ビッグデータ時代の経済学|機械学習という新たなツールとの付き合い方
公開日:
:
経済学・統計学
“Economists are prone to fads, and the latest is machine learning: Big data have led to the latest craze in economic research” という The Economist 誌の記事が興味深い。
上記グラフからも分かるように、Randomized controlled trial (RCT) は過去10年で、経済学研究で非常によく使われるようになった。極めてパワフルなツールである一方で、その使い方に誤用があったり、またはそのシンプルさゆえに RCT が適用できる研究テーマにばかり注目が集まる等の弊害も指摘されている。
これと同様のことが、いま最先端のツールとなった machine learning にも当てはまるというのが本記事の趣旨である。上記グラフにも明らかだが、確かにここ数年で急速に「機械学習」という言葉を聞く機会が増えた。少しずつだが僕自身も勉強している、大変興味ある分野である。この可能性に満ちた新たな手法によって、経済学研究のフロンティアを開拓できるというメリットは極めて大きい。一方で、流行のツールに振り回されることなく、軸足のブレない研究を続けるという視点を忘れてはならない。経済学のみならず社会科学全般にわたって、研究者ならぜひとも読んでおきたい記事であろう。
Good economics is about asking the right questions. Of all the tools at the discipline’s disposal, its practitioners’ scepticism is the most timeless.
Amazon Campaign

関連記事
-
-
経済学を学ぶなら読んでおきたい『若い読者のための経済学史』|イェール大学出版局リトル・ヒストリー
以前にも紹介した、イェール大学出版局のリトル・ヒストリーシリーズ。これはさまざまな学術分野をその道の
-
-
経済学Ph.D.のアカデミック・ジョブマーケット|AEA年次総会がサンフランシスコで開催
1月の第一週、日本ではまだお正月気分の頃に開催されるのが The American Economic
-
-
スタンフォード大学に集まる若き経済学者たち
先週のニューヨーク・タイムズ紙の記事 "How Stanford Took On the Giant
-
-
秋学期に担当した統計学の、学生による授業評価が返ってきた
僕が昨年の秋学期(10-12月)に担当していた統計学の授業は、修士課程1年生の必修科目である。その受
-
-
2018年ノーベル経済学賞はノードハウスとローマーに|著書が半額セール中
今年のノーベル経済学賞が先日発表され、受賞者はイェール大学のウィリアム・ノードハウス教授と、ニューヨ
-
-
この世で一番おもしろい(かも知れない)統計学
なんと、『この世で一番おもしろい』シリーズに統計学編が登場しているじゃあないか。
-
-
今年のノーベル経済学賞は「行動経済学」のリチャード・セイラーに
今年のノーベル経済学賞が発表され、行動経済学についての貢献が評価され、シカゴ大学のリチャード・セイラ
-
-
『ヤバい統計学』とテーマパーク優先パスの価格付け
『ヤバい経済学』の大ヒット以来、『ヤバい社会学』、『ヤバい経営学』と続けてきたこのシリーズ。内容その
-
-
ゲーム理論とサッカーW杯そしてPK戦:なぜネイマールは右へ蹴ったのか?
ブラジルで開催中のサッカーW杯もいよいよベスト8。ますます眠れない夜が続く。さて、今回のワールドカッ
-
-
行動経済学者ダン・アリエリーの最新TEDトーク|How equal do we want the world to be? You’d be surprised
行動経済学者ダン・アリエリーが、TEDトークに登場。これで合計5回目となる彼のトークは、経済学者とし