*

ゲイツ財団と世界の貧困に関する3つの誤解

公開日: : 最終更新日:2015/06/10 ニュース

今年もビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次書簡が発表される時期がやってきた。「ビル・ゲイツからの手紙と innovations in measurement」で書いたように、昨年の同財団は、貧困というグローバルな課題解決には明確な目標設定と正確な成果計測が欠かせないと、”Why measurement matters” と題した書簡の中で強調した。

walking woman in a crop field

 

そして昨日発表された今年のアニュアル・レターでは、「世界の貧困に関する3つの誤解」について綴っている。1つ目の誤解は、貧しい国はそうあり続ける運命にあるということ。2つ目の誤解は、海外からの支援は大きな無駄であるということ。そして3つ目の誤解は、命を救うことが過剰な人口増加につながるということ。

2035年までには世界から貧困をなくすことができるだろうというのが同財団の予測であり、そのゴール達成に向けて上記3つの誤解を解こうというのが今年のレターの視点であり、それは次のような書き出しで始まる。

By almost any measure, the world is better than it has ever been. People are living longer, healthier lives. Many nations that were aid recipients are now self-sufficient. You might think that such striking progress would be widely celebrated, but in fact, Melinda and I are struck by how many people think the world is getting worse. The belief that the world can’t solve extreme poverty and disease isn’t just mistaken. It is harmful. That’s why in this year’s letter we take apart some of the myths that slow down the work. The next time you hear these myths, we hope you will do the same.  – Bill Gates

 

sitting children

 

そして結語は次の通り。

If you read the news every day, it’s easy to get the impression that the world is getting worse. There is nothing inherently wrong with focusing on bad news, of course—as long as you get it in context. Melinda and I are disgusted by the fact that more than six million children died last year. But we are motivated by the fact that this number is the lowest ever recorded. We want to make sure it keeps going down.

We hope you will help get the word out on all these myths. Help your friends put the bad news in context. Tell political leaders that you care about saving lives and that you support foreign aid. If you’re looking to donate a few dollars, you should know that organizations working in health and development offer a phenomenal return on your money. The next time you’re in an online forum and someone claims that saving children causes overpopulation, you can explain the facts. You can help bring about a new global belief that every life has equal value.

We all have the chance to create a world where extreme poverty is the exception rather than the rule, and where all children have the same chance to thrive, no matter where they’re born. For those of us who believe in the value of every human life, there isn’t any more inspiring work under way in the world today.

 

running children

 

年次書簡が世界中で毎年大きな話題となるのは、ウォーレン・バフェットとビル・ゲイツくらいではないだろうか。今年のゲイツの手紙も長いが、ぜひともしっかり読んでおきたい内容だと思う。日本語版は抜粋のみだが、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版に掲載されている。同財団のウェブサイトでは関連する写真や動画やinfographic等の資料がダウンロードして利用できる他、過去のアニュアル・レターも公開している。

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部の挑戦と初受験

さて今年の国公立大学受験でもう一つ大きな話題となっているのが、一橋大学がじつに72年ぶりに新設する

記事を読む

ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所:2015年版

昨年「ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所」で書いたように、同紙では毎年1月

記事を読む

新潟県内最大級のイベント「新潟淡麗にいがた酒の陣」本日開幕

北陸新幹線の開業に沸く本日3月14日。新潟で今年もいよいよ始まりましたよ、酒の陣!これは10万人以上

記事を読む

ミャンマーの歴史と地政学|アジアの超大国・中国とインドをつなぐ十字路

ミャンマーがいま政治的に揺れている。日本との歴史的関係も長いこの国は、僕自身も何度か訪れたことがある

記事を読む

japanese igo

囲碁タイトル7冠同時制覇|井山裕太と師匠・石井邦生が創りだした盤上の宇宙・独創の一手

すごいな、井山裕太。大きなニュースとなったことで、囲碁ファン以外にも伝わったであろう、7冠同時制覇へ

記事を読む

東京オリンピック野球で導入された変則的決勝トーナメント

東京オリンピックの野球種目は、準々決勝でアメリカを倒し、準決勝で韓国を破った日本が、堂々の決勝進出を

記事を読む

2022年将棋賞金ランキング発表|藤井聡太5冠が1億円超で堂々の首位

将棋連盟から2022年の獲得賞金・対局料ベスト10が発表されましたね。毎年この時期の恒例であり、名

記事を読む

japanese igo

囲碁マネーリーグ|井山裕太五冠が11年連続の賞金王そして1億円越え

囲碁棋士の2021年賞金ランキングが発表され、棋聖、名人、本因坊を防衛し王座、碁聖を奪取した井山裕太

記事を読む

廃棄カツ横流し事件でよみがえる『震える牛』と食品・外食産業への不信

先日からニュースで大きく報道されている冷凍カツの横流し事件(NHKニュース「カツ横流しで業者 廃棄食

記事を読む

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、毎度新聞やニュース等でも大々的

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