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2017年のベストセラー書籍トップ25冊

公開日: : オススメ書籍

2017年も残すところあとわずか。それでは今年も本ブログを通じてのベストセラー書籍を上位25点紹介しておこう。いずれもオススメ書ばかりなので、冬休みの読書にぜひどうぞ。

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第1位 学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方

2017年のベストセラー・トップに輝いたのが、この一冊だ。昨年に続いて2年連続トップとなった実力は本物と言ってよいだろう。「サンキュータツオの名著『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』が待望の文庫化」でも紹介したように、これだけユニークな名著なのである。であるならば、より一層多くの人に本書のおもしろさ、国語辞典に対する著者の並々ならぬ愛情と熱情、そして国語辞典それぞれが持つ個性の奥深さが伝わって欲しいと思う。

『新明解』『角川必携』『岩波』など、この世にたくさん存在する国語辞典。いったい何がどう違い、どれを選べばいいの?その悩み、すべて解決します!辞書200冊超をコレクションする、オタクで学者で芸人のサンキュータツオが、辞書の楽しみ方、選び方、つきあい方を徹底ガイド。編者や執筆者の熱い想いと深い哲学が詰まった、ユニークで愛すべき国語辞典たちの、知られざる個性と魅力をわかりやすく紹介。

 

 

第2位 統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

「今からでも遅くない|しっかり学ぶ統計学おすすめ教科書と関連書15選」でも紹介した統計学の入門書が、今年のベストセラー第2位にランクイン。こういう定番の一冊がきちんと読まれているというのは、大変うれしいものである。

長年愛されている統計学の定番ロングセラー。文科と理科両方の学生のために、統計的なものの考え方の基礎をやさしく解説するとともに、統計学の体系的な知識を与えるように、編集・執筆された。豊富な実際例を用いつつ、図表を多くとり入れ、視覚的にもわかりやすく親しみながら学べるよう配慮した。

 

 

第3位 新解さんの謎

続くベストセラー第3位は、「国語辞典を選ぶならこの3冊がおすすめ:現代語に強い三省堂・豊かな語釈の新明解・安定と安心の岩波」でも紹介したこちらの書籍だ。ご存知のように、いま日本でもっとも売れている国語辞典が三省堂の「新明解国語辞典」である。この辞書ならではの特徴とその味わい方をこってり伝授してくれるのが、赤瀬川源平のこの名作なのである。ぜひとも、おもしろおかしく読んで頂きたい。

辞書の中から立ち現われた謎の男。魚が好きで苦労人、女に厳しく、金はない―。「新解さん」とは、はたして何者か?三省堂「新明解国語辞典」の不思議な世界に踏み込んで、抱腹絶倒。でもちょっと真面目な言葉のジャングル探検記。紙をめぐる高邁深遠かつ不要不急の考察「紙がみの消息」を併録。

 

 

第4位 はじめての統計学

こちらもまた、「今からでも遅くない|しっかり学ぶ統計学おすすめ教科書と関連書15選」で紹介した、初学者に向けて大変丁寧に書かれた統計学の教科書として強くおすすめしたい。

暗記をするな、考える力をつけよう。数学が苦手な人でも読みこなせるように、基礎知識から丁寧に解説した統計学のワークブック。練習問題を解いていくうちに次第に高度な知識を身につけることができます。

 

 

第5位 完全独習 統計学入門

そしてまたもや統計学の入門書が上位にランクイン。小島寛之の『完全独習 統計学入門』は、これ以上内容を削れない「超入門書」と銘打たれているように、本書は統計学をゼロから学んでみたいという人にはもってこいの一冊となるだろう。最近のブームをきっかけに、統計学という分野に興味がわいたのであれば、ぜひこの一冊から統計学ならではの考え方とツールを学んでみてはどうだろうか。

本書は、統計学を初めて学ぶ人、統計学を改めて学び直したいという人、何度も挫折して、いまだに身についてない(と感じている)人、今まさに落ちこぼれつつある人に向けた、統計学の超入門書です。「これ以上何かを削ったら、統計学にならない」という、最小限の道具立て(ツール)と簡単さで書かれた「超入門書」。

 

 

