寝苦しい今夜も嫁を口説こうか|珠玉の芸人エッセイ3冊
以前にも何度かおすすめしてきたように、お笑い芸人が書くエッセイには、なかなかに読ませる面白いものが多いのだ。それもそのはず、そうした芸人のなかには、無類の読書家も多く、例えばオードリー若林のように、作家との対談を通じて、小説家それぞれの魅力的な個性を引き出すという、夢のような番組にまで発展したりしているのだ。
小説家って面白い! 無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と、20人の作家たちが“自分のルール”を語りつくす。 大人気番組、ついに書籍化! 西加奈子/朝井リョウ/長嶋有/加藤千恵/村田沙耶香/平野啓一郎/山崎ナオコーラ/佐藤友哉/島本理生/藤沢周/羽田圭介/海猫沢めろん/白岩玄/中村航/中村文則/窪美澄/柴崎友香/角田光代/尾崎世界観/光浦靖子
さて、そんななか、現在開催中のKindle本ストア 9周年キャンペーンでも、おすすめのお笑い芸人本がいくつかリストアップされていたので、ぜひここで強くおすすめしておきたい。一冊目は、かまいたち山内健司による初の著作『寝苦しい夜の猫』である。猫ずきの僕は当たり前のように面白く読んだけど、もちろんそうじゃなく犬好きの人にだって伝わるこの面白さ。人気芸人が生まれるまでの経緯と背景、そして売れない若手時代の苦労と苦悩といったように、読みどころは満載だ。ぜひセール対象となっているこの機会にぜひ手に取ってみて頂きたい。
2019年、M-1決勝の前夜
山内は、思わず愛猫にゃんじを抱きしめた2019年12月22日のM-1決勝戦の前夜、
山内は、翌日披露するであろうネタを、一人でひたすら繰り返した。
不安で胸がはちきれそうな山内の様子は、愛猫たちだけが知っていた――。お笑いコンビ『かまいたち』の山内健司による初の著書。
この本は山内の飼い猫“にゃんじ”が見聞きした様子を綴ったエッセイである。
もう一冊のおすすめは、アルコ&ピースの平子祐希による著作『今日も嫁を口説こうか』だ。世の中の芸人の多くは恐妻家である。もちろん本当に怖いヨメさんがいる場合もあれば、そうでなく、そういう話にしておいた方が受けがいいから、という人も多いことだろう。だけど、この平子は全く異なるアプローチ、そう愛妻家、しかも度を超えたヨメサンLOVEを謳うのだ。そういうぶっ飛んだ話が面白くないワケがないのである。こちらもぜひセール対象となり通常の半額で買えるこのタイミングで、ぜひとももっと多くの人に読んでもらいたい一冊として強くおすすめしたい。
「最近、ちゃんと嫁を口説けているか?」夫婦の愛を問いかける大型芸人エッセイ。お笑い界における新・愛妻家芸人として頭角をあらわすアルコ&ピースのピースの方、平子祐希。バラエティ番組やラジオで妻・真由美について語ることも多く、そこで語られる愛は“まったくもって異常だけれどどこか芯を喰っている”ものばかり。バカバカしいけど納得してしまう……。平子の妻のように愛されたら、ちょっと嬉しいかも……?「つまり、それ本能で受け入れてるってことだろ?」
本書の中でも平子は静かに吠える。『家事なんてデートみたいなもんだ』『ケンカは、好みの異性のカタログの見せ合いだろ』『伝える言葉はダサけりゃダサいほどいい』『前戯こそが本番、セックスは後戯だ』
芸人いや、雄(オス)平子が結婚14年目になった今も、高校2年生カップル付き合って2カ月目の熱量をキープしていられる、そんな夫婦愛の秘密とは一体何なのか。「おいおい、嫁に飽きたなんてとんだ傲慢やろうだ。1日として同じ顔してる女なんていねえ。」倦怠期ならここに来い、セックスレスならここに来い、夫婦で口説き合いたいならここに来い。相方・酒井のツッコミはここには届かない。つまり、止める者は誰もいない。平子の愛は一切着地する気配すらない。
枷をはずした平子が文字で爆ぜる!
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