2020年全豪オープンテニス|ジョコビッチが逆転の粘り勝ちで連続優勝
実にシビレル試合だった。今年の全豪オープンテニス決勝戦である。ジョコビッチの相手は、若手実力派のドミニク・ティーム。決勝まで勝ち上がるなかで、第1シードのナダルを倒し、同じ若手ライバルのズベレフを退け、初めて辿り着いた決勝の舞台だ。そんな勢いのあるティームに対し、まずは第1セットを取ったジョコビッチだったが、その後2セット連続で落とし後がない。しかし、そこからの粘りと巻き返しが物凄かったワケなのである。生放送にくぎ付けにされた人、多かったよね。そんな二人の激闘は、こちらの試合データ詳細からも伺えるので、ぜひ両者のパフォーマンスを比較してみて欲しい。

そんな激戦を制したジョコビッチは、2年連続の全豪チャンピオンに輝くとともに、世界ランキングも1位に浮上し、文句なしのナンバーワン選手と返り咲いた。グランドスラムの獲得総数も17となり、ナダルの19、そして最多のフェデラー20も、もはや時間の問題と思えるほどの射程圏内だ。
しかし、それにしても、このBIG3と呼ばれる3選手のなんと強いことよ。以下の表で過去10年間のグランドスラム歴代優勝を数えても、ジョコビッチが15、ナダルが13、フェデラーが5、そしてマレー3にワウリンカ3、という配分だ。次世代とか若手とか呼ばれる選手の付け入るスキが全くないとは恐れ入る。

そして、2020年となり最初のグランドスラムの全豪を制したのも、このジョコビッチだったわけだ。彼の活躍はまだまだ続きそうだし、どんなに劣勢でも決してあきらめないあの粘りと食らいつきがある限り、そう簡単に若手の台頭を許すことはなさそうだ。であるならばなおさら、この先もまた、とくにナダルとの頂上決戦と名勝負が期待できそうで、今からワクワクするじゃないか。今年もテニスが面白い。
ちなみに、テニスの世界も他のスポーツと同様に、現代においては当然のごとくデータ分析が欠かせない。そんな最先端のトレンドは以前に「スポーツの統計学|データ・サイエンティストたちのゲーム分析」で紹介した通りであり、大変に興味深い取り組みが進んでいる。そのなかにあってテニスは、まだまだデータ分析が遅れているのが現状であり、関連書も以下の “Analyzing Wimbledon” くらいしか見当たらない。だがそれは、逆に言えばこれからのポテンシャルが極めて大きいということでもあり、各選手のこれからのデータ活用が今後のグランドスラムの勝敗も大きく左右するのかも知れない。ぜひそんな観点からもテニスを見て頂きたい。
The game of tennis raises many questions that are of interest to a statistician. Is it true that beginning to serve in a set gives an advantage? Are new balls an advantage? Is the seventh game in a set particularly important? Are top players more stable than other players? Do real champions win the big points? These and many other questions are formulated as “hypotheses” and tested statistically.
Analyzing Wimbledon also discusses how the outcome of a match can be predicted (even while the match is in progress), which points are important and which are not, how to choose an optimal service strategy, and whether “winning mood” actually exists in tennis. Aimed at readers with some knowledge of mathematics and statistics, the book uses tennis (Wimbledon in particular) as a vehicle to illustrate the power and beauty of statistical reasoning.
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