東京藝大で教わる西洋美術の見かた|基礎から身につく「大人の教養」
2022年1月3日から、BSイレブンで新番組「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」が始まる。これはぜひとも注目して頂きたい新番組なのである。第1夜はルネサンスの巨人ラファエッロをテーマとした内容で、作者や作品のどのような点に注目して絵を見るとよいのか、その視点を教えてくれる。
ベストセラー「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」の著者、佐藤直樹・東京藝術大学准教授を迎えお送りする新春2夜連続特別番組!
「バランスよく作品を知るより、個々の作品に対する具体的なアプローチを学んだ方が、実は美術鑑賞のコツを得るには手っ取り早い」という佐藤准教授。藝大の授業そのままに、初心者には「美術鑑賞のコツ」を分かりやすく、美術ファンには「そうだったのか!」と膝を打つ解説を、ルネサンスの巨人ラファエッロをテーマにお届けします。ダ・ヴィンチやミケランジェロを手本に自分の世界を作り上げていった技術、版画を使ってヨーロッパに自作を流布させた戦略、アルプスを越えたドイツの画家との交流…などなど!東京藝術大学の全面協力のもと、作品に取り組む藝大生の様子や様々な施設の紹介も!
そして、この番組のもととなっているのが、こちらの書籍『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』だ。藝大の教壇に立つ佐藤直樹はすでに10年間「美術史概説」の講義を担当しており、本書はその15講をまとめた形式となっている。しかしながら本書は、あまたの「概説本」とは趣を異にする。それは単にカルチャー・センターでは学べないような作品を取り上げているから、というだけではない。歴史の時間軸を追うような通史ではなく、藝大の学生を相手にしているからこそ、ひとつひとつの作品に深く分け入って分析することが主眼となっているのだ。
これは著者自身が藝大生であったころ、自分が受けた授業がとても刺激的だったことに由来する。それを契機に研究者としての道を歩んできた著者だからこそ、いま今度は自分が藝大生に教える立場に立ったとき、どんな授業だとわくわくするのかを実感としてよく分かっているわけなのだ。いたるところで評判のいい本書は、確かにこれまでの美術解説とは大きく異なるアプローチをとっており、だからこそ面白い。今回のテレビ番組がひとつのきっかけとなり、さらなる読者が増え、アートを鑑賞する目が養われれていくことは間違いなさそうだ。ぜひ美術館訪問の前に、こうした本で準備してみてはどうだろうか。絵画の見方と味わいが大きく変わることだろう。
本書は、東京藝術大学で実際に行われている講義に基づいて作られた西洋美術の入門書です。通史的に作品を概説するのではなく、著者の視点で選んだ個々の作品について、そこに込められたメッセージをわかりやすく読み解きます。クローズアップや補助線の導入など、読者の理解を助けるビジュアルも多用。楽しみながら、知らず知らずのうちに鑑賞眼が鍛えられることを意図しています。カルチャー・センターなどでは学べない作品も多数掲載。
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