*

誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点2019年版

公開日: : 最終更新日:2019/09/28 オススメ書籍, 研究・論文

今年もまた、科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。自然科学系の研究者にとってはもちろんのこと、経済学をはじめとする社会科学系の研究者にとっても、絶対に獲得したい研究費であり、だからこそこれから締切直前まで、日本中の研究者が申請の作成・修正に膨大な時間を投じることになる。

 

そんな科研費だが、2017年の応募からその仕組みが大きく変わった。詳しくは「科研費改革の実施方針」(文科省)で示されているので、新たに応募する予定の人はしっかり目を通しておいた方がよいと思う。また、これまでは「若手」が年齢で定義されていたのが、今後は博士号取得からの年数で定義することとなった。つまり、少々遠回りして博士課程に入学・修了した人も「若手研究」に応募できるようになったので、該当しそうな方は忘れずにチェックしておいた方がよいだろう。

 

その他、申請書の作成という具体面でも、その書式に変更が加えられているのでこれも前もって確認しておくべきだ。とはいえ、申請書を書くにあたっての大きな視点に変わりはない。すなわち、なぜこの研究が大事なのか、どうやって実施しどのような成果を期待するのか、といったことを、申請書内で提示された項目をひとつひとつ埋めていく形で完成させればよい。ただし、その時に絶対に忘れてはいけない視点が、「読み手の気持ちになる」ということだ。

 

medium_2388310523

photo credit: bookgrl via photopin cc

 

そんな、読み手の視点に立って戦略的に申請書を書き上げる、という極めて大事なことを教えてくれるのが、この『科研費獲得の方法とコツ』というガイドブックだ。過去に提出された実際の申請書を実例として、その成功要因だけでなく失敗要因まで生々しく分析していくのだから、これほど役立つ本はないと断言できる。落とされた申請書を本で一般公開するなどということを快諾してくれた著者やその研究仲間の方々には感謝感謝の言葉しかない。実際に僕自身が科研費を獲得できたのも、間違いなくこの一冊のおかげと思っているし、今後も引き続き目を通し、常に相手の立場で、もっと言えば、一つの申請書を読むのに5分しかかけられない審査員の立場に立って、自分の申請書を見直していきたいと考えている。

 

これだけ役立つガイドラインが多くの人に読まれないわけはなく、だからこそ先日はついに最新第6版が出版されたところなのである。また、毎年申請書の提出締切間際になると本書が書店から一斉に売り切れとなる現象が見受けられるので、興味がある人は今のうちに早めに買っておいた方がよいと本気で思う。なにしろ、本書を読まずして科研費の申請書を執筆・提出するなんて、地図も持たずに冒険に出かけるようなものなのだから。研究者にとっては絶対必携・先手必勝・大願成就のマスト・アイテムなのである。

半世紀ぶりの大きな制度変更に対応した科研費応募のバイブル最新版! 第6版も,初めて応募する方,何度も挑戦してきた方を徹底サポートいたします! 平成30年度公募の制度変更の経験を踏まえ,最新の改訂第6版では,新制度下の審査システムと採択のための考え方,新しい構成になった申請書をどのように書くべきかなどを特に丁寧にご加筆いただきました.著者とその仲間が実際に使用した申請書を実例とし,採択の秘訣を具体的に説明したことで初版から大きな評価を得ている本書の良い点はもちろんそのままです.これまでにご好評をいただいていた応募戦略,申請書の書き方,採択・不採択後の対応など,門外不出のノウハウも丁寧に説明しています.

 

 

そんな素晴らしい一冊を上梓した著者・児島将康氏がさらに続けて出版したのが、こちらの『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック』である。今年の申請書を今書いている、もしくはこれから書き始める人にとっては、本書もまた大いに役立つことだろう。というように、日本の研究者にとって一大イベントである、科研費の申請書作成。これらのガイドブックを有効に活用して、ぜひ次の科研費獲得に役立ててください。

とりあえず申請書を書いてみたけれど…。「書き方」の疑問や悩み誤解や思い込みを解消!数多くの申請書を見てきた著者が実例78caseに珠玉のアドバイスを詰め込みました。ベストセラー「科研費獲得の方法とコツ」の実践編!

