アスリートとお金|有望産業としてのプロスポーツビジネス
いよいよ東京五輪が始まり、改めて注目されるのが今後のスポーツとお金の関係だ。とくにプロスポーツビジネスは、アメリカの四大スポーツ(アメフト・バスケ・野球・ホッケー)や、欧州サッカーを見ても分かるように、じつに旨味の多い産業と言えるだろう。その点において、スポーツの新たな稼ぎ方とその可能性について特集した Forbes JAPAN 最新号は大変に興味深い内容だった。アスリートの年俸の高騰ぶりから、世界で最も価値あるスポーツ球団のランキング、そして未来のビジネス戦略まで、金額などのデータをきっちり抑えた上での分析は非常に興味深いものばかりである。
Forbes JAPAN 9月号は「スポーツの『新しい稼ぎ方』」を大特集。なぜ1人のアスリートに1億ドルものお金が集まるのか? 企業のスポーツ投資は果たして元が取れるのか? わかるようでわからなかったスポーツ×マネー、アスリート×マネー、企業×スポーツの関係。女性アスリート史上最高年収を更新した大坂なおみの知られざる稼ぎ方、36億円の赤字を被った横浜DeNAベイスターズの再構築戦略、そして毎年全世界で話題を呼ぶフォーブスの「スポーツマネーランキング」から、スポーツがもたらすお金の力を浮き彫りにする!
有望な成長産業として、スポーツ分野の市場規模は2025年までに15兆円にまで拡大すると期待されている。アスリートとしても、ビジネスパーソンとしても、様々な人に数多くの成功チャンスがあると同時に、課題も山積みである。日本の野球に代表されるように、これまでは親会社の宣伝として、球団単体では赤字経営でもよしとされてきた。しかし、そこに新規参入が現れるようになり状況は大きく変わった。果たして日本のプロスポーツはここからさらにどう変わっていくのであろうか。そしてまた、変われないスポーツ業界は淘汰されていくのか。オリンピック後にこそ、より真剣に考えねばならない問題が、ここにある。
Amazon Campaign

関連記事
-
-
事実は小説より奇なり|大人が味わうノンフィクション
先日おすすめした『10代のための読書地図』と同じブックガイドでありながら、そのテイストが大幅に異なる
-
-
英文法再入門|高校の先生がこの本を読んでいれば
中公新書の『英文法再入門』は、直接的なタイトルに見られるように、英語学習者向けに文法を学ぶポイントを
-
-
英国一家、最後に日本を食べる&お正月スペシャル
コアな人気を博していたNHK深夜アニメ「英国一家、日本を食べる」。ベストセラーとなった原作も素晴らし
-
-
『ゼロ・トゥ・ワン』のティールと米国社会の変容『綻びゆくアメリカ』
米国の著名投資家ピーター・ティールが著した『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』が、「今
-
-
『ヤバい統計学』とテーマパーク優先パスの価格付け
『ヤバい経済学』の大ヒット以来、『ヤバい社会学』、『ヤバい経営学』と続けてきたこのシリーズ。内容その
-
-
若き研究者フィギュアスケート町田樹のスポーツ文化論
2022年の冬季北京五輪の開幕も近づいてきた。ウィンタースポーツの代表例のひとつが、フィギュアスケー
-
-
タイトル戦相次ぐ藤井聡太の夏|今こそ将棋が熱く面白い
プロ棋士・藤井2冠の夏がやってきた。昨年はタイトル棋聖と王位を獲得し、その初防衛戦が始まっているのだ
-
-
2017年のベストセラー書籍トップ25冊
2017年も残すところあとわずか。それでは今年も本ブログを通じてのベストセラー書籍を上位25点紹介し
-
-
綻びゆくアメリカと繁栄から取り残された白人たち
2014年に翻訳出版された『綻びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語』に今また注目が集まって
-
-
連邦最高裁判事9人が形づくるアメリカの歴史
下の写真がアメリカ連邦最高裁判所だ。各種ニュース等での報道の通り、今回はこの最高裁が、これまで人工妊