圧倒的ユニークな視点でつくるアカデミック・エンタテインメント|NHK「ろんぶ~ん」が面白い
公開日:
:
オススメ書籍, オススメ番組・映画・ドラマ, 研究・論文
先日まで、4週連続で放送されたNHK番組「ろんぶ~ん」、ご覧になりましたか? これは以前にも放送された同番組のスペシャルシリーズであり、今回は次のようなおもしろ論文が取り上げられたのだ。
・第1夜「大学へ突撃」スポーツの論文 @筑波大学
・第2夜「論文が生まれた地へ」秋葉原の論文
・第3夜「論文著者の研究人生」キリンの論文
・第4夜「ほぼろんぶ~ん」路線図&ケーキのスペーサーの研究
この番組のユニークさは、真面目に書かれた学術論文を、きちんとマジメに、それでいて面白楽しく味わうというところにある。研究者の「知の結晶」である論文を、学術界のものだけとせず、数多くの人々の知的好奇心を刺激するものとしてお届けする本番組は、ナビゲーターを務めるロンブー田村淳が本気で面白がっている点もふくめ、じつによく出来ているのだ。そして、昨年までに取り上げた論文の数々も、以下のラインナップに見られるように、極めて秀逸なのである。
#1「漫才」(10月4日)
#2「猫」(10月11日)
#3「アイドル」(10月18日)
#4「盛り顔」(10月25日)
#5「ラーメン」(11月1日)
#6「食欲の秋」(11月8日)
#7「恋愛」(11月22日)
#8「ギャンブルと運」(11月29日)
#9「仕掛学」(12月13日)
#10「感動」(12月20日)
#11「宇宙人」(1月10日)
#12「詐欺」(1月17日)
#13「服」(2月7日)
#14「キス」(2月14日)
#15「幽霊」(3月7日)
#16「謝罪」(3月21日)
残念ながら再放送の予定は今のところないようだが、なんと先日、同番組が書籍化され『奇跡の論文図鑑: ありえないネタを、クリエイティブに!』として出版されたところなのだ! であるならば、本番組を見逃してしまった方にはぜひともこちらをおすすめしたい。そして、こんな斬新でステキなアカデミック・エンタテイメント番組をつくってくれたNHK制作版に改めてありがとう。
「よくぞ、こんな“問い”を立てた!」――田村淳(ロンドンブーツ1号2号)
学術論文になるとは思えないテーマのオンパレード! ラーメン、アイドル、猫の思い出、ギャンブル、心霊写真……研究者が命をかけて取り組んだ論文をポップに解説する、大人向け図鑑が登場! NHK Eテレ、異色の知的エンタメ番組「ろんぶ~ん」の出版化。
この世界に数多存在する論文。最先端のもの、「そこに目をつけたか!」とうならされるもの、役に立つとはとても思えないもの……共通点があるとすれば、それらはすべて研究者が人生をかけて書き上げたものであるということ。本書は、ありえないほどユニークでクリエイティブな論文を取り上げ、執筆した本人の言葉をもとにひもといていく。さあ、“知の結晶”に込められた愛、情熱、苦悩、汗をともに味わおう!
【編集担当者より】
「論文には“謎解き”の要素がある」この本の元になった番組を企画した制作者の言葉です。論文の結論だけを紹介するのであれば、わざわざ番組や本にする必要はありません。書かれた背景や、結論に至るプロセス、研究者の思いまで説明してはじめて、結論の持つ意味がわかるのです。そして、その謎解き部分こそが、論文を読むときの最大の面白さだと言えるでしょう!
巻末には、番組MCであるロンドンブーツ1号2号の田村淳さんの原稿が掲載されています。現在、大学院で自身も研究を行っている淳さん。論文の魅力や、ご自身の研究テーマ「死者との対話」についてもわかりやすく説明してくれました。この本を読んでいただければ、「学ぶこと、知ることって面白い」と感じられると思います!
Amazon Campaign
関連記事
-
-
英語論文の書き方:アカデミック・ライティングの決定版テキスト
僕が学生の論文を指導するにあたって、まずは徹底的に読み込むようアドバイスしているのが、前回紹介した英
-
-
プレゼンを準備する前に繰り返し読みたいおすすめの一冊『TED TALKS』
話題の一冊『TED TALKS』を読んだ。ご存知いまや圧倒的なプレゼンスを獲得したTEDカンファレン
-
-
美貌格差:ビジンとイケメンと生まれつき不平等の経済学
労働経済学者 Daniel Hamermesh による一般向け書籍 "Beauty Pays: Wh
-
-
日本語の誤用をとことんを考える『明鏡国語辞典』が10年ぶりに大刷新|新しい「問題な日本語」
今年も国語辞典の話題が多かったが、最新のトピックとして最も注目すべきなのは、やはりこちら、『明鏡国語
-
-
科研費に応募する1|そもそも科研費とは?
さて、夏のお盆休みが終わり通常の日々が戻ってくる頃は、日本の研究者の多くが今年の科学研究費助成事業(
-
-
欧州サッカー「データ革命」|スポーツを科学する最前線ドイツからの現地レポート
先日書いた「錦織圭の全豪オープンテニスをデータ観戦しながら応援しよう|IBMのSLAMTRACKER
-
-
アカデミアへの転身と、アカデミアからの転身
日本テレビの桝太一アナウンサーが、16年間在籍した同局を今年3月で退社し、4月からは同志社大学ハリス
-
-
【おすすめ経営書】ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか
話題の経営書『ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか』を、とても興味深く読んだ。著者はピータ
-
-
出版不況なのに「TikTok売れ」で緊急重版|あの実験的小説の新しい売り方・売れ方
先日紹介した書籍『10代のための読書地図』は、本当におすすめなので、ぜひまだの方には読んでみて欲しい
-
-
イスラムとアラブを知るための入門書
今年に入ってから、「イスラム国」に関する書籍が相次いだ。世界の脅威となっているこの存在を謎や不明のま

