、人気アウトドアブランドのスノーピークが初めての常設グランピング施設を京急観音崎にオープンした(同社プレスリリース)。1泊2食付きで2万5,000円からというお値段はもちろん決して安くはないが、それにもかかわらず、すでに100件以上の予約が入っているなど、まずは上々の滑り出しのようだ。
さて、このスノーピークという会社だが、ご存知のように数多くの熱狂的ファン「スノーピーカー」に支えられた、極めてブランド力のある企業なのだ。同社が世に送り出す高品質の製品は「品質に、情熱を。」というモットーに相応しいものばかりであり、それが真剣にアウトドアを楽しむ層の共感・共鳴を呼ぶのである。
実際に、Amazon のスノーピーク・ストアを見ても分かるように、マグもペグもテントも、ひとつひとつの製品は競合他社の類似品と比較してずいぶんとお高いのは一目瞭然だ。それなのに、利用者からこれだけ高い評価を得ているというのは、まさに同社のブランド価値を裏付けていると言えるだろう。
そんな他社を圧倒するスノーピークという会社が、新潟県三条市に本社を構える企業というのはご存じだっただろうか?歴史的には金物の町として知られる燕・三条地域において、ビジネスモデルの大転換を図り、アウトドアに活路を見出したのが、現在の山井太社長だ。
本社はいまも三条にあり、しかも2011年に完成した新社屋はミュージアムかと見まごうほどに美しい全面ガラス張りの瀟洒な建物なのである。
さらには、新社屋内に併設されている工場の一部を見学することまでできるし(写真撮影禁止)、もちろんショップも併設されおり、このヘッド・クオーターでしかかえないオリジナル・グッズも用意されているので、ファンには堪らない場所だ。
さらには、本社裏手には広大なキャンプ場が用意されており、夏の間中、全国のスノーピーカー達が集結する聖地となっており、キャンプ・ファイヤーを前に山井社長がファンの人たちに語りかえる時間はもはや伝説となっている。
そんな、地方にあって実にユニークな経営で世界的にも注目を集める企業の一つがこのスノーピークであり、その会社のヒミツを社長自ら語り明かしたのが本書『「好きなことだけ」を仕事にする経営』である。たいへん個性的な社長に率いられた、実に特徴のあるこの企業をぜひとも、もっとよく知ってもらいたいものだ。そしてぜひ本社見学も楽しんでみて下さい。おすすめです。
熱狂的なファンのいるアウトドア用品メーカー、スノーピークの山井太社長による初の著書です。スノーピークは世界に先駆け、SUVで自然の中に出かける「オートキャンプ」のスタイルを生んだ会社として知られます。「自分たちが本当にほしい製品」だけを作ることで、それまでなかった「自然の中で豊かで贅沢な時間をすごすアウトドアの楽しみ方」を確立してきました。山井社長は年間30~60泊をキャンプのテントですごし、星空の下で五感を研ぎ澄ませながら、スノーピークのビジネスモデルを磨きます。燕三条発で世界ブランドとなった今も、キャンプ場でユーザーと焚火を囲んで語り合います。本書はスノーピークが培ってきた開発から販売までの具体的な手法とそれを支える考え方、ブランドづくりの歩みまでを一気に公開。「新しい会社の姿やワークスタイル」が浮かび上がります。
それにしても、アウトドア・ブランドというのは、スノーピーク以外にもクセのある社長に率いられた会社であることが多いような気がする。たとえば、世界的にはパタゴニアがそうだし、もう一つの日本のトップ・ブランドであるモンベルもそうと言えるだろう。これらを読み比べてみるのも大変興味深い。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
箱根駅伝「幻の区間賞」と関東学連チーム出場の是非
来年もまた正月から箱根駅伝にくぎ付けとなってしまう、そんな人も多くいることだろう。二日間に渡るこれだ
-
-
ヒマラヤ山脈でイエティの足跡を発見|雪男は向こうからやって来た
ヒマラヤ山中で伝説の雪男「イエティ」の足跡を発見したと、インド軍が公式ツイッターに写真つきで投稿した
-
-
The 2015 Daily chart Advent calendar by The Economist
Economist 誌が毎年行っている恒例の "Daily chart Advent calenda
-
-
2020年の夏は2つのバンクシー展が開催
以前に「オークション落札のバンクシー作品をシュレッダーで刻むという現代アート」と紹介したように、常に
-
-
南魚沼発のコンセプト観光案内「美女旅」が、岩手県遠野・花巻に飛び火
「君は南魚沼の美女を見たか?市の公式観光パンフレット美女旅が話題に」で紹介したから、もうご存知ですよ
-
-
ハートマウンテン日系人強制収容所の、貴重なプライベート写真集
7月に出版されたエッセイ写真集『コダクロームフィルムで見る ハートマウンテン日系人強制収容所』を読ん
-
-
Kindle電子書籍で手に汗握って読む、箱根駅伝をより面白くするこの3冊
いまや国民的イベントにまで人気が拡大した、正月の風物詩・箱根駅伝。僕も含めて毎年楽しみにしている人は
-
-
日本人の9割が間違えちゃう英語表現と英語常識
以前にも紹介したキャサリン・A・クラフト著『日本人の9割が間違える英語表現100』は、面白く読めるエ
-
-
イェール大学出版局「リトル・ヒストリー」は初学者に優しい各学問分野の歴史解説
以前にもおすすめしたのだが、米国イェール大学出版局の “A Little History” シリーズ
-
-
英語辞書の決定版|オックスフォード現代英英辞典に最新第10版が登場
オックスフォード現代英英辞典の最新第10版が出版されたのでさっそく購入。これはもう、英語辞書の決定版