今年のクリスマスもまたアメリカ現代社会の象徴「メガチャーチ」を思い出す
今年もいよいよクリスマス。そしてこの時期、毎年のように思い出すのがアメリカのメガチャーチである。「現代アメリカ社会の象徴:メガチャーチの誕生と新たなコミュニティの創造」にも書いたように、僕のアメリカ留学生活の中で最も衝撃的だったのが、このメガチャーチである。
過去にはNHKクローズアップ現代「巨大教会が政治を動かす~アメリカからの報告~」でも特集されたことがあるものの、それ以降日本でニュースになることはほとんどない。もちろんその教会を訪れる機会など滅多にないのだが、偶然にも僕がアメリカ人の友人家族に連れられてその内部に潜入した記録は以下にまとめた通りだ。いま思い出しても強烈な体験であったと思う。
しかも、僕が訪れたメガチャーチなぞは、米国全体で見ればごくごく小さい教会に過ぎないのである。例えばアメリカ最大のメガチャーチは、テキサス州ヒューストンにある Lakewood Church であり、以下の写真のように毎週40,000人を超える信者が集う。
(Photo by ToBeDaniel)
ドーム球場かコンサート会場かと見紛うような広大な教会に、以下の写真のように非常にカジュアルな格好をした若い人たちが集まる。それがメガチャーチの大きな特徴だ。
(Photo by Matt Malone)
こうした新しいタイプの教会は極めて現代的な経営手法とマーケティング戦略を駆使し、新たな信者を獲得し続けている。そしてより多くの信者から寄付金を集めることを可能にしたこの巨大な集金マシンは、政治との関係もいっそう深めつつある。
しかしそもそも、なぜこうしたメガチャーチが近年のアメリカで発生し急速に浸透してきているのか?それをコミュニティ側の視点に立って解説するのが、アメリカを専門とする社会学者・渡辺靖であり、その著作は日本語で読める唯一のメガチャーチ関連書として極めて価値が高い。アメリカにはこういうクリスマスもあるのだと知る意味でも、興味がある人にはこの時期に一読をおすすめしたい。
Amazon Campaign
関連記事
-
今年の卒業・入学のお祝いに|おすすめの国語辞典・人気ランキング
今年もまた3月の卒業式、そして4月の入学式が近づいて来た。昨年はコロナによりことごとく中止となってし
-
英語論文アカデミック・ライティング絶対おすすめできる18冊
以下のエントリ・シリーズで詳述しているように、これまで僕自身が多種多様の英語ライティングテキストを読
-
『ヤバい統計学』著者による新作『ナンバーセンス』で知る、アメリカ大学ランキングの舞台裏
以前に「テーマパーク優先パスの価格付け」でも紹介したように、カイザー・ファング著『ヤバい統計学』は、
-
サッカー監督の戦術と采配|究極のファインプレー
7/6水曜にNHKで「サッカーの園〜究極のワンプレー〜ワンプレーに秘められた極意 サッカーの神髄に迫
-
華麗な舞台の裏にあるプロテニス選手の過酷な生活|ランキングシステムが生んだ世界的超格差社会
2018年の全豪オープンテニスがフェデラーの優勝で幕を閉じた。自身が持つ四大大会最多優勝記録を20勝
-
イェール大学出版局 リトル・ヒストリー|若い読者のための「文学史」のすすめ
以前にも「イェール大学出版局『リトル・ヒストリー』は初学者に優しい各学問分野の歴史解説」で紹介したよ
-
タイトル戦相次ぐ藤井聡太の夏|今こそ将棋が熱く面白い
プロ棋士・藤井2冠の夏がやってきた。昨年はタイトル棋聖と王位を獲得し、その初防衛戦が始まっているのだ
-
誰も教えてくれない、科研費に採択されるコツを公開|研究費獲得に向けた戦略的視点2019年版
今年もまた、科学研究費助成事業(科研費)の締切が近づいてきた。自然科学系の研究者にとってはもちろんの
-
Wall Street Journal 125周年と、アメリカ現代史
ちょうど昨年、「フィナンシャル・タイムズ(FT)とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」で書い
-
ワールドカップ決勝へ|ラグビー名将エディー・ジョーンズの勝負哲学
ラグビー・ワールドカップが面白い。まったくもってニワカなんですが、ルールが分かるとラグビーってこんな