第6位 統計学をまる裸にする データはもう怖くない

第6位の本書は、これもまた「今からでも遅くない|しっかり学ぶ統計学おすすめ教科書と関連書15選」で強く推薦した統計学書のうちの一つである。本書の著者も、実はむかしは統計学や数学が大の苦手だったそうなのである。そんな当時の自分を振り返るように、「いやいや、統計学ってものすごく面白いし、そんなに難しく考えなくてもいいんだよ」という姿勢で、やさしく丁寧に、統計学のコンセプトを解説する。素晴らしい一冊として本書をおすすめしたい。

統計学? つまらない、わかりにくい――これが定評だ。本書は、その常識をひっくり返します。統計学ほど面白く、役に立つものも少ない。だが、使い方を間違えると、とんでもなく有害なものにもなる! コメディアンのようだとも評されるユーモアたっぷりな語り口で、さまざまなエピソードを交え、統計学の本当に大事なところ、考え方を紹介。記述統計、相関、確率、中心極限定理、推定、世論調査、回帰分析、プログラム評価――本書は統計学の基本が直感的にわかるように書かれています。そして、統計学の面白さ、有用性と、使い方を誤ったときの怖さが理解できる本です。

 

 

第7位 フェルメールになれなかった男

なんと、ここでまさかのフェルメール関連書がランクイン。「盗作と贋作のフェルメール|美術作品にまつわる犯罪史」でも詳しく紹介したように、フェルメールは寡作の画家であり、かつその多くが盗作や贋作の被害に遭うという、大変に数奇な運命をたどる。本書は、第二次世界大戦を舞台にした美術史に残る一大スキャンダルであり、事実は小説よりも奇なりと実感すること間違いなしの超ド級のノンフィクションなのである。ぜひ読んでみて。

秀れた才能を持ち、将来を嘱望された画家は、なぜ贋作作りに手を染めることになったのか。第二次大戦終結直後のオランダで、ナチの元帥ゲーリング所蔵の「フェルメールの絵画」に端を発して明らかとなった一大スキャンダル事件に取材。高名な鑑定家や資産家たちをもまんまと欺いた世紀の贋作事件を通して、美術界の欲望と闇を照らし出し、名画に翻弄される人々の姿を描き出した渾身作。

 

 

第8位 データ分析の力 因果関係に迫る思考法

統計学がプチブームとなった数年前と比べ、近年の話題は因果推論に移っている。その分野でのイチオシ推薦書がこちら『データ分析の力』だ。背景にある計量経済学の詳細には触れずに、その考え方のエッセンスを極めて丁寧に初学者向けに解説した、新書のお手本のような一冊である。同分野のもう一つのオススメ書『「原因と結果」の経済学』と合わせて読んでみるとよいだろう。

ビッグデータ+人間の判断力=真実が明らかに! 最先端のパワフルな手法を、数式を使わず、わかりやすく解説! ビッグデータが存在するだけでは、「因果関係」の見極めはできない。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う――。本書では「広告が売り上げに影響したのか?」「ある政策を行ったことが本当に良い影響をもたらしたのか?」といった、因果関係分析に焦点を当てたデータ分析の入門を展開していきます。序章では、なぜ因果関係を見極めることがビジネスや政策の成功の鍵を握るのか、様々な実例を使いながら解説します。第2章以降では、ランダム化比較試験、RDデザイン、パネル・データ分析など、因果関係に迫る最先端のデータ分析手法について、数式を使わず、具体例とビジュアルな描写を用いて解説していきます。

 

 

第9位 青春を山に賭けて

ここで、植村直己の青春記がランクイン!本書は「若き冒険家のアメリカ|植村直己『青春を山に賭けて』」でも強くおすすめした一冊であり、じつに清々しい読後感を与えてくれる。移民船で横浜港を発ちアメリカへ向かった植村は、登山資金を稼ぐためにまずは農園で働き始める。メキシコ移民たちと同じ重労働に従事しつつも、彼の表情はいつも明るく朗らかだ。不法就労で捕まりつつも、現地女性に淡い恋をして、まるでアメリカ西海岸の気候そのままに、からっと晴れわたったような若者の生き方は、藤原正彦『若き数学者のアメリカ』に比肩するほどの、青春記の傑作と言えるだろう。

