*

数学者たちの異常な日常|世にも美しき最後の秘境

公開日: : Kindle, オススメ書籍

以前に「あたなの知らない、世にも美しき数学者たちの日常」でも紹介した、二宮敦人著『世にも美しき数学者たちの日常』は、現代の生きる希少種・数学者の日々を追いかけた痛快ノンフィクションである。数学者自身の手による著作はいくつも思いつくだろうが、このように作家の目で見た数学者の姿というのは極めて貴重である。なるほど、外から一般的に見ると、数学者の暮らしとはこのように映るのだな、というフツーの驚きが心地よい。そんな愉快な本書は、現在実施中の幻冬舎2019ベスト書籍キャンペーンのおかげで今だけ半額セールとなっている。どうぞこの機会をお見逃しなく。

 

世にも美しき数学者たちの日常 (幻冬舎単行本)
幻冬舎 (2019-04-10)
売り上げランキング: 11,418

 

 

「リーマン予想」「ラングラン予想」……。何百年も解かれていない問題を解くことに、人生を賭ける人たちがいる。そして、何百年も解けない問題を”作る”ことに夢中になる人たちがいる。そして、数式が”文章”のように見える人たちがいる。数学者だ。

「紙とペンさえあれば、何時間でも数式を書いて過ごせる」
「楽しみは、“写経”のかわりに『写数式』」
「数学を知ることは人生を知ること」
「問題と一緒に“暮らす”ことから始まる」
「味噌汁も数学のテーマになる」
「芸術に近いかもしれない」
「数学は、宇宙がなくなっても残るもの」
「数式は、世界共通の言語」
「歩く姿を後ろから見ても、数学者だとわかる」
「心は数学だ」
「エレガントな解答を求められる」
「数学の全体が矛盾していないということを、数学的に証明することはできない」
「人工知能に数学はできない」
「音楽と数学はつながっている」
「数学を絵にしてみた」
「今の数学は冬景色だ」
「中学生のときに、数学に情緒があると知った」

類まれなる優秀な頭脳を持ち、難解な名言を次々に繰り出す数学の探究者たち――。ときに芸術家のごとく「美」にこだわる数学者たちを、愛に溢れた目線で、描き尽くす!

 

 

ちなみに、普段はフィクションを書いている作家・二宮敦人が数学者という最も縁遠い人種に興味を持ったのは、奥様の影響に他ならない。実はなんとオクサマ自身が数学者、というわけではもちろん、そのお友達に数学者がいた、というわけでもない。そうではなく、芸大出身の奥様とそのご学友たちがあまりにも奇妙奇特奇天烈だったものだから、そこから生まれた変人列伝第一作が、あの傑作『最後の秘境 東京藝大ー天才たちのカオスな日常』という背景があるのだ。

 

その結果、変人つながりでもって、続く第二作の栄えある主役に選ばれたのが、芸術家に負けず劣らずのカオスな香りを漂わせる数学者だった、というわけだ。だからこそ、やっぱりここは、この第一作・藝大編もぜひとも合わせて読んで欲しいと思う。芸術家と数学者、いったいどちらがどれほどに、混沌とした異常な日常をおくっているのか、それはぜひ自分の目で確かめて頂きたい。それくらい面白いですよ、両方とも。

 

 

やはり彼らは、只者ではなかった。入試倍率は東大のなんと約3倍。しかし卒業後は行方不明者多発との噂も流れる東京藝術大学。楽器のせいで体が歪んで一人前という器楽科のある音楽学部、四十時間ぶっ続けで絵を描いて幸せという日本画科のある美術学部。各学部学科生たちへのインタビューから見えてくるのはカオスか、桃源郷か? 天才たちの日常に迫る、前人未到、抱腹絶倒の藝大探訪記。

 

Amazon Campaign

follow us in feedly

関連記事

越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」|おすすめの読むべき4冊と訪れるべき5ヶ所

「今年の夏は「大地の芸術祭」越後妻有アートトリエンナーレへようこそ!」で紹介したように、今年は3年に

記事を読む

Kindle電子書籍で学ぶ、日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術

ドクター・ヴァンスの『日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術』がセール中。これまで僕も何度か書

記事を読む

圧倒的ユニークな視点でつくるアカデミック・エンタテインメント|NHK「ろんぶ~ん」が面白い

先日まで、4週連続で放送されたNHK番組「ろんぶ~ん」、ご覧になりましたか? これは以前にも放送され

記事を読む

捏造と背信の科学者:繰り返される不正と、研究者の責任ある行動

STAP細胞の件で改めて考えさせられたのは、なぜこの一件だけではなく、研究不正・論文捏造がこれほどま

記事を読む

いまこそ本当の宇宙兄弟を目指す|13年ぶりの宇宙飛行士選抜試験いよいよ始まる

大ヒット漫画『宇宙兄弟』を挙げるまでもなく、僕らはみな子供の頃から宇宙が大好きだった。そして、あの頃

記事を読む

英国一家、最後に日本を食べる&お正月スペシャル

コアな人気を博していたNHK深夜アニメ「英国一家、日本を食べる」。ベストセラーとなった原作も素晴らし

記事を読む

東京藝大で教わる西洋美術の見かた|基礎から身につく「大人の教養」

2022年1月3日から、BSイレブンで新番組「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」が始まる。これはぜひ

記事を読む

大人になったら国語辞典|ことし成人式を迎える人への最高の贈り物

コロナ感染の再拡大による、全国で成人式の中止や延期が発表されるなど、大変厳しい新年を迎えている。本来

記事を読む

「お茶」が教えてくれる日々のしあわせ

10/13(土) から上映が始まった『日日是好日』。樹木希林の遺作となったこの映画、もちろん僕も見に

記事を読む

綻びゆくアメリカと繁栄から取り残された白人たち

2014年に翻訳出版された『綻びゆくアメリカ―歴史の転換点に生きる人々の物語』に今また注目が集まって

記事を読む

Amazon Campaign

Amazon Campaign

卒業・入学おめでとうキャンペーン|80年記念の新明解国語辞典で大人の仲間入り

今年もまた合格・卒業、そして進級・進学の季節がやってきた。そう、春は

食の街・新潟県南魚沼|日本一のコシヒカリで作る本気丼いよいよ最終週

さて、昨年10月から始まった2022年「南魚沼、本気丼」キャンペーン

震災で全村避難した山古志村|古志の火まつりファイナルを迎える

新潟県の山古志村という名前を聞いたことのある人の多くは、2004年1

将棋タイトル棋王戦第3局|新潟で歴史に残る名局をライブ観戦してきた

最年少記録を次々と塗り替える規格外のプロ棋士・藤井聡太の活躍ぶりは、

地元密着の優等生|アルビレックス新潟が生まれたサッカーの街とファンの熱狂

J2からJ1に昇格・復帰したアルビレックス新潟が今季絶好調だ。まだ4

【速報】ついに決定|14年ぶりの日本人宇宙飛行士は男女2名

先日のエントリ「選ばれるのは誰だ?夢とロマンの宇宙飛行士誕生の物語」

3年ぶりの開催|シン魚沼国際雪合戦大会で熱くなれ

先週末は、コロナで過去2年間見送られてきた、あの魚沼国際雪合戦大会が

国語の入試問題なぜ原作者は設問に答えられないのか?

僕はもうはるか昔から苦手だったのだ。国語の試験やら入試やらで聞かれる

PAGE TOP ↑