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盗作と贋作のフェルメール|美術作品にまつわる犯罪史

公開日: : アート, オススメ書籍

先日NHK-BS で放送された「アナザーストーリーズ 運命の分岐点『フェルメール盗難事件 史上最大の奪還作戦』」をご覧になっただろうか?見逃した方には、10/2(火)の再放送をぜひともおすすめしたい。

世界を震撼(しんかん)させた、歴史的名画の盗難事件。その真相と奇跡の奪還までのサスペンスストーリーを徹底取材!盗まれたのは、日本でも大人気の天才画家フェルメールの希少作品。盗んだのは、アイルランドの天才的な犯罪者。そのとき立ち上がったのは、“ミスターリスク”の異名を持つ、ロンドン警視庁のおとり捜査官。闇社会に潜入し、絵画の行方を探る。7年がかりの危険な捜査の全貌を再現、クライムサスペンスの真実!!

 

現在世界中を探し歩いても、フェルメールの作品は三十数点しか見ることができない。そんな寡作の作家の貴重なアートは、これまで何度も盗難被害に会ってきた。その窃盗集団からのフェルメール作品奪還作戦に焦点を当てたのが、この「アナザーストーリーズ」であり、これが実に面白かったのである。

 

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さて、そんな数少ないフェルメール作品もほとんどは、ヨーロッパやアメリカ等の一部の美術館に収蔵されてるため、それら全てを見て回る「巡礼」の旅に出るファンも多い。以下の書籍『フェルメール全点踏破の旅』はそのガイドに相応しい内容であり、僕もアメリカ留学時代にはなるべく多くのフェルメール作品を見ておこうと参考にした一冊でもある。

日本でもゴッホと並ぶ人気を持つ十七世紀オランダの画家、ヨハネス・フェルメール。その作品は世界中でわずか三十数点である。その数の少なさ故に、欧米各都市の美術館に散在するフェルメール全作品を訪ねる至福の旅が成立する。しかもフェルメールは、年齢・性別を超えて広く受け入れられる魅力をたたえながら、一方で贋作騒動、盗難劇、ナチスの略奪の過去など、知的好奇心を強くそそる背景を持つ。『盗まれたフェルメール』の著者でニューヨーク在住のジャーナリストが、全点踏破の野望を抱いて旅に出る。

 

 

 

同じ著者・朽木ゆり子のもう一冊の好著『盗まれたフェルメール』は、そのタイトルが示唆する通り、なぜフェルメール作品が美術盗難の被害に遭いやすいのかを解説した一冊。華やかな美術の世界のその陰にあるダークな一面、それがまたフェルメールが多くの人の関心を集める理由ともなっている。

年間被害総額は10億ドル以上、盗難美術品が戻る確率はたったの一割程度。美術品盗難史上においてかなりのツワモノであるフェルメールに焦点をしぼった、美術品の盗難をめぐる知的興奮の書。東パキスタン難民を支援したり、獄中のIRAテロリストを故郷に移動させるためにフェルメールの絵を盗む。自分の刑期の短縮交渉のために、手下にレンブラントの絵を盗ませる。武器・弾薬と交換するために名画を盗む…。絵画泥棒が絵を盗む動機は私たちの想像を遙かに超えている。犯罪者にとって絵はどんな価値を持っているのだろうか?そう考えることで、私たちの絵を見る眼も変わる。

 

 

最後にもう一冊の関連書を挙げるならば、やはりこの『フェルメールになれなかった男』になるだろう。これは盗作ではなく贋作を扱ったノンフィクションである。世に残した作品の絶対的な数が少なかったフェルメールは、その希少性ゆえ盗まれるのみならず、そのニセモノも数多く出回ることとなった。そんな詐欺師たちの中にあって、圧倒的なクオリティで美術市場に登場したのがこのニセ絵師だったのである。彼のその精度の高い技術と底なしの欲望は、ヒットラーの時代に美術界を襲う大事件にまで発展するのであった。

秀れた才能を持ち、将来を嘱望された画家は、なぜ贋作作りに手を染めることになったのか。第二次大戦終結直後のオランダで、ナチの元帥ゲーリング所蔵の「フェルメールの絵画」に端を発して明らかとなった一大スキャンダル事件に取材。高名な鑑定家や資産家たちをもまんまと欺いた世紀の贋作事件を通して、美術界の欲望と闇を照らし出し、名画に翻弄される人々の姿を描き出した渾身作。

 

 

というように、フェルメール作品はいつの時代もアート業界の最大の関心事となってきた。今後これまでの犯罪が解決を見るのか、はたまた別の作品が盗難や贋作の新たな被害者となるのか。作品の所有者と美術ファンにとっては堪ったものではないのだが、何が起ころうともフェルメールの価値は高くなりこそすれ下がることはない。その意味では、こんなにも美術史に大きく名を刻む作家は、今後も現れないのではないかとさえ思えてくる。

 

そんなアートをまつわるミステリーとサスペンスに興味を持った方には、ぜひ以下のエントリもおすすめしたい。美術界とはかくも興味深い世界なのである。

 

 

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