NHK「浦沢直樹の漫勉」がおもしろい|シーズン1東村アキコ編
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最終更新日:2015/12/25
オススメ漫画, オススメ番組・映画・ドラマ
NHKでこの秋放送されていた「浦沢直樹の漫勉」という番組をご覧になっただろうか?これがものすごく面白かったのである。来年1月に再放送されることが決定したので、ここで改めて紹介しておきたい。
世界中に熱狂的なファンを持つ、日本の「マンガ」。漫画家が、白い紙にドラマを描き出す手法は、これまで門外不出のものだった。さらに漫画には、決められた手法はなく、漫画家それぞれがまったく違うやり方を、独自に生み出していると言う。
この番組は、普段は立ち入ることができない漫画家たちの仕事場に密着。最新の機材を用いて、「マンガ誕生」の瞬間をドキュメントする。そして、日本を代表する漫画家・浦沢直樹が、それぞれの創作の秘密に、同じ漫画家の視点から切り込む。
日本の漫画家のペン先を、世界に届ける。それが「漫勉」。

その「浦沢直樹の漫勉」シーズン1初回放送に選ばれたのが、まさに、いま最も注目を集める東村アキコだったのだ。
いま最も注目を集める女性漫画家、東村アキコ。
今年、自叙伝的漫画「かくかくしかじか」でマンガ大賞2015を受賞。2014年には「海月姫」が、能年玲奈主演で映画化された。
今回は、初めて挑戦した歴史漫画「雪花の虎」の現場に密着する。漫画界屈指と言われる執筆スピードが、浦沢直樹を驚かせる。また、10人以上のアシスタントを的確な指示で使いながら、人物の表情にとことんこだわる制作スタイルが明らかになる。
もちろん上記以外の作品も数多く、例えば「東京タラレバ娘」では三十代独身女性の恋愛事情を赤裸々に描く他、先日は「ヒモザイル」が炎上して連載休止に追い込まれるなど、何かと話題の多い作者でもある。そんな旬な女流漫画家・東村アキコの創作の現場に密着したのが、NHKのこの「漫勉」なのだ。最後まで見て感じたのは、漫画家がゼロから作品を生み出す瞬間の迫力というものだった。
白紙に人間の身体がラフに描かれ、顔の輪郭が出来、そして目・鼻・口が配置され、そして最後にそこに表情が宿る。無から有が生まれる決定的瞬間。漫画家がこのようにして作品を創り出している現場に、僕らはかつて遭遇したことがあっただろうか。そんな驚きを禁じ得ないだろう。それくらいの凄味がひしと伝わってくるのだから。
番組では上記のような創作の現場に密着するだけでなく、浦沢直樹と東村アキコのおしゃべりの時間もあるのだが、そんな何気ない会話のところどころに、現代一流の漫画家同士だからこそ通じているものが感じられ、その気軽な一言一言さえ非常に興味深く聞いた。そんな優れた番組が来年1月2日に再放送されることが決まったのだから、本放送を見逃した方はぜひともこの機会をお忘れなく。もちろん、東村アキコの一連の作品群をあらかじめチェックしておいた方が、番組をより面白く視聴できることは間違いない。これは、漫画家を目指している人はもちろんのこと、およそ創作活動というものに携わる人すべてにおすすめしたい番組なのである。

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