*

プレゼンを準備する前に繰り返し読みたいおすすめの一冊『TED TALKS』

公開日: : オススメ書籍, 英語

話題の一冊『TED TALKS』を読んだ。ご存知いまや圧倒的なプレゼンスを獲得したTEDカンファレンス。世界中の著名人からマニアックに面白い人まで、様々な人が実に多種多様な経験をシェアし、アイデアと技術を披露し、そして将来実現したい夢を語る場所。

 

3433059070_6e431d84dd_z

(Photo by Steve Jurvetson)

 

そんなTEDの主催者クリス・アンダーソンによる初の公式ガイドとして注目が集まったのが本作『TED TALKS』である。最初から最後まで大変興味深く読んだのだが、とくに参考になるのが、プレゼンで絶対やってはいけない「失敗例」である。僕らは通常「話題のトーク」や「試聴回数最多」とか「神業プレゼン」みたいな、注目作しか試聴することはない。そりゃそうだ、だってあれだけ実施されている全てのトークに耳を傾ける時間なんて誰にもないのだから。

 

つまり、そんな最高傑作の背景に実は数多く存在する「失敗トーク」なんて知りえないのである。だからこそ、今回クリス・アンダーソンがこっそり明かしてくれるそんなダメ・トークと、なぜダメだったのかの解説は実に有用であり、これは我々も反面教師とするべく素材だと言えよう。だって、主催者がトークの途中で登壇者を遮ることがあったなんて、想像もしてなかったよ!

 

そんな失敗例だけでなく、もちろん本書では数々の名トークが披露され、そしてなぜそれが聴衆の心を打ったのかと解説する。とくに読み応えがあり、我々自身のプレゼンにも応用できると感じたのが2点あった。一つ目は本書で「スルーライン」と呼んでいるトーク全体を貫く確固たるテーマだ。このスルーラインは、トークが終わった後で聴衆の心にインパクトを与えるメッセージと言い換えてもいいだろう。それを端的に表現できるか?もっと具体的に言えば、15 words で言えるか?それが出来ないなら、自分が言いたいことが自分自身でもまだ分かっていないということなのだ。そんな状態で聴衆に何かが伝わるわけもないだろう、という指摘である。

 

もう一つ個人的に印象に残ったのが、トーク本番を迎えるにあたっての圧倒的な準備量である。当日に話す内容を一言一句原稿に書き下ろすかどうかは人それぞれだ。しかし、これだけ話し慣れた人たちであっても、何十時間も費やし、何十回と練習し、何人からもリハーサルの感想を聞き、そしてスライドもトークも修正に修正そのまた上に修正を繰り返し、そしてようやく本番を迎えているのである。

 

それだけの準備、あなたはしてますか?それなのにプレゼンが上手くできないと言い訳するなんて、おこがましくありませんか? と言われているような気持ちになるだろう。しかし、もしも華やかな(に見える)プレゼンの上達に近道があるとしたら、それはこれだけ準備し練習を繰り返すことであり、それのみが王道なのだろうと改めて実感するはずだ。そう再認識するだけでも十分に価値のあるTED解説本である。先に述べたように、素晴らしいトークをすごいと手放しで絶賛するのではなく、そうではなかった残念なトークと比較することで優れたポイントを抽出しており、この点において他の類書とはまったく異なる視点で書かれた、とてもエキサイティングな一冊としておすすめしたい。

 

ケリー・マクゴニガル、ビル・ゲイツ、アル・ゴア、ケン・ロビンソンなどが登場し、 世界中が注目するカンファレンス「TED」。忘れられないプレゼンを生み出す舞台裏とノウハウをTED代表のクリス・アンダーソンが自ら解説する初めての公式ガイド!人前で話すのが怖くない人なんていない。それは、失うものが大きいからだ。だけど、心がけ次第で、恐怖をエネルギーに変えられる。プレゼンの能力は、生まれつきの才能ではない。だれでもが自分に合ったやり方を見つけて、上手に話す技術を身につけられる。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

Wall Street Journal 125周年と、アメリカ現代史

ちょうど昨年、「フィナンシャル・タイムズ(FT)とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」で書い

記事を読む

[TEDトーク]教科書になるプレゼン|吃音のミュージシャンが語る私の言葉

NHK Eテレで放送されている「スーパープレゼンテーション」をご覧になっている人も多いことだろう。そ

記事を読む

捏造と背信の科学者:繰り返される不正と、研究者の責任ある行動

STAP細胞の件で改めて考えさせられたのは、なぜこの一件だけではなく、研究不正・論文捏造がこれほどま

記事を読む

ニッポンの国宝と景観を守る:外国人だけが知っている美しい日本

昨日書いた「キューバに行くなら今が最後のチャンス」の中で、この国の文化と歴史が色濃く残っているうちに

記事を読む

英語をイメージと塊で捉える『英会話イメージリンク習得法』

先日放送されたテレビ番組「情熱大陸」の主役は、通訳者・橋本美穂。ピコ太郎のギャグ等、いったいぜんたい

記事を読む

【応募書類受付中】NASAが宇宙飛行士を新規募集|火星に行く大チャンス

もうご存知と思うが、アメリカの National Aeronautics and Space Adm

記事を読む

ラグビー日本代表が強くなった理由|エディー・ジョーンズのコーチング

冬のスポーツ風物詩と言えば、箱根駅伝に加えて高校サッカー、そして大学ラグビーである。そんなラグビーの

記事を読む

綻びゆくアメリカと繁栄から取り残された白人たち

2014年に翻訳出版された『綻びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語』に今また注目が集まって

記事を読む

[おすすめ数学テキスト]政治学・社会学のための数学基礎講座

経済学Ph.D.課程の多くでは、夏の間に新入生向け の数学基礎講座(通称 Math camp)を開講

記事を読む

ビル・ゲイツが2013年のNo.1書籍に選んだ『コンテナ物語』

ビル・ゲイツ氏が選ぶ「2013年に読んだ記憶に残る7冊の本」が昨年末何かと話題となったが、その中でイ

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

アメリカは卒業式シーズン|今年の著名人スピーチ一覧

5月から6月にかけてはアメリカの大学の卒業式シーズンだ。初夏のさわやか

連休の旅行の参考に|ニューヨーク・タイムズが選ぶ、今年絶対に行きたい世界52ヶ所:2018年版

毎年恒例、ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ、今年行きたい旅行先52選。こ

科研費に採択されたら使いたい、研究と事務を効率化するクラウドサービスおすすめ2選

研究者にとって4月は特別な季節。それはもちろん日本のほとんどの大学で新

卒業・進級・入学おめでとう|大人になったら自分にベストの国語辞典を自ら選ぼう

桜満開・春爛漫のこの時期、これほどまでに卒業・入学に相応しいシーズンが

【再掲】今年の3月14日は世紀に一度のパイの日だった

すでにご存知の通り、3月14日といえばホワイトデー、ではなくて「パイの

もう一度聞きたい、アメリカの大学卒業式スピーチ5選

アメリカの卒業式シーズンは5月だが、日本でいえば今がまさに大学卒業のピ

春の卒業・入学シーズンを前に国語辞典をしっかり選ぼう|やはりオススメの定番4冊

さていよいよ3月となり、入試の合格発表から卒業式・入学式の季節となった

確定申告の強い味方|クラウド会計が圧倒的に超便利

さて今年も確定申告の時期がやってきた。大学教員を含めサラリーマンであれ

PAGE TOP ↑