イェール大学出版局「リトル・ヒストリー」は初学者に優しい各学問分野の歴史解説
以前にもおすすめしたのだが、米国イェール大学出版局の “A Little History” シリーズは、様々な学問分野の歴史を丁寧に解説してくれる優れた入門書として、ものすごくおススメなのである。例えば経済学をとってみても、経済学者および学徒のすべてが経済学の学説史を勉強してきたわけではない。そんな歴史を振り返りたいときに、この一冊が大変役に立つのである。加えて、自分の専門分野以外となったらなおさらである。だからこそ、専門外の人にとっても、かつ初学者にとっても、わかりやすくその学問分野のことを効率的に学べるような本書シリーズはとてもありがたい内容ばかりなのである。
そんなおすすめの「リトル・ヒストリー」シリーズも、次第に日本語訳が増えてきた。今では、以下の経済学史をふくめ合計5冊が出版されている。ぜひ今後も続刊を期待したいところである。僕はもうすでに全巻そろえて持っていますが、まだの方であれば、ぜひこの優れたシリーズを堪能してください。
初学者にとって偉大な案内役となる経済学入門。読者に力強く訴えかけて、ワクワクさせる本だ。この世界を理解するうえで、どのような貢献を経済学者がしてきたかが見事に説明されている。——————ロバート・J・シラー(イェール大学教授、2013年ノーベル経済学賞受賞)
【日常生活から世界の本質まで、経済学はすべてに通ず】
たとえば、いまそこに建てるべきは病院?それとも電車の駅?あるいは、最新のiPadと時計、そのどちらを買うべきか。経済学は多様な視点から、現実を考えるヒントを与えてくれる。古代ギリシャの哲学者から、スミス、マーシャル、ケインズ……さらにはクルーグマン、セン、ピケティなど現代の賢人まで、多様な経済思想家に出会うことが、その最良の出発点になる。
「歯切れよく、ぐっと引きこまれ、わかりやすい。ブライアン・フェイガンは、明快でしっかりとしたメッセージを一般読者に届けることができる、現代考古学界きっての著者だ。この本もまた例外ではない」————ジェレミー・A・サブロフ(米国サンタフェ研究所・前所長/『Archaeology Matters』著者)
人類学や地質学と連係しつつ発展してきた、グローバルで時空をこえた知的探求のあゆみ
一瞬にして火山灰に埋もれたポンペイの町はどのように発見され、発掘されたか。氷河時代の洞窟内に描かれた壁画の作者は?密林の奥にたたずむ古代遺跡、世界各地に現存する巨石モニュメントの謎など、コンパクトな40章で、考古学が誕生した18世紀から衛星画像や遠隔探査の技術が進歩した現代まで、世界先史学の権威がテンポよく案内する、地球規模の考古学の発展史。
13万年前、ヒトはすでに死後の世界に関心をもっていた。
ヒンドゥー教 、仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教──。世界の名だたる宗教が、どのように生まれ、広がってきたのかには、政治、人の移動、階級や奴隷制度など、歴史的事情との深い関わりがある。5大宗教の紆余曲折をはじめ、古代の宗教、ジャイナ教やゾロアスター教、中国の儒教や道教、日本の神道、そして現代の新しい宗教などについても論理的に解説する本書は、世界を理解するための礎となる。
哲学は「現実の本質」と、「私たちがいかに生きるべきか」から始まる。これらはソクラテスの懸念だった。古代アテネの市場で厄介な質問をし、人々に人々自身が真に理解したことがほとんどないことを示すことによって、彼は会った人々を困惑させていた。本書では、ソクラテスやプラトン、アリストテレスから、現代の哲学者ピーター・シンガーまで、平易な文章でわかりやすく、バックグラウンドについても触れながら、西洋哲学史における偉大な思想家たちの、世界と、最良の生き方についての主要なアイデアを案内する。また、チャールズ・ダーウィンについて扱っていることも本書の特徴のひとつだ。ダーウィンは哲学者ではなく、「進化論」の発見者として著名だが、『種の起源』の発刊によって、神や人間についての思索に大きすぎる転機を与えたことから章をさいて触れている。
航海者コロンブスの視点からはじまる手に汗握る激動の500年!
どのようにして今のアメリカ合衆国が形作られてきたのか。利害がぶつかるなかで、人々は何を求め、いかに行動してきたのか。本書では、衝突を繰り返し、大陸に広がり、多種多様な人々を抱え、自由と平等のもとに結合しようと悪戦苦闘してきたアメリカの変遷をたどる。大陸発見から現代までをその時代の人の目線で描き出し、ひとつの物語のように繰り広げる躍動感にあふれた歴史書である。
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