タイトル戦相次ぐ藤井聡太の夏|今こそ将棋が熱く面白い
公開日:
:
オススメ書籍
プロ棋士・藤井2冠の夏がやってきた。昨年はタイトル棋聖と王位を獲得し、その初防衛戦が始まっているのだ。現役最強・渡辺明名人を挑戦者に迎えた棋聖戦では第一局から二連勝し防衛に王手をかけ、視野の広さと構想力の深さをまざまざと見せつけた。王位戦では、藤井二冠がもっとも負け越している豊島竜王を挑戦者に迎えての7番勝負。こちらも見どころ豊富で、一瞬も目が離せないという展開が続くのではないだろうか。
それに加えて、叡王戦や竜王戦も勝ち上がっており、こちらでもタイトル挑戦の可能性は十分にあり、今年は2冠からさらにタイトル獲得を増やしていくほどの勢いも感じる。いよいよ本格的な藤井時代がやってくるのか、それとも先輩棋士が意地を見せるか。熱い、暑い夏がやってきましたね。

藤井聡太論は各種出版されているが、最近での一番のおすすめはこちらの、谷川浩司の『藤井聡太論 将棋の未来』で間違いない。十七世名人の谷川は、史上最年少での名人獲得記録を有する現役レジェンドだ。しかもこの記録は藤井聡太をもってしても、この先、現在のB1級を今年で突破し、来年A級で1位となり名人挑戦権を得て、それでいて最後に名人を倒して初めて記録更新できるという、極めてチャレンジングなものなのだ。そんな伝説の谷川が語る藤井論が面白くないワケがないでしょ。というわけで、大変面白く読んだ。旧世代の最高峰の天才が、新生代の異次元の天才をどう評価しているのか、その視点が学べるだけでも十分にエキサイティングなのだから。本日最終日を迎えたAmazonのお祭りセール「プライムデー」を活用してぜひ読んでみて欲しい。
「天才は天才を知る」。レジェンドが迫る巨大な才能の秘密。AIの登場以降、大きく変貌する将棋界。そこに現れた若き天才・藤井聡太。14歳2ヵ月・史上最年少のプロデビュー後、衝撃の29連勝から始まり、史上最年少でのタイトル獲得など、次々と記録を塗り替えていく彼のすごさとは? 人間はどこまで強くなるのか?その謎を、史上最年少名人位獲得の記録を持つレジェンドが、自らの経験を交えながら、さまざまな角度から解き明かすとともに、多士済々の頭脳集団が切磋琢磨し、進化しつづける将棋の魅力を伝える。
Amazon Campaign
関連記事
-
-
スノーピーク初のグランピング施設が三浦半島にオープン
いよいよ夏が近づき、今年はまたキャンプにでも行こうかという話があちこちで聞こえそうなこの時期を狙って
-
-
美貌格差:ビジンとイケメンと生まれつき不平等の経済学
労働経済学者 Daniel Hamermesh による一般向け書籍 "Beauty Pays: Wh
-
-
夏休みに素敵な1冊を探そう|知的好奇心旺盛な10代のための読書地図
いまどき新聞なんてほとんど読まない、そんな人が増えてきた現代である。しかしながら、書評欄を楽しみに週
-
-
[おすすめ数学テキスト]政治学・社会学のための数学基礎講座
経済学Ph.D.課程の多くでは、夏の間に新入生向け の数学基礎講座(通称 Math camp)を開講
-
-
いまこそ将棋がおもしろい|人工知能と不屈の棋士
先月出版されたばかりの『不屈の棋士』を読み終えたところなのだが、これが実に読み応えのある一冊だった。
-
-
経済学と歴史学そして自然実験
2010年に出版されていた "Natural Experiments of History" がよう
-
-
『ゼロ・トゥ・ワン』のティールと米国社会の変容『綻びゆくアメリカ』
米国の著名投資家ピーター・ティールが著した『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』が、「今
-
-
学校で教えて欲しいおすすめ国語辞典の選び方・使い方・遊び方:複数の辞書を比較して使い分けよう
ベストセラーかつロングセラーの3冊の定番国語辞典 数多く存在する国語辞典の中から最初の一冊を選ぶな
-
-
『シグナル&ノイズ 天才データアナリストの予測学』のネイト・シルバーがおすすめする2冊の絵本がステキ
「今年続けて読みたい統計学オススメ関連書と教科書15冊」で紹介したうちの一冊が、ネイト・シルバーの『
-
-
2015年ことしのベストセラー|紙書籍編
先日の「ベストセラー電子書籍編」に続き、今回は本ブログ経由でよく読まれた紙の書籍編を紹介しよう。以下
