国語辞典のお金の秘密|時代を映す大改訂
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NHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」が先週の番組で特集したのが国語辞典とお金の関係、であった。個人的にも興味深く視聴したが、みなさんご覧になっただろうか?
国語辞典のお金の秘密を大調査!約3000ページ、25万語以上の言葉を収録する国語辞典も!30年と超大変なお仕事!辞典に掲載する新たな言葉を探す「言葉ハンター」の日常に密着!気が遠くなる調査の秘密が!そんな辞典も不況の時代!しかし売り上げ低迷をV字回復する秘策「改訂」って何!? さらに、「刑務所内で使われるという言葉を収録した辞典」「あだ名ばかりを集めた辞典」など驚きの辞典も登場!
出版不況と言われて久しいが国語辞典ももちろん例外ではない。なだらかな売上減少がもう何年も続き、ピーク時に比べて遥かに小さくなってしまった市場規模。しかしところどころでは、売上がぐっと伸びる年がある。それが、国語辞典の大改訂が行われたときである。
例えば、国民的辞書のひとつである広辞苑。多くの家庭で常備されていることを考えると、改訂新版が出版されるたびに買い替え需要が生じ、そこでまた息を吹き返すように売れるというわけなのである。
こうした背景を踏まえると、昨年から今年にかけては、国語辞典の売上がぐっと増えるタイミングになったと言えるのではないだろうか。何しろこれまたベストセラー辞書のひとつ、新語に強い「三省堂国語辞典」が、2021年12月に8年ぶりの全面改訂を行った最新第8版を、満を持して投入したのだから。
ことばで写す時代(いま) 3,500の新語の数だけ、私たちの暮らしは変わりました。
暮らしの中にあふれることばを集めました。辞書はかがみ。8年ぶりの全面改訂。
ググるだけでは分からない、ことばの疑問は『三国(サンコク)』で解決。すとんとすぐに胸に落ちる、簡明な語釈。定評ある新語の掲載はもちろん、日本語のリアルを知るための新機軸満載。┃時代を映す3,500語を増補し、収録項目数約84,000。新語義も徹底捕捉
新語の例:アウティング/赤信号みんなで渡ればこわくない/アラフィフ/ESG/いいね/一周回って/犬笛/陰キャ/ウェビナー/受け子/遠慮のかたまり/置きに行く/おれがおれが/ガールズバー/カオマンガイ/ガテン系/壁打ち/完コピ/完登/完母/規格外/聞けば/ギャン泣き/きゅんきゅん/きょうイチ/くるりんぱ/香害/ごはん屋/災後/刷成/CV/自分事/主語が大きい/素で/聖地巡礼/世界線/洗口/センベロ/争続/そうなんですね/ソーシャルディスタンス/ゾーンに入る/即食/即完/たるたる/つうか/ツーブロック/DMAT/ディストピア/デジタルトランスフォーメーション/ですです/テンプレ
創刊当時からの辞書編纂理念がこの「辞書はかがみ」ということだ。そのポリシーに沿って、日夜言葉ハンターが街に繰り出し、世の中で日々生まれ出る新たな言葉を狩りに行く。ただの流行語で終わらずに、われわれの日常に定着したと思われるものだけが選出され、そして新語として辞書に掲載される。例えば、ソーシャルディスタンスという近年使われるようになった言葉や、最後を意味するラスボス、などなど。三省堂国語辞典ならではの特徴として、いちはやく新語を採り入れる方針があるからこそ、この辞書はもっとも今を反映させたものとして重要な特色を有している。まずは国語辞典を一冊と考えている人にとっても、最適の入門となるだろう。
その他、NHKの番組でも紹介されていたベストセラー辞書がこの「感情ことば選び辞典」である。僕自身ももっていて使っているが、確かにこれはとてもユニークで、それでいて使い勝手がよいのである。例えば、笑うという一つの動作をとってみても、それが大笑いなのか、爆笑なのか、苦笑なのか、泣き笑いなのか、微笑なのか、によって、文章の受け手の印象ががらりと変わってくる。怒るも同様だ。激怒や憤怒を、どう使い分けるか?または、それ以外にしっくりとくる表現がないだろうか? というときに間違いなく役立つ強力な文章執筆パートナーなのである。ざっと眺めているだけでも面白い、言葉の魅力につかれる本書がベストセラーというのも、嬉しい限りじゃないですか。ぜひとも読んでみることをおすすめしたい。
しっくりくる表現が出てこないときに頼れる「ことば選び実用辞典」に、ついに仲間ができました!気持ちや人物の特性を表現するための「感情ことば選び辞典」が登場。創作者はもちろん、ことばを使う人なら誰もが一度は経験する「この思いが伝わらない」もどかしさを解消するための辞典です。
《本書の特長》
・キーワードとして「愛」から五十音順に約200語を選出。 五十音だから、調べるときにコツいらず。
・冒頭にキーワード一覧を掲載。なんとなく眺めて気になったキーワードからも探せる。
・収録語にはすべて語義と例文を掲載。実際の使い方がわかりやすい!
・「このことばの言い換え語がほしい! 」とピンポイントで探したいときのための索引つき。
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