日本でいちばん売れている国語辞典『新明解』に待望の最新第8版が登場
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日本でもっとも売れている国語辞典といえばなんでしょう? それはもう圧倒的に三省堂の『新明解国語辞典』なのだ。以下のシェアを見ても分かるように、半分ちかいシェアを獲得しているのがこの『新明解国語辞典』であり、それに続くのがやはり同じく三省堂から出されている国語辞典なのである。(ちなみに、なぜ三省堂からこのような代表的国語辞典が2冊も出ているかについては、ものすごい衝撃と感動の裏話があるので、今回のエントリの最後で触れておきたい)
そんな、文字通り「日本でいちばん売れている」国語辞典の『新明解』に、9年ぶりの大幅改訂となった最新第8版が発売された。もちろん僕はさっそく購入しました。青や白の版もあるのだが、やっぱり新明解といえば赤のイメージですよね。
新語・新項目を約1500語増補し、収録項目数約7万9000。当初からの特徴である、言葉の本質をとらえた鋭い語釈を今回の改訂でも中核に据え、新しい方針によるアクセント、漢字表記・文法欄の更なる充実、数字の読み方など、最新の研究に基づく情報を提示。
さて、「考える辞書」を宣言し、あなたはどう考えるかと問う新明解国語辞典。9年ぶりの大幅改訂となった新版では、言葉をによって思考をさらに深めるため、よりシャープな語釈を採用したり、新明解の特徴でもある、実感に溢れそしてときにユニークでユーモアある用例を数多く提示したりと、ひとりひとりが手元に置いておくべき一冊となっている。
そもそも、この新明解が「日本で一番売れる辞書」となった背景には、なんといってもこの語釈と用例が、ときにわれわれの常識を超えるほどに面白いことがある。赤瀬川原平の名著『新解さんの謎』では、この辞書を擬人化し語らいあう、それほどに読む辞書として際立った、いままでにない国語辞典だったのである。そんなちょっと変わった辞書だったはずなのに、それがいまや一番使われてる国語辞典になるとは、新解さん自身が驚きのことだろう。
辞書の中から立ち現われた謎の男。魚が好きで苦労人、女に厳しく、金はない―。「新解さん」とは、はたして何者か?三省堂「新明解国語辞典」の不思議な世界に踏み込んで、抱腹絶倒。でもちょっと真面目な言葉のジャングル探検記。紙をめぐる高邁深遠かつ不要不急の考察「紙がみの消息」を併録。たとえば──[ばか]人をののしる時に最も普通に使うが、公の席で使うと刺激が強過ぎることが有る。[実社会]複雑で、虚偽と欺瞞とが充満し、毎日が試練の連続であると言える、きびしい社会を指す。[凡人]マイホーム主義から脱することのできない大多数の庶民の意にも用いられる。ぼくはまだ新解さんという人物に会ったことはないのだけど、間接的に、おぼろげに、空気を介してその人物に接している。いちど仲介者を通して会見を申し込んだこともあるのだけど、「まぁ会わない方がええでしょう」というご返事をいただいたそうで、いかにも新解さんらしいなと思った。お会いしてもどういう会話をしたものか、見当もつかなかっただけに、やんわりお断りされてホッとしたことも事実である。(あとがきより)
個性的な解説で知られる『新明解国語辞典』(三省堂)は、読んで楽しい辞書。「新解さん」と愛称で呼ばれるこの辞書の面白さを、豊富な例をあげて徹底的に紹介。辞書を読む楽しさにはまります!
そして、この新明解国語辞典が誕生した秘話、とくになぜ同じ三省堂から国語辞典が出ていたのにも関わらず、もう一冊編纂することとなったのか。この大いなるミステリーに正面から取り組んだのが本書『辞書になった男』である。NHKでもノンフィクションとして放送されたものだが、これがまたイイ話なのである。見坊豪紀と山田忠雄。同じ時代を生き、辞書に人生を捧げ、一緒に働き、そして袂を分かった二人の天才の物語はあまりにも鮮やかで、そのラストシーンなどはまるで映画のような終わり方なのだ。これはもうぜひ読んで欲しい一冊なのである。
見坊豪紀、1914年生まれ。国語学者にして稀代の天才辞書編纂者。山田忠雄、1916年生まれ。国語学者にして反骨の鬼才辞書編纂者。一冊の国民的辞書(『明解国語辞典』)をともに作ってきた二人は、なぜ訣別し、二つの辞書(『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』)が生まれたのか?昭和辞書史最大の謎に迫る、知的興奮の一冊。
また、もうひとつのおすすめが、辞書芸人サンキュータツオによる痛快な一冊『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』である。これも本当に面白い。新明解だけでなく、その他の辞書にもそれぞれ個性と特徴があり、それをおもしろおかしく解説してくれる本書は、辞書選びのおともにはもちろんのこと、辞書を買ったあとの遊び方まで教えてくれる、必読の一冊と言えるのだ。こちらもぜひ楽しんでみて。
辞書の世界がもっと深く楽しめる!
朝日新聞「天声人語」で紹介! 辞書の世界をのぞいてみよう
芸人ならではの切り口で、代表的な国語辞典を例にとりながら、語数、品詞、デザイン、歴史、用例、語釈などから辞書の魅力を多面的に紹介。あなたの知らないディープな辞書の魅力がここに!(イラスト:宮尾和孝)
【目次】
この本に登場する主な辞書
自分だけの一冊がわかる!? オススメ辞書占い
はじめに
第一章 広くて深い辞書の世界をナビゲート
1.国語辞典は、みんなちがう!
2.国語辞典のルーツ
3.辞書の中にもブランドがある
4.国語辞典は二冊持つ時代
5.なぜ、こんなに多様化したのか?
6.忘れちゃいけない文法問題
7.辞書のディテールを楽しむ
第二章 タツオセレクト! オススメ辞書ガイド
1.キャラクターで解説! 個性派辞書図鑑
『岩波国語辞典』
『新明解国語辞典』
『明鏡国語辞典』
『集英社国語辞典』
『新潮現代国語辞典』
『ベネッセ表現読解国語辞典』
『角川必携国語辞典』
『新選国語辞典』
『三省堂国語辞典』
『日本語 語感の辞典』
『基礎日本語辞典』
コラム『基礎日本語辞典』著者 森田良行先生にインタビュー
2.まだまだある! 紹介したかった「国語辞典」たち
3.タツオオススメ「辞書関連本」
ことばのぬまのおくがき
文庫版あとがき
解説 三浦しをん
それ以外にも、辞書関連ではユニークな本が多いとおもう。三浦しをん『舟を編む』は、辞書編集の現場を舞台にした小説で、その仕事場の独特な空気や、ちょっと変わった人々の日常生活が垣間見えて面白い。松田龍平と宮崎あおいが主演する映画もとっても良く出来ていたので、こちらも合わせて観てみてはどうだろうか。
出版社の営業部員・馬締光也(まじめみつや)は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作! 馬締の恋文全文(?)収録!
というように、最新第8版が出版されたばかりの新明解国語辞典。僕のように以前の版からの買い替えはもちろんのこと、初めての一冊となる国語辞典を考えている人にとっても、これは最有力候補となるだろう。中学生から大人まで、勉強に仕事に必携の国語辞典は、この新明解で決まりといってもよいだろう。
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