「五大陸の最高峰を踏んだ登山家」としてその名を世界に知らしめた植村直己。戦後日本が生んだ最大の探検家の若き日々の記録。家の手伝いからは逃げ、学校ではイタズラばかりしていた少年は、大学へ進んで、美しい山々と出会った。大学時代、ドングリとあだ名されていた著者は、百ドルだけを手に日本を脱出し、さまざまな苦難のすえ、夢の五大陸最高峰登頂を達成する。アマゾンの60日間イカダ下りもふくむ、そのケタはずれな世界放浪記の全貌。日本人初のエベレスト登頂を成功させた植村だが、「私は五大陸の最高峰に登ったけれど、高い山に登ったからすごいとか、厳しい岩壁を登攀したからえらい、という考え方にはなれない。山登りを優劣でみてはいけないと思う。要は、どんな小さなハイキング的な山であっても、登る人自身が登り終えた後も深く心に残る登山がほんとうだと思う」という言葉を本書に記している。

 

 

第10位 実況中継 トランプのアメリカ征服 言霊USA2017

2017年、世界最大のニュースは、トランプ大統領の誕生だったかも知れない。だからこそ「米国トランプ次期大統領が決まった今こそ読みたい現代アメリカ社会批評」でも紹介したように、町山智弘が現代アメリカ社会を鋭い視点でぶった斬る、この「言霊USA」シリーズは、はっきり言って現代人の必読書と言えるだろう。本書が10位にランクしているのも全く不思議ではなく、むしろもっと多くの人に今こそ読まれるべき一冊なのである。

暗黒時代の幕開けとなるか!?2017年1月20日。好感度歴代ワースト1、政治家経験ゼロの嵐を呼ぶ男・トランプがついに第45代アメリカ合衆国大統領の座に!全米各地で反トランプデモが沸騰し、前代未聞の様相を呈するアメリカ。世界中が固唾を呑んで見守るなか、トランプ新大統領を追ってアメリカ全土を駆け回り、
想像を絶する「リアル」な情報を現地から電撃レポート!

 

 

第11位 ファスト&スロー

「今年のノーベル経済学賞は「行動経済学」のリチャード・セイラーに」で書いたように、近年ますます行動経済学に対する注目が高まっている。それと同時に、「文庫で学ぶ行動経済学」で紹介したように数多くの関連書が出版されている。その中にあって、一つだけ選ぶならコレ、という言うべき一冊(上下で二冊だけど)が本書『ファスト&スロー』なのである。人間の決して合理的とはいえない意思決定と行動をよりよく理解する助けとなる本書もまた、現代人にとっての必読書と言えるのではないだろうか。

整理整頓好きの青年が図書館司書である確率は高い? 30ドルを確実にもらうか、80%の確率で45ドルの方がよいか? はたしてあなたは合理的に正しい判断を行なっているか、本書の設問はそれを意識するきっかけとなる。人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明。心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者が、幸福の感じ方から投資家・起業家の心理までわかりやすく伝える。

 

 

第12位 憲法で読むアメリカ史

12位に登場した本書『憲法で読むアメリカ史』も、実に素晴らしい力作だ。これも「アメリカの歴史をつくる9人の連邦最高裁判事」で書いたことだが、アメリカの歴史は憲法の歴史であり、各年代においてアメリカ社会全体で議論されてきた、黒人差別や男女平等、妊娠中絶や同性婚といったことに、ひとつひとつ憲法判断を下してきた、9人の最高裁判事の歴史でもあるのだ。建国からたった二百数十年しか経っていないこの人工国家は、文化や歴史的背景の異なる国々からの移民で成り立っており、だからこそ法律を基盤に国づくりを行ってきた。そんなアメリカの歴史を最高裁判決という視点から描いた本書は、この国を理解するために最適の一冊でもあり、トランプ大統領の下で新しいアメリカがつくられようとしている今こそ読まれるべき内容と言えるはずだ。

君はまだ、本当のアメリカを知らない。第6回読売・吉野作造賞の快著、完全版をここに文庫化!

建国から二百数十年、自由と民主主義の理念を体現し、唯一の超大国として世界に関与しつづけるアメリカ合衆国。その歴史をひもとくと、各時代の危機を常に「憲法問題」として乗り越えてきた、この国の特異性が見て取れる。憲法という視点を抜きに、アメリカの真の姿を理解するのは難しい。建国当初の連邦と州の権限争い、南北戦争と奴隷解放、二度の世界大戦、大恐慌とニューディール、冷戦と言論の自由、公民権運動――。アメリカは、最高裁の判決を通じて、こうした困難にどう対峙してきたのか。独立戦争から現代へと至るその歩みを、憲法を糸口にしてあざやかに物語る。この国の底力の源泉へと迫る壮大な通史!