 

 

そしてもう一つ、関連しておすすめしたいのが、以下にある塩満典子『科研費採択に向けた効果的なアプローチ』である。本書のユニークな視点は、研究者自身の手によるものではなく、研究者たちのそばで申請書作成の支援に携わってきた著者が、外からの視点で効果的な書き方を提案している点にある。科研費をふくめ、競争倍率の厳しい研究資金に採択される確度を高めるためには、一歩退いて、より客観的かつ俯瞰的に自分の提案書を読み直すことも必要だ。そんなときに役立つのが、本書のように研究支援の立場で関わってきた人からの意見なのである。他の類書とは異なるアプローチだからこそ、有用な視点が得られる一冊として、これも合わせておすすめしたい。

内容紹介
科研費採択率の高い申請書を作成・支援してきた著者が、自然科学系、人文・社会科学系、それぞれの視点から、採択のための重要ポイントを解説。具体的な研究計画調書で採択される書き方を知り、不採択の原因分析で改善点が理解できる画期的な内容。採択率の機関別統計も紹介。
出版社からのコメント
成功する科研費獲得の効果的なポイントを伝授! タイトル・概要の書き方のコツ、審査委員の調べ方、KAKENデータの活用、わかりやすい記述と高い学術性の強調のバランスなどを解説します。 巻末には、大学別の採択率や教員数も掲載しています。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

箱根駅伝「幻の区間賞」と関東学連チーム出場の是非

来年もまた正月から箱根駅伝にくぎ付けとなってしまう、そんな人も多くいることだろう。二日間に渡るこれだ

記事を読む

春の卒業・入学シーズンを前に国語辞典をしっかり選ぼう|やはりオススメの定番4冊

さていよいよ3月となり、入試の合格発表から卒業式・入学式の季節となった。素敵なサクラが咲くよう期待し

記事を読む

ビル・ゲイツが2013年のNo.1書籍に選んだ『コンテナ物語』

ビル・ゲイツ氏が選ぶ「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」が昨年末何かと話題となったが、その中でイ

記事を読む

いまこそ将棋がおもしろい|人工知能と不屈の棋士

先月出版されたばかりの『不屈の棋士』を読み終えたところなのだが、これが実に読み応えのある一冊だった。

記事を読む

数学ミステリー白熱教室|数学と物理学の驚異のつながり

「NHK『数学ミステリー白熱教室』本日最終回をお見逃しなく」でも書いたように、先週末でNHKの「白熱

記事を読む

shougi denou sen

「われ敗れたり」:完敗だったが名勝負もあった第3回将棋・電王戦

今夜11時放送のTBS「情熱大陸」は、将棋・電王戦。  将棋のプロ棋士とコンピューター将棋ソフトが

記事を読む

若き冒険家のアメリカ|植村直己『青春を山に賭けて』

NHK-BS で放送されている「ザ・プロファイラー|夢と野望の人生」をご覧になっているだろうか?以前

記事を読む

日本経済学会@同志社大学に行ってきた

先週末は日本経済学会の春季大会で報告してきた。会場は京都の同志社大学ということで、初めてここを訪れた

記事を読む

欧州サッカー「データ革命」|スポーツを科学する最前線ドイツからの現地レポート

先日書いた「錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKER

記事を読む

科学と度量衡の歴史|キログラムの定義が130年ぶりに変更

さて、先日のニュースでも大きく報道された通り、来年から「キログラム」の定義が変更されることとなった。

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

経済学と統計学のオススメ2冊が半額以下の注目セール

Kindle本日の日替わりセールに、山口慎太郎『「家族の幸せ」の経済学

クラウド会計「freee」が大型上場|確定申告と研究費管理に役立つ画期的サービス

先日は、クラウド会計サービスを手がける freee (フリー) が東証

バッタの大群襲来|書籍『バッタを倒しにアフリカへ』が現実に

以前に「若き昆虫学者のアフリカ|いまこそ昆虫が面白い」でも書いたように

今年のM-1優勝はミルクボーイ|松本人志はじめ審査員の採点と評価コメントにこそ大注目

2019年、令和最初のお笑い王座を決める M-1グランプリは、決勝初出

数学者たちの異常な日常|世にも美しき最後の秘境

以前に「あたなの知らない、世にも美しき数学者たちの日常」でも紹介した、

ワールドカップ決勝へ|ラグビー名将エディー・ジョーンズの勝負哲学

ラグビー・ワールドカップが面白い。まったくもってニワカなんですが、ルー

2019年ノーベル経済学賞は開発経済学者3氏と貧困解消に向けた実験的手法に決定

2019年のノーベル経済学賞受賞者が発表された。受賞者は、マサチューセ

誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点2019年版

今年もまた、科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。自然科学

PAGE TOP ↑