*

2020年、本ブログで最も売れたこの1冊

公開日: : オススメ書籍

さて、2020年、本ブログ経由でもっとも購入数が多かったのは、なんと、なんと、新明解国語辞典でした! なんだか嬉しいですね。活字離れとか出版不況とか言われるこの時代、流行語などもふくめ若者言葉の乱れが年配者からお叱りを受けるようになって既に数百年以上、そんななかにあって、しっかりと言葉の意味を知ろうという人がこれだけ多いというのは。ちなみに、この三省堂「新明解国語辞典」は、日本で最も売れている国語辞典でもあるのです。

 

 

 

しかも、「日本でいちばん売れている国語辞典『新明解』に待望の最新第8版が登場」でも紹介したように、2020年11月に、9年ぶりの大改訂を終えた最新第8版が発売されたばかりなのだ。次の版がでるまでにまたもう10年近くかかることを考えると、やはり今が一番の買い時であるため、新明解の独走はまだまだ続きそうな予感がする。それくらい多くの人から支持を受け続ける、大変よく出来た辞書なのである。国語辞典には珍しく、定番の赤色だけでなく青版および白版の特装モデルを用意しているところも人気だ。

 

 

 

ちなみに、そんな圧倒的地位を占めるにいたったこの新明解国語辞典が誕生した背景には、じつは感動的な秘話が隠れていたのだ。「いま日本で最も売れている『新明解国語辞典』の誕生秘話」でも紹介したように、この話は傑作ノンフィクション『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』の中で明かされているので、興味ある人はぜひこちらも合わせて読んで頂きたい。おすすめです。

「三省堂国語辞典」略して「サンコク」。そして 「新明解国語辞典」略して「新明解」(赤瀬川原平著『新解さんの謎』でブームとなった辞書である)。二冊ともに戦後、三省堂から刊行された辞書で、あわせて累計4000万部の知られざる国民的ベストセラーだ。

しかし、この辞書を作った二人の人物のことは、ほとんど知られていない。「三国」を書いたのが、ケンボー先生こと見坊豪紀。「新明解」を書いたのは、山田先生こと山田忠雄。二人とも国語学者だが、「三国」と「新明解」の性格はまったく異なる。

「三国」が簡潔にして、「現代的」であるとすれば、「新明解」は独断とも思える語釈に満ち、「規範的」。そこには二人の言語観・辞書が反映されている。本書は、二人の国語学者がいかにして日本辞書史に屹立する二つの辞書を作り上げたかを二人の生涯をたどりながら、追いかけたノンフィクション。著者は同じテーマで「ケンボー先生と山田先生」(NHKBS)という番組を制作したディレクター。同番組はATP賞最優秀賞、放送文化基金賞最優秀賞を受賞。番組には盛り込めなかった新事実やこぼれおちた興味深いエピソード、取材秘話なども含めて一冊の本にまとめた。本書で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞している。

 

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

ゲーマーとお金|さらなる有望産業 eスポーツビジネス

ご存知のとおり今回の東京五輪からは、スケートボードや、サーフィン、そしてスポーツクライミングといった

記事を読む

リチャード・マシスン『縮みゆく男』と、名医ブラックジャックにも治せない病

普段は僕自身読むことも少なく、おすすめする機会もほとんどないフィクションの分野。だけどこれだけは紹介

記事を読む

【TEDトーク】国語辞典のすすめ:辞書編纂の面白さは、英語も日本語も同じ

先日のNHK-Eテレ「スーパープレゼンテーション」に、辞書編纂者のエリン・マッキーンが登場。そのトー

記事を読む

シンガポール建国50周年|エリート開発主義国家の光と影の200年

先日で建国50周年を迎えたシンガポール。Economist や、Wall Street Journa

記事を読む

NHK探検バクモン「激闘!将棋会館」が面白かった|人工知能時代の天才棋士たち

先日NHKで放送された「探検バクモン」をご覧になっただろうか?「激闘!将棋会館」と題された今回は、東

記事を読む

バッタの大群襲来|書籍『バッタを倒しにアフリカへ』が現実に

以前に「若き昆虫学者のアフリカ|いまこそ昆虫が面白い」でも書いたように、昨今にわかに昆虫ブームなのは

記事を読む

『ヤバい統計学』著者による新作『ナンバーセンス』で知る、アメリカ大学ランキングの舞台裏

以前に「テーマパーク優先パスの価格付け」でも紹介したように、カイザー・ファング著『ヤバい統計学』は、

記事を読む

イェール大学出版局 リトル・ヒストリー|若い読者のための「アメリカ史」のすすめ

以前にも紹介したことのある、「イェール大学出版局 リトル・ヒストリー」のシリーズ。いまのところ5冊が

記事を読む

2017年のベストセラー書籍トップ25冊

2017年も残すところあとわずか。それでは今年も本ブログを通じてのベストセラー書籍を上位25点紹介し

記事を読む

NHKの異色数学番組『笑わない数学』第2回は「無限」の魅力と魔力に迫る

さて、初回が放送されたばかりのNHK『笑わない数学』、ご覧になりましたか? 第1回では「素数」の謎に

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