 

 

第13位 シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

第13位は、ネイト・シルバーのこの一冊。いまさらと言わず、いまからでも読んでおきたい、データ・サイエンス関連の必読書だ。

「私たちはシグナルを探そうとしてノイズを集めている」米大統領選で「オバマの勝利」を完璧に予測し、世界を騒然とさせた希代のデータアナリストが、情報の洪水のなかから真実(シグナル)を見つけ出す統計分析理論と予測技法を初公開!

 

 

第14位 経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い

こちらは、第6位にランクした『統計学をまる裸にする』とセットで読んで欲しい一冊。統計学編と同様に、経済学における重要なコンセプトを、初学者がすっと理解できるような書きぶりに好感が持てる良書としておすすめしたい。

面白くって、ためになる、経済入門書の全米ベストセラー。意味不明な数式、わけのわからない専門用語、理解不能なグラフ……。経済学は小難しくて退屈で、不明瞭なうえにつまらない、と学生時代に挫折した人も多いはず。でも大丈夫。本書には、数式もなければ、グラフも図もありません。余計なものを脱がせてしまえば、経済学はこんなにも面白くなり、ビジネスはもちろん、日常生活でも役立ちます。数ある経済入門書の草分けである全米ベストセラーの新版を、改題・改訳して出版。著者は、権威ある経済学者などではなく、英「エコノミスト」誌の元記者なので、ややこしい経済問題を笑えるエピソードとからめて解き明かしてくれます。

 

 

第15位 人工知能は人間を超えるか

昨今の大きな話題として避けて通れないのが、この人工知能だろう。本書はこの最先端分野で活躍する日本人研究者による一冊であり、同分野の概要を知るためには最適の一冊だ。類書は数多出版されているが、まずはこれを読んでおけば間違いない。

ディープラーニングの特徴をひと言で言えば、コンピュータが人間のように「気づき」を得るしくみのこと。これまで「人工知能」と呼ばれていたものは、たとえ同じ計算を10万回やっても、1回目と10万回目のやり方は基本的に同じで、「もっと早く計算できる方法」に自ら気づけない。コンピュータの計算能力は飛躍的に上がったが、それは根本解決ではないのだ。しかし、その状況がディープラーニングによって革命的に変わる。

本書では、人工知能学会で編集委員長・倫理委員長なども歴任、日本トップクラスの研究者の著者が、これまで人工知能研究が経てきた歴史的な試行錯誤を丁寧にたどり、その未来像や起きうる問題までを指摘。情報工学・電子工学や脳科学はもちろん、ウェブや哲学などの知見も盛り込み、「いま人工知能ができること、できないこと、これからできるようになること」をわかりやすく解説する。

 

 

第16位 走ることについて語るときに僕の語ること

第7位のフェルメールや、第9位の植村直己に続いて、こういう統計学や経済学やアメリカとも関係のない書籍がランクインしてくるというのは、なんだかとてもうれしくなる。ランナーにとっては言うまでもなく必読書だが、村上春樹が走り続ける姿勢、そして文章を書き続ける姿勢に感銘を受ける本書は、もちろんランナー以外でも、そして村上ファン以外にも読んで欲しい内容だ。そういう僕自身も、とくに村上作品を好んで読むということはなく、この一冊を愛読するくらいなのである。

走ることについて語りつつ、小説家としてのありよう、創作の秘密、そして「彼自身」を初めて説き明かした画期的なメモワール 1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロマラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう? 日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれのか? 村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。

 

 

第17位 できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか

「できる研究者の論文生産術:How to Write a Lot」で紹介した本書が第17位にランクイン。研究者および大学院生ならぜひとも読んでおきたい一冊であり、「いかに書くか」ではなく「いかに書き続けるか」に焦点を当てた、ライティング・マネジメントに関する珠玉の一冊である。その続編にあたる『できる研究者の論文作成メソッド 書き上げるための実践ポイント』がちょうど翻訳出版されたタイミングでもあり、ぜひ2冊合わせて読んでみて欲しい。研究に対する取り組み意識と姿勢がぐっと変わってくるはずだ。

全米で話題の「How to Write a Lot」待望の邦訳!いかにして多くの本や論文を執筆するかを軽快に解説。雑用に追われている研究者はもちろん、アカデミックポストを目指す大学院生も必読!人生が変わる。

 

 

