ニューヨーク・タイムズと朝食を
公開日:
:
最終更新日:2015/07/17
英語
前回「フィナンシャル・タイムズと昼食を」で紹介した “Lunch with the FT” のインタビュー集。経済学者からビジネスパーソンまで、そのときどきの「時の人」とランチを共にしながらのインタビューは、カジュアルな雰囲気の中にも鋭い質問があり、なかなかに読み応えがあるものだ。
これと同じように、また別の「時の人」にインタビューしているのが、ニューヨーク・タイムズ紙の The Corner Office だ。タイトルにある Corner Office というのは文字通り角部屋のことであり、多くの企業では広々と窓を使った角部屋がトップマネジメントのオフィスとして利用されることが多いことから、CEO(やその他ボス)を表す言葉でもある。
photo credit: Dom Dada via photopin cc
このインタビュー The Corner Office の特徴は何と言っても、とくにスタートアップ企業のCEOに直接話を聞いて、時に微小なまでの tips を掘り下げて聞いていること。2011年までの内容は書籍 “The Corner Office: Indispensable and Unexpected Lessons from CEOs on How to Lead and Succeed” にまとめられており、これもぜひ続編を、そして翻訳を出したらいいのに、という極めて優れたインタビュー集となっている。
“Indispensable and Unexpected Lessons” と書籍ではサブタイトルが付けられているように、本インタビュー集のキモは、スタートアップ時にどんな問題に直面し、それをどう乗り越えてきたのか、というリアルで生々しい話が満載であり、これは起業時だけでなく日常のマネジメントにおいても、非常に参考になる内容だと思う。具体的には人材採用で人物のどこを見るかという話や(例えば相手の奥さんも同伴で食事に行って同じ質問をしてみるとか)、問題社員にどう接するか、そして次のリーダーをどう育ているかといったヒューマン・リソース・マネジメント系の話題が豊富。
How to Lead and Succeed とあるように、特に創業間もない規模が小さい企業にとっては、人材こそが生命線であり、そのマネジメント如何によって経営が飛躍することもあれば頓挫することもある、そういう問題意識に溢れている。ひとつひとつのエピソードは極めて些細なことなのだけれども、そんな小さな工夫をいくつも積み重ねてきたからこそ、現在の社長そして企業の姿があるのだろう。各社長へのインタビューはとても短く、簡単に読める。また、Kindle版 は書籍版の半額以下という安さ。「英語ライティングと洋書テキスト:今度こそ本当の電子書籍元年か?」でも書いたように、洋書を読むなら電子書籍というのはもう無視できない流れであろう。オススメの一冊です。
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