美貌格差:ビジンとイケメンと生まれつき不平等の経済学
労働経済学者 Daniel Hamermesh による一般向け書籍 “Beauty Pays: Why Attractive People Are More Successful” がようやく翻訳出版されたようだ。翻訳はお馴染みの望月衛、タイトルは『美貌格差: 生まれつき不平等の経済学』。
美形のお得度を真面目に測った史上初の本
見た目で生涯年収の差は2700万円?!
ブサイクな人は保護されるべき?
人の美しさをどう測る?
美しさは収入にどう影響するか?
美形効果が女性の間では小さいのはなぜか?
美形は利益にどう影響するか?
CEOがイケてるほうが業績はいい?
美しい子どもの市場なんてありえるんだろうか?
借金するにも美形はお得?
ブサイクは救えるか?
ブサイクを守らないなんて筋が通るか?
美形だったら人生バラ色?
未来の美形はどうなるか?
ブサイクなあなたに何ができる?意外にも、着るものや化粧、整形手術に効果はない。
美形かどうかは、会社の業績、選挙の結果、融資の条件、寄付金集めにも影響する。
労働経済学の権威が20年かけて解明した「衝撃の真実」
本書は、「美容と整形の経済学」でも紹介した一冊であり、ビジン/イケメンだとそうでない人と比べてどれだけお得な人生を歩めるのかを分析したもの。上記にあるような本書の章立てを読むと身も蓋もなく聞こえるかもしれないが、著者の一連の研究は ウェブサイト(Beauty pays research papers)でも公開されているように、経済学の一流学術誌に掲載されたものがベースとなっている。こういうテーマにも関心がある人にとっては、非常におもしろく読める一冊だと言えるだろう。

credit: 毅 霍 via FindCC
またこれらのテーマに関して他に日本語で読める類書としては、以下の2冊が挙げられる。それぞれ社会学・法学研究者の手によるものであり、上記の経済学研究と合わせ、「美」というものが実は幅広く真面目に研究されていることが分かる。
美の基準はその時代時代で変われども、美に対するワレワレの関心と執心は、整形手術というテクノロジーを手にした現在、ますます強くなっているのかも知れない。以下は以前の Economist 誌の記事で紹介されていた世界の整形事情。2011年時点で韓国・ギリシャ・イタリアがトップ3ヶ国だが、日本も年々ランクアップし現在第7位となっているのである。世界中どこでも、美しさの追求に終わりはなさそうだ。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
今年の卒業・入学のお祝いに|おすすめの国語辞典・人気ランキング
今年もまた3月の卒業式、そして4月の入学式が近づいて来た。昨年はコロナによりことごとく中止となってし
-
-
日本に残る最後の秘境へようこそ|東京藝術大学のアートでカオスな毎日
いよいよこの書籍が文庫化されましたね。そう、2016年に出版され大きな話題となった一冊『最後の秘境
-
-
2015年ことしのベストセラー|紙書籍編
先日の「ベストセラー電子書籍編」に続き、今回は本ブログ経由でよく読まれた紙の書籍編を紹介しよう。以下
-
-
スコット・ジュレク『EAT & RUN』は、世界各地を走り尽くし、食べ尽くし、そして語り尽くした名著
ベストセラー『EAT & RUN 100マイルを走る僕の旅』は、とくにランナーにはおすすめ。
-
-
統計学と経済学をまる裸にする
ついにあの "Naked Statistics" に、待望の翻訳が登場。そしてあの "Naked E
-
-
米国大統領選挙2020を前に|憲法でふりかえるアメリカ近現代史
コロナ禍もあって史上もっとも盛り上がらないと言われている今年のアメリカ大統領選挙だが、副大統領候補が
-
-
若い読者のための経済学史と哲学史
米国イェール大学出版局の "A Little History" は、歴史や文学そして経済学といった学
-
-
岸田奈美のエッセイが好きだ
普段は見ていなくとも、12月6日の「サンデーステーション(テレビ朝日)」だけは見た方がよいかも、そう
-
-
人の想いこそが永遠に不滅|キャラクター論で読み解く『鬼滅の刃』
漫画発行部数は一億冊を優に超え、まさに国民的ドラマとなった『鬼滅の刃』。その原作自体は23巻をもって
-
-
2020年、本ブログで人気だった英語論文ライティングの参考書ベスト5冊
先日のエントリ「いま国語辞典がおもしろい|10年ぶりの大幅改訂による最新版あいつぐ」で紹介したように