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NHK「浦沢直樹の漫勉」シーズン2が今日から始まるよ!|漫画に魂が宿る瞬間

公開日: : 最終更新日:2016/07/11 オススメ漫画, オススメ番組・映画・ドラマ

NHKで昨年放送された「浦沢直樹の漫勉」という番組をご覧になっていただろうか?再放送もされていたので、興味深く視聴した人も多かったのではないだろうか。これは、日本を代表する漫画家の創作の現場に密着したものであり、キャラクターに命が吹き込まれる瞬間を捉えたものとして非常に印象深いドキュメントだった。その案内人を務めるのが、現代最高峰の漫画家の一人・浦沢直樹である。

世界中に熱狂的なファンを持つ、日本の「マンガ」。
漫画家が、白い紙にドラマを描き出す手法は、これまで門外不出のものだった。
さらに漫画には、決められた手法はなく、漫画家それぞれがまったく違うやり方を、独自に生み出していると言う。

この番組は、普段は立ち入ることができない漫画家たちの仕事場に密着。最新の機材を用いて、「マンガ誕生」の瞬間をドキュメントする。
そして、日本を代表する漫画家・浦沢直樹が、それぞれの創作の秘密に、同じ漫画家の視点から切り込む。

日本の漫画家のペン先を、世界に届ける。
それが「漫勉」。

 

その「漫勉」シーズン1の初回放送に選ばれたのが、自叙伝的漫画『かくかくしかじか』によりマンガ大賞2015を受賞した東村アキコだった。「NHK「浦沢直樹の漫勉」がおもしろい|シーズン1東村アキコ編」でも紹介したように、東村の筆はラフなスケッチとして輪郭を描き、次いで目・鼻・口が配置され、そして最後に人物に表情が宿る。そのまさに無から有が生まれた瞬間を目撃し、僕は鳥肌が立つほどの衝撃を受けた。こうやって漫画が創造されていたのかと。

 

manben-higashimura

 

 

そして創作の手法は漫画家それぞれが独自のものと哲学を持っているのも印象深かった。例えば「漫勉」シーズン1の最終回に選ばれた『ゴルゴ13』のさいとう・たかを。まずもって、本当に存在するのかという都市伝説(笑)ともなっていた、あのさいとう・たかをがテレビに登場したことが驚きだった。さらには、これまたゴルゴの描き方がスゴいのである。これも「NHK「浦沢直樹の漫勉」がおもしろい|シーズン1『ゴルゴ13』さいとう・たかを編」で書いたように、下書き無しでいきなり描いてしまうのだ。しかし、それが絵と作品全体に迫力を与えるのだという。

 

manben-saito

 

 

そんな優れたNHK番組「漫勉」がシーズン2として新シリーズを放送することになったのだから、これは見ないわけにはいかないだろう。シーズン1を見逃した方も、ぜひここから見始めて頂きたい。それくらい貴重な瞬間に立ち会うことができるのだから。そして、今回の新シリーズで登場するのが次の4人の漫画家だ。まだ読んだことのない漫画もあるのだが、現在の新作連載真っ只中の仕事現場に密着するのだから、どんな放送となるのか今から楽しみでしかたない。

 

いやあ、それにしても、なんと強烈な人選をしてきたのかと思わざるを得ない。しかし実は、個人的にはこの新たなシーズンに、『ジョジョ』の荒木飛呂彦が登場しないかと期待していたのである。大きな話題となったので、もう既に読んだ方も多いと思うが、昨年出版された著書『荒木飛呂彦の漫画術』。これがとんでもなく面白い一冊だったのだ。漫画とは何か、いかに物語を構成するか、登場人物に必要な要素とは、そして作品が持つべき世界観とは?

 

荒木飛呂彦が試行錯誤しながら体得していった漫画術を惜しげも無く、具体的かつ実践的な内容として公開した本書は、デビュー当時お世話になった出版社や編集者そして漫画界全体への恩返しなのだと言う。これからの日本の漫画を背負って立つ若手に向けた応援の一冊でもある本書は、ぜひもっと多くの人に読んでもらいたい。こんなにもロジカルに漫画を創作していたのかと驚くこと間違いない。そしてそれに合わせてぜひとも、NHKのユニークな番組「漫勉」新シリーズもどうぞお楽しみ下さい。

全く人気が衰えることなく長期連載が続く『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦。絵を描く際に必要な「美の黄金比」やキャラクター造型に必須の「身上調査書」、ヘミングウェイに学んだストーリー作りなど、具体的な方法論からその漫画術を明らかに!本書は、現役の漫画家である著者が自ら手の内を明かす、最初で最後の本である。

 

 

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