第18位 科研費獲得の方法とコツ

「誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点」で詳述したように、本書は日本全国の研究者必携のガイドブックである。採択された実際の申請書だけでなく、不採択となった申請書までを題材にして、どんな視点でいかに採択確率を高めるか、その戦略的手法が提示されているのだから、これを読まない理由はないだろう。なかなか科研費に採択されない人、次回初めて申請する人にとっては、これほど有難いアドバイスはない。ぜひご参考に。

10万人以上が活用してきた科研費応募のバイブル新制度に対応した最新版! 第5版も,初めて応募する方,何度も挑戦してきた方を徹底サポートいたします! 今版では,平成29年(2017年)9月の公募から導入される新しい研究計画調書(申請書)の様式,審査のしくみ,審査方式をわかりやすく解説.「科研費改革2018で何が変わる?」,「小・中・大区分って何?」,「若手研究(A)が無くなる?」など.もちろん,これまでにご好評をいただいていた応募戦略,申請書の書き方,採択・不採択後の対応など,門外不出のノウハウも丁寧に説明しています.

 

 

第19位 教科書に載ってないUSA語録

「町山智浩最新作『言霊USA2016』は、シリーズ最高の現代アメリカ社会批評だ」と断言したように、町山渾身のアメリカ・レポートは毎回痛快だ。ふだんのテレビや新聞で報じられるアメリカとは異なる、もっとリアルな、もっと等身大のアメリカ現代生活がここにはある。それを知ることができるのは唯一、この町山の現地取材なのである。

「週刊文春」の人気連載、抱腹絶倒の過激コラム!「チナメリカ」「イースト・ウッドする」の意味がわかりますか? 次々と生まれる新語には、リアルなアメリカの今が満載! なぜかイスラム教徒扱いをされるオバマから、トンデモ発言でおなじみのペイリン、ギャル語を話すアメリカの女子高生まで、大国の実像がここに。

 

 

第20位 ヤバい統計学

第20位にランクインしたのは、「『ヤバい統計学』とテーマパーク優先パスの価格付け」でも紹介した、統計学のおもしろさを十二分に伝えてくれるこちらの一冊だ。興味ぶかいエピソードが満載で、専門知識を学ぶ前にまずは「統計的思考」の世界をのぞき見るのに最適の入門書と言えるだろう。その続編の『ナンバー・センス』も傑作なので、ぜひ合わせて読んでみて欲しい。

ディズニーランド、交通渋滞、クレジットカード、感染症、大学入試、災害保険、ドーピング検査、テロ対策、飛行機事故、宝くじ―10のエピソードで探求する「統計的思考」の世界。そのウラ側にある数字を知れば、統計学者のように思考し、自分の世界を自分で支配できるようになる。

 

 

第21位 アルゴリズムが世界を支配する

こちらも今年よく読まれた一冊。アルゴリズムの歴史を学び、それがわれわれの現代生活にどう影響を与えているのか、そして人工知能の時代を迎え、その影響は今後どう変化していくのか。この角川EPUB選書には現代社会を裏方で支える技術に関する優れた解説書があり、本書ももちろんその一つである。ぜひご一読を。

未来はAlgorithmから逃れられない―ボットに支配される社会で成功する道はどこにあるのか。古代から存在はしたが、2000年代、ウォール街で金融商品の開発に活用されたことで一気に進歩したアルゴリズム。映画や音楽のヒット予測に限らない、今や私たちの生活のあらゆる場面に進出しているのだ――。

 

 

第22位 「ない仕事」の作り方

「「ない仕事」の作り方|みうらじゅんとノーベル賞級の研究」でも強調したことだが、本書はゆるふわな筆致で描かれているものの、その指摘はじつにスルドイ。そしてこういう視点こそ、研究者に必要なものだと痛感させるという点で、研究者にこそ読んでもらいたい一冊ではないだろうか。非常におすすめです。

デビューして今年で35年、「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるみうらじゅん。とはいえ、「テレビや雑誌で、そのサングラス&長髪姿を見かけるけれど、何が本業なのかわからない」「どうやって食っているんだろう?」と不思議に思っている人も多いのでは?

