2020年の夏は2つのバンクシー展が開催
以前に「オークション落札のバンクシー作品をシュレッダーで刻むという現代アート」と紹介したように、常に世界中で話題をふりまく匿名アーティスト・バンクシー。そんな注目のバンクシーに関する展覧会がこの夏、この夏、首都圏で2つ同時に開催される。コロナ禍が今後収束していくならば、僕もぜひ行ってみたいと思っているのだが。
ひとつめは、横浜で現在開催中の「バンクシー展 天才か反逆者か」である。2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の世界5都市を巡回し、100万人以上の人々を熱狂させたと言われるこの展覧会がついに日本上陸。9月下旬まで開催しているので、その頃に訪れる機会があればと思う次第だ。

イギリスを拠点に活動し、世界で最も注目されているアーティストの一人、バンクシーの70点以上の作品が初上陸。いったい、彼はアーティストなのかビジネスマンなのか、天才なのかそれとも単なる反逆者なのか。是非ともその目でお確かめください。
Banksyとは?
イギリスを拠点に活動する匿名の芸術家。世界中のストリート、壁、橋などを舞台に神出鬼没に活動している。アート・ワールドにおいてバンクシーは、社会問題に根ざした批評的な作品を手がけるアーティストとして評価されている他、テーマパーク、宿泊施設、映画の制作など、その活動は多岐にわたる。バンクシーの代表的な活動スタイルであるステンシル(型版)を使用した独特なグラフィティと、それに添えられるエピグラムは風刺的でダークユーモアに溢れている。その作風は、芸術家と音楽家のコラボレーションが活発なイギリス西部の港湾都市ブリストルのアンダーグラウンド・シーンで育まれた。
もうひとつは、8月終わりから東京・天王洲で開催される予定の「バンクシーって誰?展」である。世界中で神出鬼没のアート・テロリストとも言われるバンクシー。そんな匿名アーティストの謎に迫るであろう本展も、12月まで開催予定とのことなので、その頃に行ければよいなあと思っているところ。

覆面ではあるものの、様々な社会問題に対して強いメッセージを発してきたバンクシー。例えば最近では、新型コロナウィルスの世界的パンデミックを背景に、現場で戦う医療従事者を取り上げた作品を発表したり、つい昨日には、アメリカの黒人男性殺害についてと思われる新作を提示したばかりだ。いずれにしろ、このような形で、つねに社会的な問題に風刺画を用いるなどして迫るバンクシーは、その作品作りが常に注目されており、インスタグラムにも世界中で多数のフォロワーがついている。
そんなバンクシーをよりよく知りたいという人におすすめなのが、この一冊『バンクシー アート・テロリスト』である。東京藝術大学大の毛利教授が、いま最も注目されているといってもよい現代アーティスト・バンクシーについて、その作風や背景を解説した入門書である。ぜひ本書で今のうちに予習しておき、そしてコロナ禍が収まった頃に美術展を訪れてはどうだろうか。
世界各地でゲリラ的に出没し、多くの話題をさらうストリート・アーティスト、バンクシー。2018年には代表作《風船と少女》がサザビースのオークションにかけられ1億5000万円で落札された瞬間、額縁に仕掛けられていたシュレッダーに裁断されるという「事件」で世界を驚かせた。日本でもバンクシー作と思われるネズミの絵が発見された。バンクシーとは、いったい何者なのか。謎のアーティストの全体像に迫る、格好のガイドブック。
Amazon Campaign
関連記事
-
-
捏造と背信の科学者:繰り返される不正と、研究者の責任ある行動
STAP細胞の件で改めて考えさせられたのは、なぜこの一件だけではなく、研究不正・論文捏造がこれほどま
-
-
30万部突破のベストセラー『英語は3語で伝わります』他に学ぶパワフル動詞の使い方
中山裕木子著の『会話もメールも英語は3語で伝わります』を、とても興味深く読んだ。出版から2年で30万
-
-
『シグナル&ノイズ 天才データアナリストの予測学』のネイト・シルバーがおすすめする2冊の絵本がステキ
「今年続けて読みたい統計学オススメ関連書と教科書15冊」で紹介したうちの一冊が、ネイト・シルバーの『
-
-
今年の卒業・入学のお祝いに|おすすめの国語辞典・人気ランキング
今年もまた3月の卒業式、そして4月の入学式が近づいて来た。昨年はコロナによりことごとく中止となってし
-
-
将棋の子|奨励会年齢制限と脱サラ棋士のプロ編入という奇跡の実話
映画『泣き虫しょったんの奇跡』が公開されている。まだ観ていないのだが、もちろんこの実話はとてつもなく
-
-
イェール大学出版局「リトル・ヒストリー」は初学者に優しい各学問分野の歴史解説
以前にもおすすめしたのだが、米国イェール大学出版局の “A Little History” シリーズ
-
-
いまこそ本当の宇宙兄弟を目指す|13年ぶりの宇宙飛行士選抜試験いよいよ始まる
大ヒット漫画『宇宙兄弟』を挙げるまでもなく、僕らはみな子供の頃から宇宙が大好きだった。そして、あの頃
-
-
これは経費で落ちません|経理部が見つめる人間模様
NHKで現在放送中のドラマ「これは経費で落ちません!」が面白い。多部未華子が演じるアラサー独身女子・
-
-
ハートマウンテン日系人強制収容所の、貴重なプライベート写真集
7月に出版されたエッセイ写真集『コダクロームフィルムで見る ハートマウンテン日系人強制収容所』を読ん
-
-
日本美術展史上最大のフェルメール展ついに始まる|事前に読んでおきたいおすすめ5冊
さて、先週からいよいよ上野の森美術館で「フェルメール展」が始まった。現存する作品は三十数点しかなく、
