アメリカで最もお世話になったあの老夫婦が本当にこの夏日本にやって来た
今年の夏は忙しかった。何に忙殺されていたかと言えば、それが実は「アメリカで最もお世話になったあの老夫婦がこの夏日本にやって来る」で書いたように、僕が米国留学生活でもっともお世話になった老夫婦が本当に日本にやって来たからなのである。
はるばるここまでやって来るなんて、正直思っていなかった。彼らから日本へ行きたいと連絡があった際にも半信半疑、チケットを買ってからもキャンセルするのではないかと思っていたし、出発当日になってやはり行くのが不安になるのではないか、そう僕は思っていたのである。それなのに、本当に来るなんて!あの二人が!
それがどんな人たちかといえば、「あの老夫婦がやって来る」に詳しく書いたように、この二人はキリスト教福音派、長女は代理店を通じて養子を合計4人もらい、次女は毎週足繁くメガチャーチに通う。祖母系の遺伝子に問題があることが分かり、長女次女ともに、アンジェリーナ・ジョリーと同様の乳房切除手術を行った。次男は教会音楽に携わる仕事をしており、新規協会設立メンバーとしてカナダへ移住し(でもすぐ帰ってき)た。
そんな風にして、僕はこの老夫婦とその家族を通じてリアルなアメリカ生活を垣間見ることが多かった。そしてそれは、キャンパス内で過ごす留学生活とはまったく異なるものであり、だからこそとても貴重な体験だったと思い返すのである。だから、70歳代の老夫婦が、もちろん初めての日本に来るからには、最大限のおもてなしをしようと考え、この夏を過ごしていたのである。
そしていよいよ彼らを迎えに羽田空港へ。自分で利用することは多々ある羽田だが、誰かを迎えに行ったのは初めてだった。到着ゲートで待つというのはとても緊張するね。しかも、海外が初めての老夫婦は飛行機が到着したあとも、なかなか姿を現さないものだから、実は乗り遅れたのではないかとか、長時間フライトで体調を崩したのではとか、荷物がロストしたのかと、諸々心配してしまったではないか。
しかし結局はぶじにゲートに現れて再会。いやあ本当によく来たなあと改めて思ったね。そして新宿のホテルにステイして、最初の数日は東京を観光。それから向かったのが新潟。ここでのメインは、長岡で開催される大花火大会だ。長岡といえば花火というほど有名だが、僕自身はじめて見に行ってきた。毎年大混雑のビッグ・イベントなので、今回は河川敷の座敷を予約して行きましたよ。下の写真は、花火打ち上げが始まる1時間ほど前の様子。当日は願いどおりに晴れてくれ、大変ステキな花火を満喫することができた。
もう一つ、新潟でぜひ見てもらいたかったのが稲作の風景。南魚沼一体はちょうどコシヒカリがぐんぐん育っている時期だったので、アメリカで農業を営む彼らにとってもそれはとても興味深いものだったようだ。そして絶景の棚田を案内するべく、十日町の星峠へ。以前にも紹介したように、ここの里山風景はいつ見ても素晴らしく美しい。
新潟を後にし、続いて向かったのが京都。やっぱり日本に来たからには、ぜひとも京都を見てもらいたいものだ。もちろん、新幹線搭乗も楽しんで頂きたいという思いもある。というわけでやってきました、古の都。
金閣寺や嵐山などの観光名所をたずねたのだが、僕自身中学校の修学旅行で訪れて以来だ。ちなみに観光には、英語観光タクシーを利用した。これは利用したことがある人もいるだろうが、タクシーの運転手さんが英語でガイドまでしてくれるという優れもののサービス。当初思っていたのは、外国人観光客の急増で、タクシー会社も運転手に急いで英会話を習いに走らせているのではないかということ。ところがそれは全くの杞憂であり、僕が利用したタクシーの運転手さんはなんと帰国子女で実に流暢に英語を操るではないか。
もちろんそれなりの料金はかかるのだけれども、一つ一つの寺社仏閣の説明など、自分では日本語でも出来ないじゃないですか。だから、このサービスを利用して本当に助かった。また、タクシーの車体も大きく立派なものが用意されており、豪華な感じが醸しだされる。外国人を京都に案内するなら、ぜひ次回も使いたいと思うほど大満足の内容だった。
また、今回の京都旅行ではありきたりの観光ガイドブックは使わなかった。何しろ、そんな数多のチープなガイドブックなんかよりも、もっとずっと素晴らしい、この『そうだ京都、行こうの20年』を見つけてしまったのだから。JR東海の「そうだ京都、行こう」のコピーはあまりにも有名だ。美しい写真に洒落たフレーズ、耳に残る音楽に長塚京三のナレーション。その20年の傑作CM写真をずらりと揃えたのがこの一冊なのである。
そして、単に過去のCMを紹介するのではなく、CMの舞台となった寺社等についてもそれぞれ解説を加える。四季折々の美しさに満ち溢れた写真を見ているだけでため息が漏れるだろう。今度はぜひ秋の紅葉か冬の雪景色を見に、あらためて京都を訪れたいと僕も思わずにはいられなかった。
今年の夏は、アメリカ人の友人を連れて僕自身ひさびさに京都を堪能することができた。しかし、今度は僕がもっと京都を知るためにも、もう少しゆっくり、そしてもっと知られていない場所も訪れてみたいと思った次第だ。「そうだ京都、行こう」のメッセージは、いつも心に刺さる。ぜひもう一度、行こう。
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