本書では、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」を、アイデアの閃き方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説していきます。

「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書(?)です。

 

 

第23位 辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

「国語辞典業界最大の謎がいま明らかにされる」でも詳しく紹介したが、本書『辞書になった男』を読んで僕は衝撃のあまり言葉を失ったよ。そんな気持ちをどう表現すればよいのか、思わず三省堂国語辞典と新明解国語辞典をめくってしまったほどにね。そう、本書『辞書になった男』は、まさにこの二冊の国語辞典が誕生した背景に隠された秘話に迫った、傑作ノンフィクションなのである。まさかまさか、この二人にそんな因縁があり、その因縁がそのまま日本の二大国語辞典に反映されていたなんて・・・。 ネタバレしたくないので、続きは自分で読んでくれ!

「三省堂国語辞典」略して「三国(サンコク)」。そして 「新明解国語辞典」略して「新明解」(赤瀬川原平著『新解さんの謎』でブームとなった辞書である)。二冊ともに戦後、三省堂から刊行された辞書で、あわせて累計4000万部の知られざる国民的ベストセラーだ。しかし、この辞書を作った(書いた)二人の人物のことは、ほとんど知られていない。
「三国」を書いたのが、ケンボー先生こと見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)。「新明解」を書いたのは、山田先生こと山田忠雄(やまだ・ただお)。二人とも国語学者だが、「三国」と「新明解」の性格はまったく異なる。「三国」が簡潔にして、「現代的」であるとすれば、「新明解」は独断とも思える語釈に満ち、「規範的」。そこには二人の言語観・辞書が反映されている。
本書は、二人の国語学者がいかにして日本辞書史に屹立する二つの辞書を作り上げたかを二人の生涯をたどりながら、追いかけたノンフィクション。二人が辞書の世界に飲みこまれていくさまは壮絶ですらある。著者・佐々木健一は、同じテーマで「ケンボー先生と山田先生」(NHKBS)という番組を制作したディレクター。同番組はATP賞最優秀賞、放送文化基金賞最優秀賞を受賞。番組には盛り込めなかった新事実やこぼれおちた興味深いエピソード、取材秘話なども含めて、一冊の本にまとめた。本書で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

 

 

第24位 サッカーマティクス

「スポーツの統計学|データ・サイエンティストたちのゲーム分析」でも解説したように、いまや多くのスポーツでデータ分析・活用が普及している。その最前線にあるのが、サッカーであり、本書なのである。「サッカー・データ革命の時代に読んでおくべきこの5冊」と合わせて読んで頂きたい内容であり、サッカーファンもデータマニアも面白く読める書籍となっている。

◆サッカーマティクスとは?
理論だけのサッカーは退屈だ。サッカーが理論と実践の融合であるように、数学もまた実践によって磨かれる。数学的モデルでサッカーのプレイはさらに洗練されたものになるし、サッカーもまた数学の発展に役立つ。生物学者や社会学者とコラボしながら世界中で活躍する数学者が、自分の愛するサッカーと数学とを融合させて生み出した、サッカーのプレイと観戦をさらに面白くするアプローチ、それがサッカーマティクスだ。
◆最も数学的なスポーツ、それがサッカー!
野球が「統計」のスポーツなら、サッカーは「パターン」のスポーツだ。攻撃の幾何学的構造、選手の流れ、ランダム性の支配するピッチ、1+1を3にも4にもするチームワーク……最先端の数学はまさにサッカーを記述するための言語なのだ。

サッカーのあらゆる「数学的パターン」を発見・分析し、プレイと観戦に新たな視点を与える話題作。

 

 

第25位 世紀の贋作画商

こちらも実に興味深いアート・ノンフィクションである。フェルメールの贋作に代表されるように、美術界にはダークな話題が尽きない。「アートは小説よりも奇なり:盗作と贋作の歴史、美術ノンフィクションが面白い」でも類書を数多く紹介してきたが、本書もじつに興味深い一冊に仕上がっている。

9.11テロの関連捜査をしていたFBIがニューヨークで捕えたユダヤ人画商は、日本に驚くほどの数の「贋作」を売りさばいていた。バブル狂乱の前夜から銀座を拠点に暗躍したこの男は、企業、富裕層、美術館を標的に贋作を撤き散らし、作家松本清張にも接触していたという。82年には三越の贋作秘宝事件で世間を驚愕させ、社長解任・逮捕まで巻き起こした。FBIをして「世紀の贋作画商」と呼ばせたその数奇な運命、そして彼の贋作バブルに生命を与え続けた日本人の精神の「膿」を、綿密な取材からえぐり出す。

 

 

今年もおもしろい本をたくさん読んだ。来年もまたよい本と出会えるのを楽しみにしたい。どうぞよいお年と読書体験を。

 

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