ビッグデータ時代の経済学|機械学習という新たなツールとの付き合い方
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経済学・統計学
“Economists are prone to fads, and the latest is machine learning: Big data have led to the latest craze in economic research” という The Economist 誌の記事が興味深い。
上記グラフからも分かるように、Randomized controlled trial (RCT) は過去10年で、経済学研究で非常によく使われるようになった。極めてパワフルなツールである一方で、その使い方に誤用があったり、またはそのシンプルさゆえに RCT が適用できる研究テーマにばかり注目が集まる等の弊害も指摘されている。
これと同様のことが、いま最先端のツールとなった machine learning にも当てはまるというのが本記事の趣旨である。上記グラフにも明らかだが、確かにここ数年で急速に「機械学習」という言葉を聞く機会が増えた。少しずつだが僕自身も勉強している、大変興味ある分野である。この可能性に満ちた新たな手法によって、経済学研究のフロンティアを開拓できるというメリットは極めて大きい。一方で、流行のツールに振り回されることなく、軸足のブレない研究を続けるという視点を忘れてはならない。経済学のみならず社会科学全般にわたって、研究者ならぜひとも読んでおきたい記事であろう。
Good economics is about asking the right questions. Of all the tools at the discipline’s disposal, its practitioners’ scepticism is the most timeless.
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